第4回 簡単なファンコントローラーを作ってみよう自作PCユーザーのための夏休み工作教室(2/3 ページ)

» 2004年08月18日 08時00分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

回転可変しなきゃファンコンじゃない!

「ファンコンを作るといったのに回転数可変じゃないじゃん!これではセレクターだ」と言われそうなので、「簡易型ファンコンその1」を作ることにしよう。次回はもう少しバージョンアップした「その2」を作る。

 最初に作ったものでも分かるように、電圧を下げればファンの回転数は落ちる。そこで電圧を可変してやればよさそうだ。電圧を下げるための基本が「分圧」だ。

 今までは抵抗は固定抵抗を使っていた。これはもちろん抵抗値が一定なので好きなように変えられない。これに対して「可変抵抗器」というものがある。自由に変えられる可変抵抗と、ある程度変えられる半固定抵抗とに分けられ、前者はアンプのボリュームなどで使われていた。今回はコストを抑えて、基板上における半固定抵抗を使おう。こんな感じのものだ。

半固定抵抗

 半固定も固定も基本構造は同じで、どのぐらい自由に動かせるかの違いしかない。よく使われているのは固定抵抗同様、抵抗体となる炭素被膜があって、これに第三の端子がその上を動くようになっている。これで基本抵抗値から0Ωまで自由に変更できるわけだ。

 で、分圧の話に戻るが、たとえば半固定抵抗の両端に電池のプラスとマイナスを接続して、移動する第三の端子とマイナスとの間をテスターで測定するとどうなるだろうか? 第三の端子がもっともマイナス側にあれば0ボルトを示すだろうし、もっともプラス側にあれば電池と同じ電圧になりそうだ。

 では中間はどうなるかというと、もちろん中間の電圧になるのだが、抵抗によってその可変度合いが変わる。「動かす角度と抵抗値」が比例関係になるのを「Bカーブ」、「角度と電流値」が比例関係になるのが「Aカーブ」と言って、可変抵抗はAカーブのものが、半固定抵抗ではBカーブのものが多い。

 つまり、12ボルトの電源を半固定抵抗器の両端に接続して、第三の端子とGNDにファンを置けばファンコン……というのはダメで、ファンが電流をほとんど流さなければよいが、実際にはそういうことはなく、ファンにはしっかり電流が流れるので意味がない。

 ではファンと可変抵抗を直列に取り付けて抵抗値を変えれば……というのもダメだ。これは抵抗器でも言える話だが、可変抵抗器は一般に電力を通せるものではない。第1回のときに買ってきた抵抗袋には1/6ワット(または1/4ワット)と書いてあると思うが、これはこの抵抗で消費できる電力はこれまでですよという内容だ。

 低オームの抵抗に電圧をかけすぎると、電流が流れすぎて抵抗が発熱に耐えられなくなり煙を出して「焼けて」しまう。半固定抵抗も電力を通せるものではない。

 ちなみに、最初に説明した電圧低下を抵抗で行うタイプのアダプタも売られているが、これは大電力にも耐えられる大きな(≒定格消費電力の大きい)抵抗を使っている。

 しかし、電圧を変えるというアイディアはよさそうだ。そこで登場するのが「安定化電源IC」だ。「3端子レギュレーター」の名で知られているこのICは、入力電圧がふらつくものでも、出力は安定化させるというものだ。ただし、出力電圧よりもある程度大きい電圧を必要とするうえ、その差の電力はすべてIC内で消費するので発熱量も多い。

 3端子レギュレーターの特殊なものとして、電圧を外部で設定できるタイプがある。これを使えばなんとかなるだろう。秋月電子通商の通販リストを見ていたら、最大1.5アンペアまで対応できる「NJM317F」(LM317のコンパチ品)が2個150円で売られている(店頭では一個単位で買える)。

3端子レギュレーター「NJM317F」

 NJM317Fは「TO-220」という形式のパッケージに入っている。後ろが平たくて大きいのは熱を逃がすためで、必要に応じてヒートシンクを付けるわけだ。と言ってもCPUクーラーのような大げさなものではなく、小型のものだ。

ヒートシンクは千石電商で購入(40円)。止めるプラねじも1個10円で買える

さていよいよ回路のお話

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