PCでDVDレコーダーを手軽に作成できる──NV-7135CB マルチDVDレコーダーキット(2/2 ページ)

» 2004年04月19日 17時04分 公開
[田中拓也,ITmedia]
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慣れた人なら15分程度で導入可能

 機器の導入は、15分程度もあれば十分だろう。IDEドライブやPCIカードの増設/交換ができる人ならまず迷うことはない。注意したいのは、フロントアクセスベイとDVDマルチドライブが別々になっているのを、一体化するときだ。ドライブを固定するためのネジ止めに、精密「+」(プラス)ドライバが必要になる。

 DVDドライブはIDE変換コネクタを経由して、IDEケーブルでメインボードに接続する。またドライブの電源はFDD用の5Vケーブルを使用するが、ない場合は付属の供給ケーブルが用意されている。

DVDドライブはIDE変換コネクタを経由して、IDEケーブルでメインボードに接続

 フロントアクセスベイを取り付けたあとは、TVチューナーカードを装着する。ロープロファイルに対応しているので、小型PCへも楽に装着できるだろう。フロントアクセスベイのビデオ入力を利用する場合は、エクステンションケーブルを専用コネクタに接続する。最後に内部接続ケーブルをサウンドカードやメインボード上のAUXやCD-INにつないで、作業は完了だ。

エンコーダにはCINEMA CRAFT ENCODERのエンジンを採用

 TV番組の録画にはデジタルハンズ製の「PrimePVR」を使用する。iEPG録画予約やタイムシフト再生を備えた録画ソフトで、スタンバイ状態からの復帰/移行に対応する。またデインターレース機能を備え、PC上でもちらつきのない映像を実現する。

 ただ、残念なのはレスポンスが今ひとつ悪いことだ。チャンネル切り替えには2秒程度かかり、もたついてしまう。付属のリモコンから録画したビデオの再生やタイムシフト再生ができないのも中途半端に感じた。また、リモコンではチャンネルやソース映像の切り替え、フルスクリーン表示などの操作しか行えないので、利用がTV視聴時に限定されてしまう。

TV番組の視聴や録画を行うPrimePVRが付属。iEPGによる録画予約やタイムシフト再生に対応している

 画質モードは、長時間/標準/高画質の3種類が用意される。キャプチャ形式は長時間モードがMPEG-1、標準と高画質がMPEG-2で、キャプチャサイズはそれぞれ352×240/640×480/720×480ピクセルとなる。

 エンコード方式はいずれもCBRのみで、ビットレートは、長時間が1.15Mbps、標準が3Mbpsに固定されている。高画質のみ6〜15Mbpsまで、1Mbps刻みでビットレートを設定可能だ(ただし動作保証は6Mbpsのみ)。

表■画質モード一覧

画質モード キャプチャ形式 サイズ(ピクセル) ビットレート
高画質 MPEG2 720×480 6〜15Mpbs
標準 MPEG2 640×480 3Mbps
長時間 MPEG1 352×240 1.15Mbps
録画予約の設定画面。画質モードは3種類、録画終了後の動作は番組ごとに指定できる
高画質モードを選んだときはビットレートを6〜15Mbpsの範囲で設定できる。なおエンコード方式はいずれのモードもCBRのみのサポートとなる

 MPEGエンコーダには、カスタムテクノロジーが開発した「CINEMA CRAFT ENCODER」を採用し、安定した画質を実現している。標準モードではさすがに細部がつぶれてしまうものの、見てすぐに消すような番組であれば目的は果たせるだろう。

 保存用途の高画質モードでは、さすがに映像はシャープになる。ゴーストリデューサや3次元Y/C分離回路などの高画質化機能は搭載していないが、電波状況が普通なら特に問題ないだろう。

 ただし、高画質モードのビットレートが最低6Mbpsからなのはやはり不便だ。この製品の場合、6Mbpsでは90分程度、3Mbpsでは3時間程度の映像を記録できるのだが、2時間番組をジャストサイズでDVDに記録したいときには、4〜4.2Mbps程度のビットレートで記録する必要があるにもかかわらず、このレートは選択できない。このため、まず6Mbps以上で取り込み、その後、添付されている「Ulead VideoStudio 7 SE DVD」で再エンコードするという手順になるが、これは不便だ。

AVサーバ機能も利用可能

 PrimePVRでは、ネットワーク上のPCから番組の視聴も可能なネットワーク機能を利用できるのも大きな特徴の1つだ。録画中の番組や録画済番組を別のPCから表示できるほか、ネットワーク経由でiEPGの録画予約を行うことができる。

「予約」ボタンをクリックすると表示される録画予約の一覧。大きく見やすい文字表示が特徴。「番組表」をクリックするとブラウザが起動する

 ネットワーク機能を利用するには、クライアントソフトとネットワーク上のPCにインストールするだけと簡単だ。最初にサーバマシンを指定すれば、次回以降自動でつないでくれる。ただしマニュアルの手順通りにサーバマシンを指定しても、アクセスが拒否されてしまうという問題もあった。サーバ側のデータフォルダの共有設定を設定し直すなど試行錯誤してつながったものの、原因は不明だ。

PrimePVRのクライアントバージョンをインストールすることで、ネットワーク上の別のPCから録画中または録画済みの番組を再生できる

 クライアントソフトを起動すると、「ビデオ一覧」と「予約」機能のみ利用できるようになる。リアルタイムに放送されている番組は直接視聴することはできないが、サーバ側で録画を開始すれば、ビデオ一覧から再生できるので、TVのない部屋で番組を楽しむといった用途にも利用できるだろう。

省スペース設計とネットワーク機能に魅力を感じる人におすすめ

 付属ソフトにはそのほか、CD/DVDライティングソフトの「B's Recorder GOLD Basic Ver.7」やパケットライトソフト「B's CLiP 5」、ビデオ編集&DVDオーサリングソフト「Ulead VideoStudio 7 SE DVD」、「Ulead DVD Player」を同梱する。データライティングからDVDビデオの作成まで、一通りカバーできる内容だ。

CD/DVDのライティングには「B's Recorder GOLD Basic Ver.7」を使用する
ビデオ編集とDVDオーサリングが可能な「Ulead VideoStudio 7 SE DVD」(3GPP/3GPP2対応版)。AVI形式でのビデオキャプチャ機能も利用できる

 スリムPCやキューブ型PCを利用してAVサーバを作りたいと考えている人には、必要な環境すべてが手に入るのでお手軽な製品といえる。ただ、ドライブの性能やTVチューナーの仕様は必要最低限で、ハイエンドを求めるユーザーには物足りない。3万円もあれば、8倍速ドライブとハードウェアエンコーダ搭載TVチューナーカードが買えてしまうのも悩むところだ。省スペース設計とネットワーク機能に魅力を感じる人におすすめしたい。

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