比べて分かる、音の明瞭度――PC音楽派向けサウンドカード「SE-90PCI」を試すサウンドカード(4/4 ページ)

» 2005年04月12日 11時00分 公開
[浅井研二,ITmedia]
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オンボードのそれと比べると、やはり音の明瞭度が違うと分かる

 今回、手持ちのオンボードサウンドとUSBオーディオデバイス、手持ちのオーディオアンプ+スピーカーのほか、前述の「GX-77M」にも出力してみることも含めて各々のアナログ/デジタル出力と聴き比べてみた。

 まず試聴したのは、普段聴くことが多いと思われる音楽CDやMP3(平均300Kbps程度のファイル)だ。この場合、もともとのソース自体が16ビット/44.1kHzにとどまることになるが、筆者のつたない耳でも、さすがにチップセット内蔵のサウンド機能とは、大きな差が感じられた。当然ながらオンボードでも表立って雑音が混じるわけではないが、やはり音の明瞭度が違う。

 USBオーディオデバイスと比べた場合は、チップセット内蔵のそれほどは大きな違いはない印象。ただ、いろいろ聴いてみるとSE-90PCIのアナログ出力はやはり優れているなという部分は多い。例えば、全体に音のメリハリやバランスがよく、単体再生では気が付かなかったノイズも抑えられているといったところである。

 問題は24ビット/192kHzソースのデジタル出力だが、これは実質的に「GX-77M」で聴いてみるしかないので、あまりコメントのしようがない。もちろん、たしかに出力サンプリングレートを48kHzにした場合と192kHzとでは音の奥行き感が違うようには感じる。

 それに、一般ユーザーがPCで24ビット/192kHzで記録されたステレオ音声を扱うのは現状、市販のDVD-Audioくらいではなかろうか。たしかに、最近のDVD再生ソフトには、DVD-Audio対応の製品もいくつか存在する。ただし、いずれにせよダイレクトでのデジタル出力はできず、24ビット/192kHzのままで再生できるDVD再生ソフトはインタービデオ「WinDVD 6 Platinum」くらい、しかも、クリエィティブメディア「SoundBlaseter Audigy2」シリーズか、「Intel High Definition Audio」対応システムと組み合わせた場合に限られる。

 いちおう「SE-90PCI」の付属CD-ROMには、24ビット/192kHzで記録されたWAVE形式サンプル音声ファイルが収められている。しかし、これ以外の24ビット/192kHz音声ファイルを扱うのは、一般ユーザーにとってはなかなか機会が少ないだろう。「気軽に高品位な音声出力を」というコンセプトでつくられている製品だけに、そういった意味では、24ビット/192kHzデジタル出力を目当てに購入するというのは考えにくい。

 そのため、SE-90PCIの真価はアナログ出力の品質の高さにある、と言える。この粒だった音は、たしかに一般的な――オンボードないし標準の――PCオーディオ機能とは一線を画する。オンボードの音声出力では満足できないと1度でも感じたことがあるなら、この製品はまさにおあつらえ向きだ。

 USBオーディオデバイスと比べても、音質面でひけをとることなく、ロープロファイルPCIで内蔵できるという点で有利だ。もちろん、デジタル出力に関しても質は高い。また、際立って大きな差とはいわないが、AC-3/DTSのパススルー出力においても、ほかのオーディオデバイスと比較して、若干の音質向上が感じられたことも付け加えておきたい。

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