個人的には、なるべく早い段階である程度の広さの陣地を確定させた方が有利になるような気はしている。なのだけど、筆者は実はまだ一度も妻相手に勝てた試しはない。森井氏も開発者なのに野島氏に負け続けているそうだ。
ただ、このゲームは、負けたからといって、あまり口惜しくないのだ。それは、ネコがギュウギュウになっている盤面の可愛さのおかげかもしれないし、気まぐれな要素がゲームを左右する猫独自のルールのせいかもしれない。
ものすごく頭を使うのだけど、そこに置くのは緩いフォルムの暢気な猫のシルエットのような駒だというのも、このゲームの独特な緩さや平和さに繋がっているのかもしれない。
「駒はルールがどうなるかは置いておいて、どういう形のネコならあり得るかというバリエーションをとりあえずどんどん作っていきました。だから、その工程は早かったんです。ボスネコにしても、ゲームの起点になるような駒があった方が落ち着くという気持ちがあったので、早い段階で出来ていました、『カテドラル』も1つ大きい駒があって、それを中心にゲームが始まりますし、そういった他のゲームからの影響は結構受けてますね」と森井氏。
名前は囲碁に引っ掛けてあるし、石を置いて陣地を取り合うというのも囲碁っぽいのだれど、開発の経緯を伺ってみると、意外にも囲碁からの影響は少ないのも面白いと思った。これが、発売以来、出荷される度に瞬殺で売り切れている状況を見ると、みんな分かってるなと思う。
デジタルに置き換えてしまうと、このゲームの魅力の多くが失われてしまう、つまり、モノとしての魅力がゲームとしての魅力と直結している製品だということが、きちんと伝わっているのだ。そういう意味でも、とてもデジタルの時代ならではのアナログ・ゲームになっている。手作業による量産が効きにくいことも含め、今後のヒット商品の1つのパターンになっていくような気がする。
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