機能を中心に見てきたが、肝心の画質はというと、ちょっと地味目だ。実際、DiMAGE A1より発色はおとなしめにしているという。記憶色重視の味付けもなく、青空の発色では物足りなさを感じることも多い。また、800万画素CCDのせいかもしれないが、ダイナミックレンジは広くなく、輝度差が大きい構図ではコントラストが高すぎて落ち着きがない絵になりがちだ。
ディテールも800万画素機としてはあまり解像感が高くなく、素材性重視の作りをデフォルトにしているのが見て取れる。とはいえ、800万画素をウリにするのなら、もうちょっと解像感が高くてもよいのではないかと思う。
ISO感度も64から800まで用意されているが、ISO400以上はノイズがけっこう増え、不自然なノイズパターンが浮くこともある。
とはいえ、画質についてはカラーモードに「+Vivid」(ビビッドカラー)という鮮やかさ重視の設定もあるし、カスタム設定で彩度を上げたり、カラーフィルター機能で色を多少コントロールすることもできる。この辺の機能を駆使して、好みやシチュエーションに合わせて微妙に設定を変えていくのも手だ。また、デジタルエフェクトブラケット機能を使えば、露出のみならず、コントラスト、彩度、フィルター効果それぞれに対するブラケット撮影が可能だ。
増感時のノイズについても、手ぶれ補正機能があるのであまり増感しないでも撮影できるため、ノイズを低減可能だ。
つまるところ、とにかく高機能で、カスタマイズの幅が広く、レンズも28〜200ミリと広いレンジに対応していて、いろんな写真を撮って遊べるデジカメ、それがDiMAGE A2なのだ。これぞハイエンド機と言ってよいし、それにふさわしい操作性も備えている。
設定をいろいろといじってみるのが好きな人、あれこれ凝って撮るのが好きな人には堪えられないデジカメだ。しかも動作も、再生を含めてスピーディなので、使っていてストレスがたまるともあまりない。
その上、CCDシフト方式の手ぶれ補正や、EVFと液晶ディスプレイの自動切り替え、モニタ上へのさまざまな情報表示、高精細EVF、チルトする液晶ディスプレイ、ユニークなユーザーインタフェースと豊富なカスタムファンクションと、DiMAGE A2にしかない機能が非常にたくさんあるのだ。
ただ、それに比べると、画質面に不満が残るのは否めない。記憶色重視のバリバリに派手な色を作ってくれとは言わないが、同時期に登場する他社の800万画素機に比べてワンランク地味なのは損をしていると思う。
個人的にはもう少し派手目な絵が好きなので、DiMAGE A2の登場で実売価格が下がってきたDiMAGE A1も捨てがたい。両者の大きな違いは画素数とEVFくらいなので、高解像度は不要という人なら500万画素のDiMAGE A1を、やはり800万画素が欲しいという人はDiMAGE A2を素直に選べばよいのではないだろうか。
いずれにせよDiMAGE A2は、デジタル一眼レフとは違うテイストで幅広いニーズに応えてくれる、注目すべきハイエンドデジカメだ。
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