ウルトラハイエンドのFireGLで国内WS市場の挽回を狙うATI

» 2006年03月29日 20時07分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 Fire GLはATI Tecnologies(以下 ATI)のワークステーション向けグラフィックスカードのブランドである。現在、ハイエンドの「Fire GL V7100」にミドルレンジの「Fire GL V5100」「同V500」、そしてバリューレンジの「Fire GL V3100」というラインアップが用意されている。新たに登場したFire GL V7300シリーズはFire GL 7100の後継ではなく、さらにその上に位置する「ウルトラハイエンド」とATIが呼ぶレンジをカバーする。

FireGL V7350

 Fire GL V7300シリーズは上位モデルの「Fire GL V7350」と下位モデル「Fire GL V7300」の2モデルが投入される。Fire GL 7350のコア構成はコンシューマー向けGPUのRADEON X1800シリーズと同等で、90ナノメートルのプロセスルールを採用し、8ユニットのVertex Shaderユニット、16本のPixelShaderパイプライン、リングバスアーキテクチャなどが実装され、ShaderModel 3.0、高画質化機能「Avivo」に対応する。

 Fire GL 7350とFire GL 7300の違いは搭載できるビデオメモリの容量のみで、Fire GL 7350はGDDR3を1Gバイトまで実装できるのに対して、Fire GL 7300は512Mバイトにとどまる。

 ATIが示したデータによると、プロセッサとしての処理能力は3GHzで動作するPentium 4の7倍に達し、実際に業務で使われるアプリケーションを利用したコンテンツ作成ベンチマークや設計用CADベンチマークにおいて、NVIDIAのワークステーション向けグラフィックスカードを上回るパフォーマンスを発揮するという。

 先に述べたようにFire GL 7300シリーズにはAvivoが組み込まれている。コンシューマーユーザーには「デジタルコンテンツをきれいに見せるための機能」として知られているAvivoであるが、ワークステーション向けグラフィックスカードでもその高画質化機能は有効であるとATIは説明する。

ATIが示したQuadro FX 4500とFireGL V7300のパフォーマンス比較。ベンチマークはAlias(Autodesk)の「Maya」とUGSの「NX」を使っている

Avivoがサポートする「10ビットアナログ出力」機能が色深度の表現においてどれだけ有効であるかを示すグラフ。カラーバーの上に示された「人間が認識できる色の範囲」と比べて8ビット出力が対応できる色範囲は非常に狭いが、10ビット出力になると改善される。これは現在グラフィックスが重要視される医療分野において大きなメリットになるとATIは説明する

 Fire GLシリーズの日本における販売はアスクが担当する。同社代表取締役の武藤和彦氏はアスクにおけるFire GLシリーズの販売方針とその体制について説明を行った。

 現在アスクが扱っているワークステーション向けグラフィックスカードの日本国内における売り上げ構成比は「競合とATIの製品が10対1」(武藤氏)という状況にある。この現状を改善すべく、アスクはFire GLの認知度を向上させることに注力する。そのために、同社はFire GLのプロモーションに専従するスタッフを用意してATIの全面的なバックアップを受けながらアスクの販売網をフルに生かして営業をかけていくという。

 アスクから販売されるFire GL 7300シリーズはFire GL 7350搭載でGDDR3のビデオメモリを1Gバイト搭載する「ATIFGL735-1GER」が予想実売価格24万3250円で、Fire GL 7300搭載でGDDR3のビデオメモリを512Mバイト搭載する「ATIFGL7300-512ER」が予想実売価格19万5500円でそれぞれ登場する予定になっている。

会場には2月に発表されたマルチヘッドに特化した2D専用グラフィックスカード「FireMV」シリーズも展示されていた。ファンレス、ロープロファイルを特徴とするFireMVシリーズはPCI Express版とPCI版が用意されている。両方のバーションを組み合わせることで1台のシステムに複数のFireMVカードを組み込んで最大16個のDVI出力が可能になる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  2. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  3. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  4. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  5. AI対応でCore Ultraよりも高いパフォーマンスをアピール! 企業PC向け「Ryzen PRO 8000シリーズ」登場 (2024年04月16日)
  6. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  7. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー