きょうは「無印」GeForce 6600のNVIDIA SLIでベンチを回して梅雨空を見上げてみたグラフィックスカード(2/2 ページ)

» 2005年07月07日 16時16分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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Aquamark3

DOOM3(timedemo demo1)

FarCry(HardwareOC River)

Half-Life 2(HardwareOC d13c17)

 むむむむ。と、思わず唸ってしまう結果となった。無印GeForce 6600のNVIDIA SLI構成では、単体のときよりパフォーマンスはアップするものの、その絶対性能はGeForce 6600GTの1枚構成に及ばない。なお、3DMark05の3DMark値とAquamark3で無印GeForce6600のNVIDIA SLI構成がGeForce 6600 GTを上回っているのが、これは、NX6600-VTD256EHのビデオメモリ容量が256Mバイトであるのに対し、GeForce 6600GTのサンプルとして使っているGIGA-BYTE「GV-NX66T128D」が128Mバイトと少ないことが影響していると考えられる。

 このようにビデオメモリ容量に違いがあって、条件的には無印GeForce 6600が有利であるのにも関わらず、市販ゲームによるベンチマークの結果は単体のGeForce 6600 GTが圧倒的優勢である。

 現在、GeForce 6600搭載グラフィックスカードを2枚購入するとその実売価格は2万5000円から3万円といったあたりになる。その価格からすれば確かにGeForce 6600 GT単体程度のパフォーマンスでもいいかもしれない。ならばGeForce 6600 GTを1枚購入したほうが、先々の拡張を考えると有利、と考えるユーザーは多いだろう。

 ちょっと横道にそれるが、GeForce 6600のNVIDIA SLIによるパフォーマンス向上のレートは、3DMark03で重負荷時1.8倍、3DMark05では1.9倍、Aquamark3に至っては重負荷時で2.4〜2.8倍と、NVIDIA SLIがかなりの効果を発揮していることに、少なからず注目しておきたい。市販ゲームでも重負荷時で1.5倍に近いパフォーマンスアップを実現している。

1024×768ドット1600×1200ドット
nonAA、nonAniso4AA、8AnisononAA、nonAniso4AA、8Aniso
3DMark05 Score1.88 1.92 1.82 1.86
3DMark03 Score1.54 1.83 1.49 1.84
AquaMark Score1.69 2.24 2.41 2.81
FarCry(HardwareOC River)1.09 1.44 1.22 1.52
half-life2(HardwareOC d3c171)1.18 1.48 1.34 1.56
DOOM30.98 1.41 0.91 1.47
 GeForce 6600カード1枚構成時のベンチマーク結果を1としたときの、NVIDIA SLI構成における相対性能

 言うまでもなく、このレートはブリッジチップを使っていない状態における値である。NVIDIA SLIでブリッジチップを使ってきた理由は、2つのGPUにおけるデータの送出にブリッジチップで接続されたバスも使うことで、データ転送の性能を高めることにあった。ならば、ブリッジチップを使わない状態ではNVIDIA SLIの性能がフルに発揮されていないことになる。

 下に示したデータは、GeForce 6600GT搭載カードのNVIDIA SLI構成において、ブリッジチップを使わない場合と使った場合のパフォーマンス向上レートを比べたものだ。

non connectconnect
1024×768ドット1600×1200ドット1024×768ドット1600×1200ドット
nonAA、nonAniso4AA、8AnisononAA、nonAniso4AA、8AnisononAA、nonAniso4AA、8AnisononAA、nonAniso4AA、8Aniso
3DMark05 Score1.69 1.62 1.56 -1.77 1.62 1.68 -
3DMark03 Score1.48 1.55 1.43 1.59 1.68 1.77 1.76 1.78
AquaMark Score1.17 1.37 1.35 1.72 1.20 1.42 1.46 1.90
 GeForce 6600GTカード1枚構成時のベンチマーク結果を1としたときの、NVIDIA SLI構成における相対性能。ブリッジチップを使ったときと使わないときを比較している

 3DMark05/03とAquamark3の結果を並べてみたが、ブリッジチップの有無で、性能向上レートが変わってくるのが分かる。ただ、GeForce 6600GTのNVIDIA SLIでブリッジチップを使った場合でも、最も性能が向上して2倍弱、3DMark系ベンチでは重負荷条件で1.7倍から1.8倍弱程度である。GeForce 6600はブリッジチップがない状態でも、十分高いレートで性能向上をはたしていることになる。

 ブリッジチップ用コネクタを実装した無印GeForce 6600搭載カードとしてAlbatronが「PC6600U」を市場に投入しており、今回のNVIDIA SLI対応解禁によってそのパフォーマンスに注目が集まっているが、今回の検証でブリッジチップなしでも高い性能向上を実現いる状況からすると、コネクタを持たないGeForce 6600搭載カードとPC6600UでNVIDIA SLI構成時にどれだけパフォーマンスの差が出るのか興味深いところである(PC6600UのNVIDIA SLI時におけるパフォーマンスは後日レポートする予定)。

 「メインストリームの低価格PCでも使えるように」という目的で解禁された「無印」GeForce 6600のNVIDIA SLIであるが、そのパフォーマンスを見る限り、残念ながら一部ベンチマークを除いてGeForce 6600 GTに及ばない。GeForce 6600搭載グラフィックスカード2枚分の実売価格を考えると、GeForce 6600GT1枚買うことを否定するほどのメリットを見出すことは難しい。

 「まずは、GeForce 66001枚にしておいて家族に対するインパクトを和らげておいて、後からもう1枚をひそかに付け足してごまかす」という、私みたいな気弱ユーザーにとってはそれなりの意味もあるかもしれない。

 しかし、それでもやっぱり、ここは勇気を出して家族を説き伏せ、(最低でも)GeForce 6600GTを1枚買い、空いているPCI Express x16スロットを眺めながら「いつかはここにもう1枚差して、NVIDIA SLIで爆走してやるぜ」と夢を抱きながら日々暮らしていくのが、前向きで心身によろしいのではないか、とついつい考えてしまう、今回の検証作業であった。

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