今、なぜモバイルマウスなのか――Logitechが語る「本気と情熱」インタビュー(2/3 ページ)

» 2004年12月15日 22時13分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

独自の2.4GHz帯無線を採用することで得られるメリット

ITmedia その2.4GHz帯無線はV-500の大きな特徴の一つであると思われます。これを採用した理由やメリットを教えてください。それと広報資料によると10メートルの到達範囲を実現する、周波数ホッピング(Frequency Hopping)方式の2.4GHz帯無線を採用しているとあります。これはBluetooth規格で採用されている方式や周波数とほぼ同じように思えますが、何か違いはあるのでしょうか。

Ashish まず2.4GHz帯のメリットですが、まず無線到達距離が10メートルと、従来の27MHz帯無線と比べて約5倍の距離を、そして27MHz帯無線製品と比べ電池寿命の延長も実現しました。例えばノートPCを持ち込んで、どこかの会議室でPowerPointのプレゼンを行うというシチュエーションがある場合など、10メートル届くという性能は非常に有効です。

 また会議室、喫茶店、オフィス内など、ワイヤレスマウスを利用する複数の人間が作業しているシチュエーションにおいて、まったく異なる周波数帯を使用することから、混線や干渉もほぼなくなるというメリットがあります。なお2.4GHz帯無線製品は、仮に同周波数帯を同時使用するユーザーが20名を超えて存在していたとしても何ら干渉することなく使えます。

 もう一つ、2.4GHz帯無線の採用はデザインにも一役買っています。本体シャシーには、従来の27MHz帯無線製品では使用できなかったアルミ素材が使われ、本体強度を上げることと同時に高級感の演出がなされました。また、27MHz帯無線製品ではスチール製デスク上でうまく動作しないこともありましたが、2.4GHz帯無線製品では問題なく利用できます。

photo 裏面シャシーにはアルミ素材が採用される

 Bluetoothと今回採用した2.4GHz帯無線技術について、使用しているプロトコルこそは異なりますが、信号の波形はほぼ同じです。ではなぜBluetoothではないのか。さまざまな理由がありますが、大きくは製品価格と利便性です。Bluetooth規格とするのももちろん可能ですが、かなり高価になってしまうことが分かりました。そして(独自の無線技術を用いることは)Connectの作業もまったく不要にでき、電池の長寿命性に関しても有効だったためという理由もあります。

単にサイズを小さくして「ノートPC用」としたわけではない

ITmedia このV-500、海外ではすでに発売され、なかなか好評と聞いています。日本で発売するにあたり、ずばり日本のユーザーに対し、どのような大きなメリットが挙げられますでしょう。改めて三つポイントを教えてください。

Ashish 三つのポイントとなると、

  • スムーズにスクロールできる機構とそのスタイル
  • 次世代の2.4GHz周波数帯を採用した利便性
  • これら新技術を組み合わせながら、モビリティ性に妥協していない

 に尽きます。これまで、Logitechもバリュー、ミッドレンジといった製品も多くリリースしてきました。競合メーカーの多くは、その価格帯における価値提案というところで競争しています。

 これまでそのような競争において他社製品の場合は、単なるフルサイズマウスをサイズだけ小さくして「ノートPC用だ」としてリリースされていたことも多かったように思います。

 しかしノート用にマウスを使うユーザーのセグメントとして、どのようなニーズを持つユーザー層なのかをきちんと理解し、そしてどのような製品が望まれているのかということはもちろん、ユーザーの気持ちやその感情的なものも理解するように努めました。

 それらマーケティング調査やユーザーフィードバックで得られたことに基づいて、適切な製品を適切な顧客に向けて用意することを目標としたわけです。

2.4GHz帯無線の今後は

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