画質は?というと、これがまたキレイである。写真印刷の発色傾向は、MP900とほとんど同じだ。手にとって普通に見比べる限り、MP900とMP770の見分けはつかない。付属の印刷ツール「Easy-PhotoPrint」で、自動画像補正処理を有効と無効で出力したときの違いもほとんど同じだ。有効だと色が少々薄くなり、無効のほうが自然な雰囲気になることが多い。
MP900とMP770で差があるのは、微妙な諧調表現と明暗差が大きい部分での粒状感だ。この2点においては、低濃度インクを持つMP900のほうが滑らかで精細な出力が行える。と言っても、眉間にシワを寄せて凝視したり、ルーペを使ってやっと分かるくらいの違いだ。この差を大きく感じるか小さく感じるかは、画質に対するこだわり度でまったく変わってくる。
●サンプル1
●サンプル2
スキャン画質も満足だ。反射原稿はMP900と比べてわずかに暗くなりやすいものの、原稿色の再現性が高いので補正は簡単。ネガフィルムは、もう少し濃い目の発色でもよかったが、色調が変に狂うことはない。粒状感も少なく、細部までシャープな表現力だ。
●反射原稿
●フィルム
MP900と比較しながらMP770を紹介してきたが、あくまで複合機として考えるなら、MP770のほうが「より複合機らしい」機体だ。顔料Bkを持つので、普通紙への文字印刷がにじみにくく、黒も引き締まっている。コピーと普通紙印刷が速い点と、今年版のマルチペーパーハンドリングで使い勝手に優れる点も高く評価したい。
微妙な画質差と写真印刷の速度が気にならなければ、MP900よりMP770をお勧めする。複合機のシェアでは第3位に甘んじているキヤノンだが、追撃の主力となるのはMP770だろう。
各種の速度については、MP900とMP770を比較してみたい。CCDの光学解像度と、インク構成の違いを念頭に置いてグラフを見てほしい。
●コピー時間
●スキャン時間(反射原稿)
●スキャン時間(35ミリネガスリーブ)
●プリント時間
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