先週はアクセス2位に、SNSで「ババアの粉」(BBAの粉)と呼ばれて品薄になっている化粧品「セザンヌ トーンフィルターハイライト」の話題が入った。
同商品は、顔のくすみを明るく補正するパウダー。対象年齢などは明記されておらず、“ババアの粉”はSNS発の愛称だ。由来は、TikTokで「ババア全員これを買え」と、同商品を中年女性に力強くすすめる動画がバズったこと。その後Threadsでもブームになると、“ババア”たちによる「使っています!」「どこも品切れ」などの報告が相次ぎ、反響が拡大した。
筆者はThreadsでこの商品を知った昭和2桁生まれの“ババア”。ブームを見て欲しくなり、セザンヌの棚をのぞいては「売り切れている……」とがっかりしている。
最近、Threadsがとても楽しい。ポストTwitter(X)を狙って2023年にMetaが公開したテキストSNSだが、2年たって独自のユーザー層が存在感を放っている。それが30〜50代ぐらいの女性層かつ、“ババア”を自称する人たちだ。
この世代を“ババア”と呼ぶのは蔑称だが、Threadsで目立つのは、自らババアを「自称」する、力強い女性たち。モテや映えを脱ぎ、自由に人生を謳歌(おうか)する女性層だ。
これまで女性が集まるネットコミュニティーは、「モテを意識してキラキラしている」か「ネガティブな愚痴だらけ」か、どちらかというイメージが筆者にはあった。前者はInstagram、後者は掲示版サイトなどだ。だがThreadsはどちらでもない。キラキラしてない“ババア”な自分を受け入れているし、愚痴も笑いに昇華する。
これまで化粧品マーケティングの主役は、20〜34歳の「F1層」だった。インフルエンサーとコラボし、「映える」商品でバズを狙い、キラキラした自己投資への欲求に訴えかけるのが定番の戦略だ。
しかし今回、 「セザンヌ トーンフィルターハイライト」を売ったのは、「これでツヤ肌に!」といったキラキラしたマーケティングワードではなく「ババア全員これ買え」「BBAの粉」など、自分の年齢を自覚している女性たちへのストレートなワードだった。ババアの人生をラクに楽しくする商品を訴求する“ババアマーケティング”の時代が来ているのではないだろうか。
ちなみにThreadsでは「ベージュの3L」というワードも大流行している。どういうものかはご想像にお任せするが、ババアが身に付ける何かだ。このブームに乗って今、グンゼがベージュの3L商品をThreadsでマーケティングすれば、きっと売れると思う。
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