今回評価する「GLADIAC 970GTX」はGPUに先日NVIDAIから発表された「GeForce 7800 GTX 512」を搭載する。このGPUは、型番だけを見ると「GeForce 7800 GTXのビデオメモリ512Mバイト対応にしただけ?」と見過ごされそうだが、実は、動作クロックを大幅にアップした「プレミアムバージョン」だったりする。
「GeForce 7800 GTX Ultraと名づけられるはずだった」と噂されるこのGPUが、どういう経緯でいまの名称になったのかは定かでない。大幅にアップした動作クロックはコアクロック550MHz、メモリクロックに至っては転送レート1.7Gbpsに達する。VertexShaderユニット8個にPixelShaderパイプライン24本と、GPUの構成はGeForce 7800 GTXと同じ。GPUのプロセスルール、対応するメモリ規格とインタフェースのバス幅、サポートするAPIもGeForce 7800 GTXと変わらない。
しかし、クロックが大幅に上がった分、消費電力は増加した。外部電源入力は従来と同じ12ボルト6ピン(4ピンコネクタを2本つなげる形式)であるが、最大消費電力はNVIDIAが明らかにしているカタログスペックで130ワットに達している。そのため、冷却機構がGeForce 7800 GTXの1スロットに収まる薄型クーラーユニットから変更された。
GeForce 7800 GTX 512を搭載した「GLADIAC 9700GTX」に採用されたクーラーユニットは2スロットを使う大型のもの。ほかのベンダーから出荷されている同じGPUを搭載するグラフィックスカードも、これとほぼ同じユニットを採用している。大きなアルミジャケットでGPUとビデオメモリから熱を吸収し、その熱を4本のヒートパイプで幅広のフィンで構成されたヒートシンクに誘導。大型ファンで強制冷却する仕組みだ。
冷却ユニットの大きさとヒートパイプ4本という大掛かりな構造、そして大サイズのファン。高クロックのGPUを搭載しているだけに、その見かけが与える印象は「猛烈な轟音を発するグラフィックスカード」である。しかし、実際に動作させると、起動時こそファンが高速で回転するものの、その後は終始低速で静かに回転している。ファンは負荷にあわせて回転数を可変させるタイプだが、負荷が大きいFuturemark系のベンチマークテストを動かしているときでも、ファンの回転数は低いままであった。
大きいファンを低速で回す、という手法はGeForce 7800 GTXをオーバークロックさせた一部のグラフィックスカードに搭載されたクーラーユニット「NV Silencer 5」でも取られていた。以前、このクーラーユニットを搭載していたASUSのGeForce 7800 GTX“オーバークロックバージョン”のExtreme N7800 GTX TOPをレビューしたときも、見かけとは違う、高い静音性能に驚いたのだが、GLADIAC 9700GTXのクーラーユニットも、まったく同じで、その外見と異なる静音性能に驚かされた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.