現地発、途上国仕様PCとは?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

» 2005年09月05日 14時11分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

PCを知る途上国の人々の本音

 いまや世界中の人々がPCとはなにかを知っている。経済水準が低い国のPCを持たない人ですらPCがなんであるかを知っている。デスクトップPCは縦長の直方体の形状で、ノートPCはベアボーンノートPCのような形だと思っている。PCはネットカフェやビジネスで使われるもので、メールをしたり文書を作って印刷したり、ゲーム機のように遊んだりもできる機械、と思われている。

 さらに、PCは簡単に分解できて、修理や部品の交換が可能であることもよく知られている。そのため、一般的に「PCの価値」とは「組み込まれたPCパーツの合計」と考える人々も多い。筆者が数々の途上国を訪れたときに、昔なら初代Librettoとか、最近ならVAIO Uとかを使っているのが見つかると「これもPCか!」と驚く。しかし一見すると同じ形状だが、「見ために見えないスペック」で秀でているThinkPadやLet's note、Qosmioなどの凄さを理解できるユーザーはなかなかいない。

当時筆者が持っていたLibrettoに驚くインドの女性

 その国だけに適合するスペックに絞ったPCを生産するとそれだけコストはあがる。となると、スペックが同程度のワールドワイド向けPCと比べれば当然価格も高くなる。消費者としては、いくら地域の特殊事情にあった特別なPCであっても、それが通常のPCよりも高ければ安いPCを選択するだろう。先ほども述べたように、PCはお決まりのパーツを組み合わせた「だけ」と思われているのだから。

 そういうことならば、通常よりもスペックを下げてコストを抑え、抑えたコストで防塵仕様のケースを使ったPCを途上国市場に供給すればウケるのではないか。実はそういうコンセプトで開発されたPCがある。AMDの「パーソナル・インターネット・コミュニケータ」(PIC)だ。AMDも「50×15 イニシアティブ」を掲げ、途上国市場に注目している。ターゲットはインテルと同じ「インド、メキシコ、ブラジル、ロシア、中国など世界中の高成長市場」(プレスリリースより)だ。PICのスペックはGeode GXをCPUとするWindows CEマシン。このハードウェアとOSでWebが見られて、オフィスソフトやWindows Messengerが動く。

AMDの「パーソナル・インターネット・コミュニケータ」(PIC)はGeode GXとWindows CEの組み合わせ

 PCで実用的な機能を欲するインド人にはいいだろう。調べ物のためにWebを巡回し、必要な機能をフリーのオンラインソフトでカバーし、遠く中東に出稼ぎに行った親族とチャットで連絡をとり、文書や表計算ソフト、プログラミングの勉強もできる。もちろんインドだけではなく、PCを実用的なものと認識している国では受け入れられるだろう。

 しかし、中国のようにPCを「娯楽の機械」と考えて、インターネットカフェがPC普及の起爆剤となっている国ではそうはいかない。インターネットカフェでユーザーはヘビーな環境を要す3Dグラフィックスを駆使したゲームを楽しむ。PICではスペック不足だ。ゲームはまともに動かない、OSがWindows CEだから街で売られる海賊版のビジネスソフトやゲームソフトが動かない、なんてことを知った途端に、中国の多くのユーザーは敬遠するだろう。

 インドのような実用主義の市場を開拓するために、低スペックの特別仕様PCは受け入れられた。ハイスペックでなければ満足できないユーザーが多い国で同じ特別仕様PCは売れない。中国などのインターネットカフェがPC普及の牽引役を担う国で、インテルやAMDは、現地のユーザーを満足させる“現地特別仕様PC”を提供できるだろうか?

中国のハイスペックPCだらけのネットカフェ

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