万年筆風ということで、コクヨが考えたのは、筆記した線も万年筆に近づけることだったそうだ。均一な線が書けることがボールペンの魅力ではあるのだけれど、そこをあえて万年筆のような線の揺らぎを表現できたらと考えた訳だ。
それで、万年筆の線の特徴として、書いた線にインクの濃淡が表れること、線幅が変わることの二点を再現しようとしたら、これが難しかったという。まあ、当たり前ではある。万年筆だって、実は均一な線が書けるように調整されたものの方が、本来的だったりするわけだし。
「ファインライターでは、線幅の変化は比較的出せたんですけど、インクの濃淡は難しくて、逆にローラーボールでは色の濃淡は出しやすいけれど、線幅を変えるのは難しかったので、2つに分けたという感じになりました」と土岐さん。
これが、個人的にはとても気に入ったポイントだったりもするのだ。そもそも、ファインライターの方は、くっきりと見やすい濃い線が書けるのが魅力なので、そこに濃淡が付くより、しっかり書けている方がいいのだ。その上で、樹脂芯ならではの柔らかい線が引けるというのは、万年筆にもない魅力になる。
一方で、ゲルインクや油性インクではない、シャバシャバタイプの水性インクを使ったからこそ、ローラーボールでは、インクの濃淡が表現できたということになる。こういう、何というか、開発経緯が上手く整合して商品になるという流れが大好きなのだ。
ということで、メモやラフスケッチ、覚書や著書へのサインなどに活躍しているファインライターだけれど、ローラーボールも使ってみたくないわけではない。元々、筆者はトンボ鉛筆の「Zoom 535」などの太軸のローラーボールのファンなのだ。
ところがうれしいことに、実はファインライターとローラーボールのリフィルは、形状が同一なので、入れ替えが可能なのだ。ということで、もう少し買いやすい状況になったら、ローラーボールのリフィルを買いに行く。一般販売は10月21日から。それにしても、このかなりクセが強い、ニッチな筆記具が、ちゃんと売れているという状況はうれしい。
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