Apple Computerのスティーブ・ジョブズCEOによるMacworld Conference & Expo/San Francisco 2005基調講演は、「初めてHDプロジェクションを使った」という話から始まった。この「HD」へのこだわりが、後で明らかになるわけだ。
トピックとしては、Appleの小売り販売状況に関するものから始まった。開始して2年半で日本を含め101店に達した直営店では、1週間で100万人という、Macworld Expo入場者の20倍に相当する数を集客していることを示した。
話題は2004年秋に登場した「最も美しいコンピュータ」(ジョブズ氏)iMac G5に移り、四半期ベースでフルに販売されたこの一体型液晶デスクトップは、Appleのコンピュータとしては「最もポピュラーなもの」となったとジョブズ氏。
2004年7月のWWDCで発表された次期Mac OS XメジャーリリースであるMac OS X v10.4 “Tiger”については、スケジュールどおり、2005年前半のリリースを改めて表明。「Longhornよりもはるかに前に出荷する」と、Microsoftのスケジュール遅れを皮肉った。
「新機能は200以上あり、すべては説明できないから」とデスクトップ検索機能であるSpotlightを説明した。「Spotlightを真似たものがいくつか出てきた」と、GoogleとMicrosoftによるデスクトップ検索への参入について触れ、ユーザーフレンドリーなインタフェースではないと一蹴して聴衆の笑いを誘った。ただし、画像検索デモの途中でフリーズし、すぐにバックアップシステムに切り替えるという一幕も。
Mail(メール機能)もTigerでは大きく進化した。検索機能は高速化され、検索した結果はSpotlightの機能を利用した「スマートメールボックス」にそのまま移行できる。添付画像はiPhotoとの統合がスムーズなものになっている。
QuickTime 7は、スケーラブルで高品質なH.264ビデオコーデックを採用している。携帯電話からHDビデオまでサポートする規格で、HD DVDやBlu-rayなどの高品位DVDビデオ規格でも利用可能になるだろうとジョブズ氏は述べた。HDムービーのデモでは映画「HERO」の映像が使われた。
Tigerの目玉機能の1つであるDashboardのWidget技術は、小さな専用機能を持ったアプリケーションを作り出すもので、ステージでのデモが披露された。まず株価トラッキング。ここでAppleの株価がどんどん上がっているグラフを見せて観客の爆笑を誘った。ジョブズ氏は通貨換算(ドル→円)、イエローページ検索(SF市内のすし屋を探す)、単語翻訳(FrenchFries→フライドポテト)、eBayオークショントラッキング、天気予報などがOpenGLベースのグラフィック、効果で実行される様子を観客に見せた。なぜか日本に関連するデモが多く見られた。最後にH.264採用の次期iChat AVを使い、4人の同時テレビ会議をデモした。
次に、2005年は「HDビデオ編集の年」だとジョブズ氏は述べ、低価格ビデオ編集ソフトのHD版「Final Cut Express HD」を紹介した。アニメーションタイトル作成のLiveType、独自のサウンドトラック作成ソフトSoundtrackを組み込み、iMovieファイルとの統合も行われている。Motionとプロジェクトの統合も実現している。2005年2月に出荷予定で、「Final Cut Express HD」は299ドルから。
ジョブズ氏は次に、iLife '05を披露した。iTunes以外はすべてのアプリケーションがアップグレードされている。iTunesは基調講演後、iPod shuffleをサポートした4.7.1にマイナーアップデートされた。
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