スリムノートPCがほしいのだ! 工人舎の挑戦─ APERA SSレビュー(2/2 ページ)

» 2006年02月14日 10時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
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スリムボディは魅力なのだが…

 一般的に、薄型のノートPCでは内部のスペースが狭く、大がかりな冷却システムを導入できない。それゆえ、小型で薄い冷却ファンを高速で回転させるために耳障りな風切り音が発生しがちだ。本機も例外ではなく、直径3センチほどの小型なファンが内蔵されている。

 試しに、複数のベンチマークテストを動作させて高い負荷をかけたところ、ファンの風切り音よりも、負荷に応じてファンの回転数が切り替わるのが気になった。加えて、1.8インチのHDDがあるパームレスト左側と、CPUなどが配置されている底面右側の熱が40度を超えた。いうまでもなく、Webのブラウジングやメールのやりとりをする程度ではここまで熱くならず、ファンの回転数も一定に保たれるが、長時間使用しているとパームレストの左右で温度差が徐々に広がる傾向にあった。

 ちなみに、本機ではCPUに超低電圧版のPentium M 733(1.10GHz)を、チップセットに2世代前のIntel 855GMEを、HDDには1.8インチのドライブ(容量は40Gバイト)を搭載し、システム全体で消費電力の低減を図っている。また、CPUやチップセットの熱をボディ全体に逃がしているのだが、やはりスリムボディゆえに自ずと限界があるようだ。

メモリスロットや1.8インチHDDには底面から簡単にアクセスできる。本機のメモリースロットは1基で、出荷時に256Mバイトのモジュールが装着されている。オンボードの256Mバイトとあわせて、標準で512Mバイトのメモリを実装する半面、空きスロットはない。HDDを外部の衝撃から守るべく、周囲がラバーで覆われている。

拡張性はほどほどだが配置は良好

 拡張性に目を向けると、薄型ゆえコネクタ数はそれほど多くないが、配置はよく考えられている。ケーブルを接続する必要があるアナログRGBや有線LAN、FAXモデムは邪魔にならない背面にまとめられ、そのほかの端子を左右に分散させた格好だ。SDメモリカードスロットを左側中央に備え、デジカメなどのデータを容易にやりとりできるのも重宝する。もっとも、USB端子は両側面に用意してほしかった。

前面中央に液晶パネルの開閉ラッチと赤外線ポートが並ぶ。背面には左からDC端子、FAXモデム、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)、USB 2.0×2、アナログRGB端子が用意されている。
SDメモリカードスロットやサウンド、USB 2.0の各端子が左側面に、TypeIIのPCカードスロットが右側面にある。マウスを接続する場合は、左利きの人を除いてケーブルの取り回しに苦労しそうだ。

新たな選択肢として要注目。今後の動きも期待

 本機をいろいろな角度から見てきたが、軽量・スリムPCの新たな選択肢として、気になる存在となるのは間違いない。今回は試作機のためテストはできなかったが、バッテリーの駆動時間は標準で約2.4時間、底面に取り付けるセカンドバッテリーを併用することで、重量が約1.2キロから1.8キロに増えるのと引き替えに、約7.5時間の駆動が可能になる。

 直接のライバルとなるであろう東芝のdynabook SS SXシリーズに比べ、ハードウェアのスペックやボディの薄さではまだまだかなわないが、工人舎の直販価格で16万9800円と、dynabook SS SXよりも5万円以上も安く手に入るのは魅力だ。

 昨今、1スピンドルの軽量ノートPCは、バッテリーの駆動時間や耐何キロといった堅牢性にばかりスポットが当たる傾向にある。もちろん、これらの要素も大事だが、スタイリッシュでカバンへの収まりがよいスリムなPCが、世の中にもっとあっていい。新ブランドAPERAの歩みはまだ端緒についたばかりだが、その試みには大いに期待したいところだ。

 なお、同社によれば、今後はメモリの増設サービスや、カラーバリエーションモデルの投入なども検討しているとのこと。可能であれば、まずはヨドバシカメラの店頭で実機に触れ、工人舎の心意気に触れてみてはいかがだろうか。

APERA SS 1 E20A
CPUULV Pentium M 733(1.10GHz/uFCBGA)
BIOSInsyde Software
チップセットIntel 855GME
ノース/サウスブリッジIntel RG82855GME/FW82801DBM
2次キャッシュ2048Kバイト(CPU内蔵)
メインメモリ容量標準512Mバイト/最大768Mバイト
規格DDR SDRAM(PC2700)
メモリスロット(空き)200ピンSO-DIMM×1(0)
ハードディスク容量Parallel ATA 40Gバイト
回転数4200rpm
パーティションC:33.5Gバイト(NTFS)
型番TOSHIBA MK4004GAH
光学ドライブスピード−(オプション/外付けUSB接続)
型番
フロッピードライブ−(オプション/外付けUSB接続)
ディスプレイサイズ12.1インチ低温ポリシリコン液晶
解像度1024×768ドット
グラフィックスチップチップセット内蔵(Intel RG82855GME)
グラフィックスメモリメインメモリと共有(最大64Mバイト)
サウンドチップチップセット内蔵(AC'97コーデック)
光デジタル音声出力
PCカードスロットTypeII×1 CardBus対応
Expressカードスロット
メモリカードスロットSDメモリカード/MMC
USBUSB 2.0×3(左側面×1/背面×2)
IEEE1394
ビデオ出力アナログRGB
キーボード日本語85キー
キーピッチ/ストローク横17.5×縦16.5ミリ/2ミリ
ポインティングデバイスタッチパッド(Synaptics)
イーサネット100BASE-TX/10BASE-T(Realtek製)
無線LANIEEE802.11g/b準拠(Intel製)
Bluetooth
FAXモデム56kbps(V.90)/14.4kbps
バッテリ仕様リチウムポリマ(14.8V 1500mAh)
バッテリ駆動時間約2.4時間
バッテリ充電時間約1.3時間(電源オフ時)
ACアダプタ仕様AC100〜240V 50/60Hz
サイズW47×D105×H28.6mm
重量約330g(ケーブル込み)
外形寸法288(幅)×231(奥行き)×18.6〜28.8(高さ)mm
重量約1.2キロ
搭載OSWindows XP Home Edition(SP2)
システムのリカバリ方法HDDリカバリー
評価機の価格実売16万9800円(Web直販価格)
主な付属品ACアダプター、電源ケーブル、モジュラーケーブルなど
主な付属ソフトWinDVD 5、B's Recorder GOLD8 Basic、Norton AntiVirus 2005(90日評価版)など

※パーツの型番は評価機に搭載されていたもので、製品では異なる場合があります



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