「有機ラジカル電池」で緊急バックアップ NEC、PC内蔵型を開発

» 2005年08月05日 19時15分 公開
[ITmedia]

 NECは8月5日、デスクトップPCに内蔵できる小型の「有機ラジカル電池」を開発したと発表した。無停電電源装置(UPS)代わりに使用でき、急な停電の際に作業中のデータをHDDに格納する仕組みも組み込んだ。将来の実用化を目指して研究開発を進める。

 有機ラジカル電池は2001年にNECが提案。ポリラジカルと呼ばれるプラスチック材料を蓄電材料として使い、ラジカルの酸化還元反応を利用して充放電する。反応速度が他の電池と比べ10倍以上高速で、短時間の充電や大電流での使用が可能という。

 実証試験では、耐久性と出力を高めた試作品を開発。1つ35ワットの電池を4個直列接続(140ワット)し、NEC製デスクトップPCに組み込んだ。PCはPentium IVを搭載し、消費電力は228ワット、平均96ワット。AC電源が停止すると、異常を自動感知して電池電源に切り替え、作業中のデータを保存できることを確認した。

 電池は4個直列でも5.5×4.5×1.6センチ、88グラムと小さく、PCに内蔵が可能。外部UPSが不要になるため、省スペース化が図れる。水銀や鉛などの有害物質も不要な上、安定なプラスチック材料を蓄電材料に使うため、異常時にも発煙・発火の危険性が少ないという。

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