BTXでパワフル、しかも小型でスタイリッシュなデスクトップPC――デル「Dimension 5150C」ダイレクトPC最前線

» 2006年03月13日 09時09分 公開
[兼子忍&ダイレクトPC取材班,ITmedia]


白と銀のボディが目を引くDimension 5150C

 デルの個人向けデスクトップPCブランドの「Dimension」シリーズには、机の上にも無理なく設置できる省スペースモデルが2製品ラインアップされている。その中で、PCの基本性能とマルチメディア性能を重視したパフォーマンスモデルに位置付けられるのが、Dimension 5150Cだ。BTXフォームファクタを採用した実力派で、同社のデスクトップPCシリーズの中核を占めている。BTOメニューでは、インテルが提唱するホームエンターテインメントPCの新プラットフォームViiv対応の構成も選択可能で、OSにはWindows XP Media Center Edition 2005(Update Rollup 2)のほか、Windows XP Home Edition、同Professionalが用意される。

ユニークな形状のスモールタワーケースを採用

 本機の特徴として挙げられるのが、94(幅)×365(奥行き)×315(高さ)ミリの小型ボディに、BTXプラットフォームを詰め込んだ点だ。前面中央にある8センチ角の吸気ファンから背面の排気口まで、CPUやチップセット、HDDといった熱源を直線的に配置して、ケース内部にスムーズな気流を生み出すことで、発熱量の多いパーツを効率よく冷却できる。また、電源ユニット内に7センチ角の排気ファンを内蔵するが、システムに高い負荷をかけてもファンの風切り音がそれほど耳につかないのも好ましい。ただ、BTOメニューでファンレスのグラフィックスカードを追加すると、ベンチマークテストなどを連続して行ったさいにはボディ全体が熱を帯びた。

容積が約10.8リットルとコンパクトなケースで、縦置き時もスタンドが不要なのはうれしい。側面のカバーはワンタッチで取り外せるため内部にアクセスしやすく、ドライブや拡張カードもドライバ要らずで取り外せるのもポイントが高い。ただ、内部のパーツはかなり密集しており、メモリスロット周辺はケーブルがごちゃついている。また、光学ドライブ用のフレキシブルケーブルが細い上に非常に長いので、扱いには気をつけたい。なお、左端は前面のカバーを開けたところで、。BTOメニューでは、ここにメモリカードリーダー/ライター(プラス3000円)か2モード対応のフロッピードライブ(プラス2400円)を追加可能だ

 ユニークなケースの構造にも注目したい。前面の吸気ファンは、前端より少々奥まった場所に配置され、フロントベゼル下半分の両脇に吸気口を設けている。騒音源となる冷却ファンを最前面に配置しないことで、ファンの風切り音が直接ユーザーの耳に届くのを防ぐほか、吸気口をデザインとして上手く取り入れて、見栄えのよさを両立している。

 光学ドライブと前面の端子類は、ケース前面の上半分を覆うカバーの中に搭載される。このカバーは、フロントベゼル中央のボタンを押すと上方向にスライドし、天面にそって自動的に倒れる仕組みとなっている。半面、カバーを閉じるさいは、カバー自体を本体にしっかりと押し付けながら下にスライドさせる必要があり、スムースに閉じるには若干の慣れが必要と感じた。端子類は前面に2基のUSB 2.0とIEEE1394(6ピン)、ヘッドフォン端子、背面に6ピンのIEEE1394や5基のUSB 2.0という余裕のある構成で、外付け型周辺機器による機能拡張も柔軟に対応できる。

alt 【動画/AVI/240×320ドット/1.86MB】前面カバーが開くところ

 ケース内部には、向かって右側のサイドカバーを外してアクセスする。このカバーは天面後部にあるレバーを押すだけで取り外せるほか、ドライブ類と拡張カードをネジを使わずに固定できるなど、ツールフリー化が徹底されており、購入後のメンテナンス作業も容易に行えそうだ。

 なお、拡張スロットはPCI Express x16/x1スロットが1基ずつと最小限の構成になっている。取り付けられるカードはロープロファイルに限られるが、省スペース機であってもグラフィックス機能の強化に対応する点は見逃せない。ちなみに、標準ではIntel 945Gチップセット内蔵のグラフィックスコアを利用するが、BTOメニューではATI RADEON X600 SE搭載カードを選択可能だ。最新の3Dゲームは荷が重いが、統合チップセットではプレイすることが厳しいゲームを楽しめるのはポイントといえるだろう。

 ドライブ類は光学ドライブがノートPC用のスリムタイプ、HDDはSerial ATAタイプを1基ずつ収納できる。BTOメニューでは、前者がDVDスーパーマルチ/DVD±RW/コンボ/CD-ROMドライブ、後者が容量500G/250G/160G/80Gバイトと豊富に用意されている。ドライブの内部増設はできないので、予算が許す限りゆとりをもって選択したいところだ。

nanoBTXに対応した独自仕様のマザーボード

Intel 945Gチップセットを搭載したnanoBTXフォームファクタ準拠のマザーボード。小型ながら4本のメモリスロットを備えているのが光る。なお、IDE端子や前面のUSB端子などは独自のコネクタ形状になっている

