セイコーエプソンのフィルム対応フラットベッドスキャナに、新モデルの「GT-F550」と「GT-F500」が登場した。ここで紹介するGT-F550は、35ミリフィルムのオートローダを標準搭載し、従来より手間のかからないフィルムスキャンが特徴だ。
GT-F550の光学解像度は2400dpiで、CCDには「α-Hyper CCD」を採用する。このCCDは、RGB各色を2ラインずつ配置し、1画素ごとにオンチップマイクロレンズを搭載して高い感度を実現したものだ。読み取り階調はRGB各色16ビット(48ビット)、出力はRGB各色8ビットとRGB各色16ビット(48ビット)が切り替えられる。インタフェースはUSB2.0 Hi-Speedだ。
前面には4つのスキャンボタンがある。向かって左から、保存、メール、コピー、スキャナビとなり、基本的には付属ツールの「EPSON Smart Panel」を呼び出すものだ。押したボタンに応じて、EPSON Smart Panelの各種スキャン機能が起動する。
各ボタンを正しく動作させるには、コントロールパネルの「スキャナとカメラ」でGT-F550のプロパティを開き、各ボタンを押したときのイベントでEPSON Smart Panelの割り当てが必要な場合もある。
注目のフィルムスキャン機能だが、対応フィルムは35ミリネガ/ポジスリーブ×1列と、35ミリポジのマウント(スライド)×1だ。ブローニなどの中大判フィルムと、35ミリネガマウントには対応していない。
最大の特徴でもあるオートフィルムローダー(以下、AFL)は、原稿カバーに内蔵されている。AFLカバーの上部を押すと、AFLカバーが手前に開いてフィルム挿入口が出現する。35ミリスリーブをフィルム挿入口のガイドに沿って差し込むと、自動的に吸い込まれていく。
こう書くと簡単そうだが、うまく吸い込ませるにはコツと慣れが必要だ。材質が硬めのフィルムだと、オートロードの位置までなかなか差し込めない。筆者も最初のうちは何度となく失敗した。AFLにセットした35ミリスリーブを取り出すときは、挿入口の右にあるイジェクトボタンを押す。
また、フィルムスキャン時は、原稿カバー裏の光源保護マットを取り外す。これはフィルムホルダ製品と同様だ。フラットベッドスキャナの構造上、さすがにこの作業まで自動化、省略化するのは難しいだろう。
AFLは多少の制約と弱点もある。表1のようなフィルムは使えず、スキャン後は35ミリスリーブ両端の穴(パーフォレーション)に搬送跡が残りやすい。AFLにセットしたあとでは、フィルムに付着したホコリを除去しにくいのも使っていて気になった。
表1■GT-F550のAFLで使えない35ミリネガスリーブ
フィルムホルダを使う製品では、ホルダを持ちつつ裏返しながら、エアダスターやブロワーでフィルムのホコリを吹き飛ばせるが、AFLではそうはいかない。
GT-F550はソフトウェア処理の「ホコリ除去」機能を持つとはいえ、最上位のGT-X700が備える赤外線ハードウェア処理の「Digital ICE」やキヤノンの「FARE」と比べて、どうしても精度が落ちる。35ミリスリーブをAFLにセットするときは丹念にホコリを払い、すばやくスキャンを完了させるようにしたい。
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