最新のマルチペーパーハンドリング搭載の両面印刷対応複合機――PIXUS MP770(2/2 ページ)

» 2004年11月19日 11時30分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]
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印刷品質は多色インク機に肉薄

 画質は?というと、これがまたキレイである。写真印刷の発色傾向は、MP900とほとんど同じだ。手にとって普通に見比べる限り、MP900とMP770の見分けはつかない。付属の印刷ツール「Easy-PhotoPrint」で、自動画像補正処理を有効と無効で出力したときの違いもほとんど同じだ。有効だと色が少々薄くなり、無効のほうが自然な雰囲気になることが多い。

 MP900とMP770で差があるのは、微妙な諧調表現と明暗差が大きい部分での粒状感だ。この2点においては、低濃度インクを持つMP900のほうが滑らかで精細な出力が行える。と言っても、眉間にシワを寄せて凝視したり、ルーペを使ってやっと分かるくらいの違いだ。この差を大きく感じるか小さく感じるかは、画質に対するこだわり度でまったく変わってくる。

●サンプル1

Easy-PhotoPrintでの自動補正オン
Easy-PhotoPrintでの自動補正オフ
Easy-PhotoPrintで、自動画像補正処理を有効と無効で出力したもの。この画像については、MP900と若干だが違った結果だった。有効ではコントラストが高くなり、花びらの赤が少し沈んだ色になった。無効は全体的に明度が高く、鮮やかな発色だ

●サンプル2

Easy-PhotoPrintでの自動補正オン
Easy-PhotoPrintでの自動補正オン
同じく自動画像補正処理の有効と無効の違い。こちらはMP900とまったく同じ。有効はコントラストと明度が高い硬質なイメージだ。無効のほうが柔らかく自然な発色だ

 スキャン画質も満足だ。反射原稿はMP900と比べてわずかに暗くなりやすいものの、原稿色の再現性が高いので補正は簡単。ネガフィルムは、もう少し濃い目の発色でもよかったが、色調が変に狂うことはない。粒状感も少なく、細部までシャープな表現力だ。

●反射原稿

原稿と比較するとやや暗い。中間調を明るくして、ほんの少し彩度を上げてやると見栄えがよくなる

●フィルム

全体的に淡い発色だが、ネガフィルムの色作りとしては良好。筆者がレタッチするとしたら、レッド系とブルー系の彩度を上げつつ、明度を落とす

 MP900と比較しながらMP770を紹介してきたが、あくまで複合機として考えるなら、MP770のほうが「より複合機らしい」機体だ。顔料Bkを持つので、普通紙への文字印刷がにじみにくく、黒も引き締まっている。コピーと普通紙印刷が速い点と、今年版のマルチペーパーハンドリングで使い勝手に優れる点も高く評価したい。

 微妙な画質差と写真印刷の速度が気にならなければ、MP900よりMP770をお勧めする。複合機のシェアでは第3位に甘んじているキヤノンだが、追撃の主力となるのはMP770だろう。

速度比較など

 各種の速度については、MP900とMP770を比較してみたい。CCDの光学解像度と、インク構成の違いを念頭に置いてグラフを見てほしい。

●コピー時間

原稿はキヤノンの「インクジェットプリンタ総合カタログ(2004年9月版)」の43ページ目。からーコピーの「きれい」設定を除いて、MP770が圧倒的に高速。画質的にも「標準」設定がもっともおすすめだ

●スキャン時間(反射原稿)

原稿はキヤノンの「インクジェットプリンタ総合カタログ(2004年9月版)」の表示。こちらもMP770のほうが全体的に速い。CCDの光学解像度による感度の違いがおもな理由だと思われる(光学解像度が高くなるとCCDの1画素あたりの感度が低下するため、速度が落ちやすい)

●スキャン時間(35ミリネガスリーブ)

ネガフィルムのスキャン時間はほとんど同じだった。光学解像度の違いは、CCDの移動速度やUSBの転送速度に吸収されてしまうのだろう

●プリント時間

フォト用紙への写真印刷は、さすがにMP900が速い。はがき印刷は「標準」設定がおすすめなので、7秒程度の違いなら気にならない(「きれい」設定にしても見た目の画質はあまり変わらない)。普通紙の「標準」設定は、画質も速度もMP770の勝ちだ
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