このように、PC-MP2000/DVDは面白い機器だが、一方でコンテンツを再生するためだけに常にPCを起動しておくのは結構ストレスだ。特にこれから暑い夏がくる。最近では一種の発熱器となりつつあるPCであるから、必要のない時には消しておいた方が暑苦しくない。
PC-MP2000/DVDは、バッファローが発売しているネットワーク用のストレージである「LinkStation」をつなげると、中にあるコンテンツを再生できるという機能を持っている。つまり、これさえあれば、いちいちPCを起動しなくてもよくなるわけだ。
LinkStation自体が小さなコンピュータが組み込まれたファイルサーバなのだが、PCに比べれば消費電力も21ワットと少ないし、ファンの音はゼロではないが気になるほどではない。
LinkStationにはギガビットイーサ対応のHD-HGLANシリーズと、通常の100Mbps対応のHD-LANシリーズがある。むろんハイエンドのHD-HGLANシリーズの方が機能も値段も高い。今回試用した160GBモデルで4万2210円(税込み)となっている。一方HD-LANシリーズの160GBモデルなら3万1080円(税込み)なので約1万円ほど安い。
PC-MP2000/DVD自体が100Mbpsなので、PCとのファイル共有を重視しない限り、今回のようなコンテンツ視聴用途には廉価なHD-LANシリーズで十分だろう。
LinkStationにもDHCP機能があるので、LANのどこかにつなげばPC-MP2000/DVDからアクセス可能かと思ったが、それは無理だった。PCと同じようにLinkStationでサーバ機能を動かしてやる必要があるのだ。
LinkStationは、標準ではこの機能に対応していないようなので、ファームフェアをアップグレードする必要があった。このファームウェアとアップグレード用のプログラムは、PC-MP2000/DVDの付属品として付いている。ファームウェアが書き換えられると、PCastというタブが増えてPC-MP2000/DVDの設定が行えるようになる。
設定項目を見ると、PCでは「マイ ドキュメント」フォルダが標準フォルダとして使われていたが、LinkStationでは「share」フォルダが標準になるようだ。もちろん、このフォルダは変更可能である。PCをサーバにしたときと同様、フォルダに対するパスワードの設定などもできる。
ファームウェアをアップグレードしたことで、PC-MP2000/DVDのほうではどのように見えるようになるのだろうか? さっそくPC-MP2000/DVDをリスタートしてみる。
すると、「3」に「HD-HGLAN160」という項目ができていた。どうやら成功のようだ。
3を選ぶと、たしかにshareの中身が表示されている。共有フォルダとして一般のファイルも放り込んであるため雑然としているが、音楽ファイルが保存してあるフォルダをたどっていくと、PCをサーバにしたときと同様に音楽ファイルを再生することができた。
ところで、LinkStationにはUSBポートが付いている。ここへはプリンタをつないでプリントサーバとして使えるほかに、USB接続のHDDを接続することが可能だ。公式にはバッファローのHDDしかサポートされていないが、接続したHDDをフォーマットする機能も搭載されているので、おそらく他社の(あるいは自作の)HDDでも使用できそうな気がする。もちろん、自己責任の範囲ではあるが。
今回は、フォーマットしてもよい手持ちのHDDがなかったので実験することはかなわなかったが、これについても機会があれば試してみたいと思う。
PC-MP2000/DVDは、マニュアルや操作画面の用語が統一されていなかったり、リモコンの使い勝手がもう少しだったりと細かい不満はあるが、なにせ実売で2万円以下で手に入るメディアプレーヤーなので、十分使い勝手はある。
PCの周辺機器とは微妙に方向性が異なるが、たまにはPC以外のアプローチからメディアファイルを攻めてみるのも面白いものだとう。
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