Appleの新たな映像アプリケーションに拍手喝采

» 2004年04月19日 19時41分 公開
[IDG Japan]
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 米Apple Computerは4月18日、ラスベガスで開催の招待者限定イベントNational Association of Broadcasters(NAB)の幕開けに、映像専門家市場向けの3つの製品アップデートと2つの新ブランドの製品を発表した。同社は約2000人の聴衆に向けて新製品の機能や統合のデモを行い、映像専門家たちから喝采を受けた。

 新製品の中で目玉となるのが、新しいモーショングラフィックスデザインパッケージ「Motion」だ。このソフトではテキスト、グラフィックス、ビデオからアニメーションを作成して、複数のフィルターやパーティクルエフェクトをすぐにプレビューでき、「ビヘイビア」機能によってキーフレームに依存せずに重力や風のような自然な動きやグラフィックスを加えられる。

 同社は、人々がMotionを単体のアプリケーションとして使う場面を想定しているが、この製品は、同社のハイエンド映像アプリケーション群の空白を埋め、同社の顧客の多くにとっては一通りのアプリケーションが揃うことになる。

 「MotionはFinal Cut ProとDVD Studio Proの間にぴったりとはまる」とAppleのアプリケーションマーケティング担当副社長ロブ・シェーベン氏は取材に応えて語った。「Motionは単体で使えるが、実に巧妙に連係するファミリーの一員として登場する」

 Appleのハイエンド製品シリーズすべてを統合することは、NABで同社が掲げるテーマだ。拡張可能で使いやすいハイエンドアプリケーションを開発できるということも、テーマの1つとなっている。

 「この製品はすべてを統合し、個人のクリエイティブ専門家は慣れたやり方で扱える、必要なツールを手にすることができる。すべてのコンセプトはリアルタイムだ。コンセプトをこの上にドラッグするだけでいい。それが専門家が望む作業のやり方だ」(シェーベン氏)

 Appleのプロダクトマネジャーは、新製品を熱心にデモし、一部の聴衆から拍手や賞賛の口笛がわき起こった。Motionのデモの間、同製品のプロダクトマネジャーであるディオン・スコペトゥーロ(Dion Scoppettuolo)氏は、拍手喝采する聴衆に向けて笑顔で「いや待ってくれ、まだあるんだ」と言ったが、喝采はますます大きくなるばかりだった。

 このイベントで、Appleは「Final Cut Pro」の目標を非常に明確に打ち出した。「当社が現在注力しているのは、HD(ハイディフィニション)に対応することだ」とシェーベン氏。AppleはBBC、松下電器、Grass Valleyなどのパートナーに対し、彼らがFinal Cut Proを選んだ事情を聴衆に説明するよう求めた。

 「Final Cut Proはこの業界の琴線に触れた。現在この製品を編集に使っている人は25万人を超える」(同氏)

 Final Cut Proに関して、Appleは専門家向けのほかのハイエンド製品との統合のほか、拡張性についても強調した。

 「拡張可能なところがFinal Cut Proの美点だ。Motionについても同じことが言えるだろう。MacとFinal Cut Proがあれば、学校向けのプロジェクトから完全な映画までさまざまなことが可能だ。当社は、ユーザーが新しいことを学ぶ必要なく、各種の市場で使えるアプリケーションを開発した」(シェーベン氏)

 「DVD Studio Pro 3」は、旧版よりも使い勝手が大きく向上し、ミッドレンジのオーサリング専門家にとってより優れた跳躍点となっている。昨年のNABで紹介されたDVD Studio Pro 2はテーマとナビゲーションのしやすさが特徴で、iDVDでは物足りなくなったユーザーに移行先を提供しつつも、オーサリング会社の専門家向けのハイエンド機能は維持していた。

 「この製品は顧客のフィードバックに基づき、AppleのDNAをできるだけいいやり方で活かすことを目指している。当社は目を見張るような成果を実現する高度な技術を開発できるが、それを隠して直観的で使いやすい技術にすることもできる」(シェーベン氏)

 Appleの意外な発表の1つが、ストレージエリアネットワーク(SAN)ファイルシステム「Xsan」だ。これは、中央集中方式で共有されるデータに高速アクセスしたいという映像などの業界のユーザーを対象とした製品だ。価格はノード当たり999ドルで、競合製品の約3分の1の価格だと同社は述べている。

 シェーベン氏は、Appleは少数の高額なソリューションを販売するのではなく、顧客の問題を解決し、SANを大衆レベルに広めたいと説明している。

 同社はこの日、「顧客と業界のフィードバックを製品に直接関連付けた」とする新機能を多数披露した。統合、拡張性、使いやすさ、市場が必要とするクリエイティブツールの提供が、同社のこの日のプレゼンテーションのハイライトだった。

 「今のコンピュータはあまりに自己中心的になっている。エンドユーザーを中心とし、芸術を生み出したい、プロジェクトを作成したいという要望を中心とする必要がある。当社はそうしたコミュニティーに住んでいる。長らくこのコミュニティーに尽くしてきて、そのことを理解している。専門家は優れた技術を求めているが、自分よりも高い台座に座りたくはないのだということを当社は知っている」

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