オートフィルムローダーで簡単フィルムスキャン――EPSON「GT-F550」(3/4 ページ)

» 2004年07月09日 14時13分 公開
[リアクション,ITmedia]

 もう1つ重要なのは、35ミリスリーブの各コマをサムネイルでプレビューし、任意のコマを別画像として連続スキャンする機能だ。もはや当たり前となった機能だが、各コマをサムネイル化するときの範囲を、大中小の3段階から選べる点に注目したい。

 「小」では1コマの周辺部がかなり切り取られ、「中」で1コマのほぼ全体、「大」では1コマの外枠までサムネイル化される。通常は「中」で十分だが、各コマの全体を画像化したいときは「大」に設定したほうがよい。

35ミリスリーブの各コマをサムネイル化する範囲は、EPSON Scanのホームモードかプロフェッショナルモードの環境設定で変更する。大中小の3段階から選ぶが、実際のサムネイル画像で範囲の違いを確認してほしい
左からサムネイル大、中、小。サムネイル化の範囲は、左上の木の枝、右下のイスを見ると分かりやすい。通常は「中」で十分だ

色再現性に優れ、スキャンも高速

 画質は原稿の色再現に優れ、階調性もいい。反射原稿については、指摘すべき点は見あたらない。シャドウ寄りとハイライト寄りの階調も、完全ではないがしっかりしている。コントラストと彩度の不自然な強調もなく、素材色にかなり忠実なので、好みによっては地味に感じるかもしれない。印刷物だと色相が微妙にずれる場合もあるが、これは多かれ少なかれどのスキャナでも見られる。

 フィルムスキャンは、シャープネスに若干の甘さが残るものの、目くじらを立てるほどではない。ポジフィルムの色再現性も上々だ。ネガフィルムは若干アンダー気味で彩度が低めになるようだが、色調が適正なので簡単に補正できる。EPSON Scanのプロフェッショナルモードで、ヒストグラム補正やトーンカーブ補正を使って、調整してからスキャンするとよい。スキャン後の画像をレタッチするよりも、画像の劣化が少なくて済む。

 速度の詳細はグラフにまとめた。全体的に高速で、特にフィルムスキャンのスピードは、過去のモデルより着実に速くなっている。サムネイルプレビューの範囲や粒状低減機能のオン/オフは、スキャン速度にはほとんど影響しない。ただしホコリ除去を有効にすると、ソフト的な処理の分、速度は落ちる。何秒くらい遅くなるのかは、PC環境にも左右されるので一概には言えないが、テストPCでは10秒前後遅くなった。

 GT-F550がマッチするのは、普及クラスの銀塩コンパクトカメラやレンズ付きフィルムで、たくさんの写真を楽しんで撮っているユーザー層だ。銀塩一眼レフとそれなりのレンズ資産を所有していたり、被写界深度をコントロールした写真を撮っているような人は、やはり専用のフィルムスキャナを買ったほうが後悔しないだろう。GT-F550のAFLはフィルム保護の点で運用上の気配りが必要だが、少ない操作と高速なスキャンのおかげで、大量のフィルムもサクサク画像化していけるのが大きな魅力だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月10日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  3. M4チップ登場! 初代iPad Proの10倍、前世代比でも最大4倍速くなったApple Silicon (2024年05月08日)
  4. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  5. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  6. iPad向け「Final Cut Pro 2」「Logic Pro 2」登場 ライブマルチカム対応「Final Cut Camera」アプリは無料公開 (2024年05月08日)
  7. パナソニックがスマートTV「VIERA(ビエラ)」のFire OSモデルを6月21日から順次発売 Fire TVシリーズ譲りの操作性を実現 (2024年05月08日)
  8. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  9. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
  10. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー