このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
Twitter: @shiropen2
カナダのトロント大学とNational Research Council Canadaに所属する研究者らが発表した論文「How big a table do you need for your jigsaw puzzle?」は、ジグソーパズルを解くのに最適なテーブルのサイズを数学的に解明した研究報告である。
この研究では、ジグソーパズルを行う際に、最適なテーブルサイズを選ぶ方法として、完成したパズルの面積を約1.73倍することを提案。これにより、全てのピースを重ならずに平らに並べるのに十分なスペースが確保される。
研究者らは、組み立てられる前の全てのピースが正方形の表面積を占めるという前提で、各正方形がその角を触れる円の中にあると仮定した。そして、この複数の円が重なることなく2次元の表面上に最適に敷き詰められる可能な形として、六角形のパターンで並べると、ピースが重なることなくかみ合うことをみいだした。各六角形の中には、1つの完全な円と6つの円の一部が含まれる。
研究者らは、六角形のパターンに並べられた組み立て前のパズルピースが占める面積は、常に完成したパズルの総面積(長さと幅を乗じたもの)に√3、すなわち約1.73を乗じたものになることを発見した。
この法則は長方形の形状をしたジグソーパズルピースにも適用可能で、これらも同様に円の中に収まる。また、ピースのサイズや数が変わっても同様の結果が得られる。例えば、ピース間の隙間(六角形の格子の間隔)は、ピースが小さくなれば小さくなるが、ピースの数が多くなる分、隙間も多くなる。
実用性を検証するために、333平方cm(9ピース)から6798平方cm(2000ピース)までの範囲の9つのパズルについて組み立て前と組み立てた状態の面積を測定し、理論的な予測と実際の測定結果が一致することを示した。
Source and Image Credits: Bonsma-Fisher, M., & Bonsma-Fisher, K.(2023). How big a table do you need for your jigsaw puzzle?. arXiv preprint arXiv:2312.04588.
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