連載
» 2006年03月20日 17時00分 公開

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:フォーとネットカフェで夜を明かすベトナムのPC事情 (1/3)

最近のベトナムは「世界の工場」「世界の市場」になるべく急速に成長しつつある。大都市ハノイを中心に、ITやPCが普通の人々の生活にどこまで入り込んでいるのか「東南アジアの突撃ライター」山谷氏がリポートする。

[山谷剛史,ITmedia]

 現在急成長中のベトナムでは国民所得も急激に増加している。東南アジアの大都市の例に漏れず、この国でも膨大な数のバイクが街中を走っているが、最近になってバイクの奔流に車を見かける機会がずいぶんと増えている。個人向けのPCが店頭に並び、なんと安価なADSLも登場した。「家族でわいわいインターネットで一家団欒」という光景がベトナムでも「ありえる」状況になっているのだ。

 とはいえ、まだまだ発展途上のベトナムである。発展途上国は概して貧富の差は激しい。ベトナムも例外ではない。ごく少数の金持ちと大多数の貧しい一般市民でベトナム社会は構成されている。そういった事情を一切無視してひとまとめに計算した「ベトナム全土における平均月収」は日本円にして5000円とされている。それがホーチミンやハノイ、ダナンといった大都市圏に限るといきなり2倍の1万円程度になる。このように地域による所得差が激しいこの国にもIT関連技術はやってくる。そんなベトナムにおける「ITのある風景」をハノイを中心に見てみよう。

「PCのある風景」はベトナムのどこにある

 「平均月収5000円」に満たない大多数の「一般的ベトナム人」はPCをどこで使うのだろうか。中国でも紹介したが、やはりこの国でもまずはネットカフェということになる。若い人を中心にゲームやメールやチャットで遊んでいる姿をここで見ることができる。値段は1時間15円(ベトナム貨幣で2000ドン)で15分単位で課金する店が多い。ベトナムの庶民にとっても気軽に楽しめる値段なため、夜の早い時間なら客が多くPCの稼働率は高い。ネットカフェは、大都市はもちろん省都(中国と同様、ベトナムの行政階層も省と市からなる)クラスの街でもよく見かけた。大都市の中心街になるとそこらじゅうにネットカフェがある。

 ネットカフェのPCにみんな何をしているのか。脇からチェックしてみると、ゲーム(オンラインゲームのみならずスタンドアロンゲームも盛んだ)を楽しんでいる利用者やオンラインで音楽を聞きながらチャットやニュースサイトを閲覧している利用者が多い。Microsoft Officeといったビジネスアプリケーションを学ぶ利用者も少数ながらみかけた。

 このように、ネットカフェのPCが娯楽で使われるのが多いのに対して、「PHOTOCOPY」と書かれた看板を掲げている店ではPCをビジネスツールとして客に利用させている。「PHOTOCOPY」と看板に書いてあるのものの、店に写真を現像したり焼き増ししたりする機械はない。その代わりに中古と思わしきコピー機やデスクトップPC、プリンタが置かれている。置いてある機械を見て分かるように、この店はコピーやファイルの出力などを請け負う日本でいえば“Kinko's”のようなビジネスセンターなのだ。このPHOTOCOPY屋も大都市から省都クラスの都市まで数多く存在する。

ベトナムはハノイのネットカフェ。中国のそれとはちょっと、いや、ずいぶんと雰囲気が異なる

PHOTOCOPYと書かれたビジネスセンター

 南北に長いベトナムでは旅行者が集まる観光地もベトナムの南北に散らばっている。ベトナムには(とくに観光地において)外国人向けのミニホテルが多い。観光で訪れた外国人旅行者のために、この小さな安ホテルでもロビーにPCを数台置くのがいまや普通だ。客がPCを利用していない間は若い従業員もロビーのPCを使っている。

 片言ながら英語を話せる彼らの給料はベトナムの中でも安いほうだが、それでも知り合った外国人旅行者とフリーメールでコミュニケーションしたり簡単なテーブルゲームをしたり文章を書いたりWebブラウジングをしたりと、興味の向くままに使いながらPCを学習している。こうしてベトナムのミニホテルで働く従業員は、PCを買える高給取りでなくとも、PCを操作する能力を身に付けるのだ。

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