 チップセットにIntel 945G Expressを採用したオリジナルのマザーボードは、2本の拡張スロットを備えたnanoBTXに対応。マザーボードの小型化と拡張性のバランスを確保したもので、PCI Express x16対応のグラフィックスカードに加え、PCI Express x1対応のカードも追加できる。BTOメニューには、ATI製のTVチューナーカード「ATI TV Wonder Elite」(ハードウェアエンコーダやデコーダを1チップにまとめたTHEATER 550 PROを搭載)が用意されており、インテルが提唱する家庭用PC向けプラットフォームブランドのViivに準拠したモデルにすることもできる(。このあたりは、先に紹介したDimension 9150と同様で、TVチューナーカードを選択すると、OSを必ずWindows Media Center Edition 2005にしなければならないのも共通だ。

上位モデルに迫るパワフルな構成も選べるBTOメニューを用意

 ボディは小型だが、ミドルレンジに位置するモデルだけに、BTOメニューはなかなかパワフルなパーツが並んでいる。CPUはデュアルコアのPentium D 830/820(3GHz/2.80GHz)のほか、3GHzで駆動するPentium 4 630を選べる。メモリは最大2Gバイトまで(システム自体は4Gバイトまで搭載可能)、HDDは最大500Gバイトまで選べる。BTOメニューのパーツを見ていくと、やはり省スペース性とパフォーマンスを兼ね備えた1台に仕上げたい。最小構成モデルなら9万円台と手ごろな価格で購入できる本機だが、CPUやメモリなど基幹部分に高性能パーツをおごりつつ、そのほかのパーツには妥協するといった具合にやり繰りすれば、限られた予算の中でも満足度の高い買い物ができるはずだ。さらに、定期的に行われているお得なクーポン券や、ディスプレイとのセット割引を組み合わせて、同じ予算で1ランク上の性能を手に入れられるのも魅力的といえる。


コンパクトなViiv印の「ダブルTVチューナー」モデルに仕立てる――兼子忍のオススメBTO

 Dimensionシリーズの中で最もコンパクトなボディを生かして、TV機能を楽しめるモデルを提案したい。BTOメニューでTVチューナーカードを追加すると、OSが必然的にWindows Media Center Edition 2005になるので、それを利用してViiv準拠のホームPCを目指した。多彩な液晶ディスプレイがBTOメニューに用意されているが、今回はTVチューナー内蔵の23インチワイド液晶TV(W2306C)を追加して、PC内蔵のとあわせて「ダブルTVチューナー」モデルとしたのが見どころだ。もちろん、2番組同時録画には非対応だが2番組同時視聴は可能で、PCの電源を入れずにTV番組を見られるのもミソといえる。液晶TVとPC用に2つのリモコンが必要なのは痛いが、下記の構成でも22万円をわずかに超える程度で収まっており、前述のクーポン券を使えば20万円以下で購入するのも夢ではない。

BTO内容 項目
CPU Pentium D 820(2.80GHz)
メモリ 512MB(256MB×2/PC2-5300)
グラフィックス チップセット(Intel 945G)内蔵
HDD 250GB(Serial ATA)
光学ドライブ DVD±RW(DVD+R DL対応)
TV機能 ATI TV Wonder Elite(シングルTVチューナーカード)
カードリーダー 13メディア対応カードリーダー/ライター
液晶 23インチワイド液晶TV(1366×768ドット/W2306C)
OS Windows XP Media Center Edition 2005
価格 22万975円(クーポン適用せず)
価格は2006年3月13日現在



小型でシンプルな素モデル+格安プリンタを買う――ダイレクトPC取材班のオススメBTO

 今回は、会社で使っている古いPCのリプレースを念頭にBTOを試みた。できる限り安くあげるために、主要なパーツは用意されるメニューの中で最低ランクのものばかりを選んだが、それでもCPUのPentium 4 630(3GHz)を筆頭に不満のないシステムになった。特筆に値するのは、PCと同時購入ならばわずか980円で購入できるプリンタを追加したことだろう。というのも、会社にあるネットワークプリンタが席からかなり遠いところにあるため、手ごろな単機能プリンタを探していたからだ。市販のインク代(しかも1色分程度)でプリンタ本体を手に入れられるのだから驚きだ。ちなみに、コピーやスキャナ機能を備えた複合機は3モデルラインアップされており、5880円から購入可能とこちらもかなりリーズナブル。もちろん、随時発行されているクーポン券を使えば、10万円を切る価格で入手できるだろう。

BTO内容 項目
CPU Pentium 4 630(3GHz)
メモリ 512MB(256MB×2/PC2-5300)
グラフィックス チップセット(Intel 945G)内蔵
HDD 80GB(Serial ATA)
光学ドライブ コンボ
TV機能
カードリーダー 13メディア対応カードリーダー/ライター
液晶
そのほか カラープリンタ 725
OS Windows XP Professional
価格 11万6480円(クーポン適用せず)
価格は2006年3月13日現在


Viivに準拠するためには、以下の条件をすべて満たす必要がある。OSがWindows XP Media Center Editionであること、CPUはインテルのデュアルコアCPU(Pentium D/Core Duo) で、チップセットはIntel 975/955/945シリーズ(サウスブリッジはICH7-DH/ICH7M-DH)、オーディオがHDオーディオ、有線LANがIntel PRO/1000 PM/Intel PRO/100 VE/VMのいずれか、HDDがNCQをサポートしたSerial ATA、そしてインテル製のソフトウェア プラットフォームドライバ(Matrix Storage ConsoleやQuick Resume Technology Driver、Viivソフトウェア)が導入ずみのもの

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