今回の評価では、NVIDIAとATIから提供されたリファレンスボードを試用した。NVIDIAのリファレンスボードはnForce 4 Ultraを搭載し、ATIのリファレンスボードはRADEON XPRESS 200を搭載する。ただし、RADEON XPRESS 200はローカルフレームバッファを実装していないタイプになっている。
今回は、それぞれのパフォーマンスを比較するために、ITmediaのマザーレビューで定番の「SYSmark2004」「PCMark04」「Sandra 2004 SP2」「Winbench 99 Disk Winmark」をAthlon 64 4000+を基幹とするシステムで測定した。また、RADEON XPRESS 200のグラフィックス機能をIntel 915Gと比べるために、「3DMark05」をPentium 4 540&Intel 915Gの組み合わせと、Athlon 64 3500+&RADEON XPRESS 200の組み合わせで測定している。
テスト環境その1 | nForce4 Ultra | RADEON XPRESS 200 |
CPU | Athlon 64 4000+ | |
メモリ | PC3200 512Mバイト×2 | |
ビデオ | RADEON X700 Pro(256Mバイト) | |
HDD | 日立GST Deskstar 160Gバイト/7200rpm/Ultra ATA | |
OS | Windows XP Professional(英語版) | |
ServicePack2、DirectX9c |
テスト環境その2 | Intel GMA 900 | RADEON XPRESS 200 |
CPU | Pentium 4 540 | Athlon 64 3500+ |
メモリ | PC3200 512Mバイト×2 | |
マザーボート | AOpen i915Gm-I | ATI リファレンスボード |
HDD | ST3160023AS | 日立GST Deskstar 160Gバイト/7200rpm/Ultra ATA |
OS | Windows XP Professional(英語版) | |
ServicePack2、DirectX9c |
FSB、メモリ周りのパフォーマンスは、両者ほとんど違いはない。わずかにRADEON XPRESS 200が下回る値となっているが、これはドライバチューニングの完成度が影響していると考えていいだろう。
それよりも、顕著な違いを示しているのが、ストレージが関わるDisk WinMarkやPCMark04のHDDのテストだ。IXP400が影響しているのは十分考えられるところである。ただ、ULiのサウスブリッジと組み合わせた場合、このあたりのパフォーマンスは大きく変わる可能性があるので、これがRADEON XPRESS 200の致命的な欠点とは考えなくてもいいかもしれない(マザーボードを購入する場合、搭載されているサウスブリッジを確認する必要は出てくるだろう)。
内蔵グラフィックスのパフォーマンスの比較は、Pentium 4とAthlon 64という根本的な相違があるため、参考値程度であるが、ともにUMAを利用した場合のパフォーマンスを比較している。3DMark03でも3DMark05でもRADEON XPRESS 200が優勢となっているが、CPUの違いを考慮すると、ほぼ均衡していると考えていい。
3DMark05で「圧倒的」というほどの違いがでているが、GT結果を個別に見ていると、片や2.8、1.7、2.9であるのに対し、片や1.2、0.9、1.2と似たり寄ったりのFPSとなっている。ゆえにこちらも、Scoreの値ほどにはパフォーマンスは違わないと思われる。
NVIDIAとATIのPCI Express対応チップセットのパフォーマンスはストレージ周り(もしくはサウスブリッジ周り)以外をみればほぼ互角。ただし、組み込まれた機能を比較するとnForce 4が魅力的に見えるかもしれない。
RADEON XPRESS 200の強みは内蔵されたグラフィックス機能であるが、フレームバッファがない状態でもIntel GMA 900相当のパワーはあるようだ。それに加えて、内部構成やサポートする機能はIntel GMA 900より優れている。グラフィックス機能とコストを重視するユーザーにとっては、インテル、AMDを取り混ぜてもRADEON XPRESS 200は有力な選択肢になるのではないだろうか。
マザーボードとしての機能を優先させるならば、nForce 4搭載マザーを、コストを優先させて統合型チップセットを選択するならRADEON XPRES 200搭載マザーを、というように性格の違いがある両者だが、それは、そのままAthlon 64を基幹とするシステムが、幅の広いユーザーに対応できるようになったことにつながる。両者のラインアップが店頭に並ぶ、年末から年明けにかけて、Athlon 64に注目しているユーザーはアップグレードの絶好の時期になるだろう。
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