一見すると「ちょっと大きめのノートPC」だが、手に持つとその重さに一層驚く。カタログスペックを見ると、バッテリーを含めた総重量は5.1キロ。これは同じNECでも、さらに大きな17インチワイド液晶を搭載したLaVie TWの4.4キロを上回る。もちろん、「無駄に重い」わけではない。本機に付加された「充実した」AV機能が、この重さを生み出しているのだ。
「充実したAV機能」の一番は「音」だ。LaVie TはNECのデスクトップでおなじみの平面パネルスピーカー「SoundVu」を液晶パネルに採用している。スペース的に制約の多いノートPCで一番苦しいのがスピーカー。小口径のユニットを搭載せざるを得ないため、テレビの音を自然なボリュームで再生できるAVノートPCは意外と少ないが、本機はSoundVuの採用でその制約を見事に解消している。
さらにサブウーファを本体に内蔵。ボリュームだけでなく低音再生も充分だ。実際に鳴らしてみると、その違いは明らかである。ソファーに深く座ってPCから離れても充分な音量はもちろん、並みのPC用スピーカーをも上回る音質で聴かせてくれる。LaVie Tのボリュームと重さは、これらスピーカー装備によるところが大きいだろう。
テレビ画質についても、NECの高画質化回路「VISITAL」に改良を加え、これまでの機能にMPEG-2デコーダと、ノンリニアスケーリング回路を追加している。CPUに余裕のある最近のPCで敢えてMPEG2デコーダをハードウエアで搭載したのは、PCでよくある「ながら視聴」でもCPU負荷をかけることなく、高画質表示を実現するため。また、スケーリング回路と直結することで、4:3から16:9のワイド変換を滑らかに実行できる。ただし、このMPEG-2ハードウエアデコーダとスケーラーは、インスタント機能では働かない。
理屈はともかく、実際の画質を見てみると確かにWindows上でのテレビアプリ(MediaGarageやSmartVision)は少々シャープではあるが、動きの速い場面でインターレースのギザギザが少し見られた。個人的には、少々ソフトでもインタレース縞のないインスタント機能が好みだったが、それでも、それほど大きな違いがなかったことも事実。
メーカーは液晶ディスプレイの詳細スペックを公表していないが、左右だけでなく、上下方向の視野角も広めで、輝度も明るい。普通のテレビ視聴には充分な画質だ。これ以上の改善は、デスクトップVALUSTARで採用している液晶オーバードライブ回路などを採用しないと難しいだろう。
PCとしての基本性能にもAVノートとしての性能を意識している。その典型的な例が2台搭載されたHDDだ。実用的な録画時間を実現するには、ノート向けのHDD1台では、容量不足と言われても仕方ないのだが、店頭モデルの本機は80Gバイトを2台で合わせて160Gバイト搭載している(直販モデルのLaVie G タイプ Tでは200Gモデルも用意されている)。これならAVレコーダのエントリー機並みの容量で標準モードでも60時間、長時間モードなら100時間を超える録画時間を実現する。
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