実売3万円以下で両面印刷ユニットを標準装備――A4対応レーザー「Satera LBP3300」(1/2 ページ)

» 2006年04月05日 17時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
Satera LBP3300。実売価格は3万円を切る

 国内で14年もの間レーザプリンタ市場の覇者として君臨し続けるキヤノン。ここまで長期に渡ってシェアを維持し続けるのは並大抵のことではないだろう。実際、競合メーカーも首位奪還を目指して新製品開発に注力しており、そうした激戦を戦い抜きながらトップを走るのは、広告展開やブランドイメージの浸透による部分も大きいとはいえ、製品自体に魅力がなければ難しかったはずだ。その王者キヤノンが2月にA4モノクロ機のニューモデル「Satera LBP3300」をリリースした。価格はオープンプライスで実売は3万円を切る。今回、評価機に触れる機会を得たので、その詳細を紹介しよう。

エントリー機でも中身はしっかりSatera

 Satera LBP3300(以下、LBP3300)は、同社のレーザープリンタブランド「Satera」シリーズの中では最も低い価格帯に置かれる。同社はこのレンジを「空白だったゾーン」と呼び、その市場を獲得する製品としてLBP3300を投入した。同社によるとカラー/モノクロを合わせたA3対応機以上のゾーンでは、総出荷台数は横ばい状態ながら、その一方でカラーへの対応が進んでおり、その分モノクロ機の需要が減ってきているという。そのモノクロ対応機では、A3比率が下がり逆にA4比率の上昇が見られるという推計を行っている。つまりLBP3300は、比率が上昇しつつあるA4モノクロ機へのテコ入れとして投入されたモデルなわけだ。

 同社の言う「空白だったゾーン」は、一般OA用途におけるハイエンドとオフィスユースにおけるローエンドの両方をカバーするゾーンを指し、それをフォローするのがLBP3300になるという。そうした新たなゾーンが市場として存在するかは不明だが、これから述べるようにLBP3300の完成度は高く、実売で3万円を切る価格設定も相当アグレッシブであることは確かだ。

 一方、SateraシリーズにはA4カラー対応機である「LBP5000」という名機がある。こちらは実売6万円前後となっており、カラーとモノクロの差でLBP3300が3万円を切る価格設定だと考えればユーザーも納得できるだろう。もちろん、Sateraの冠をいただく以上、LBP3300もその特徴はしっかりと受け継がれている。その1つである「オンデマンド定着方式」の採用による「ウォームアップ0秒」はいうまでもなく、これに新開発のプリントエンジンを組み合わせることで「ファーストプリント9秒」「21ppm出力」など、エントリー機ながら魅力のある製品に仕上がっている。

低価格でも満足できるスペック

 まずはLBP3300の基本的な部分から見ていこう。本機は半導体レーザー+乾式電子写真方式を採用するレーザープリンタである。「Laser Beam Printer」を略してLBPとしているのはご存じの通りだ。出力可能な最大解像度は2400dpi相当×600dpiで印刷処理用のCPUは搭載せず、CAPT(Canon Advanced Printing Technology)というプリンティングソフトウェアを利用している。CAPTはPC側であらかじめ印刷の事前処理を行い、そのデータをパイプラインバースト転送でプリンタ側に送出して印刷するというキヤノン独自の技術である。そのため利用するPCのCPU性能に印刷処理も依存することになるが、最近のPCであればほとんど問題のない処理が可能だろう。

 カタログスペックでは電源オンから印刷可能になるまでのウォームアップ時間が7秒以下、アイドル状態からの復帰はウォームアップ0秒となっている。これが「オンデマンド定着方式」と呼ばれる同社自慢の技術だ。これは定着器に薄い定着フィルムを貼り、これをセラミックヒーターで直接加熱することで瞬時に定着器を印刷可能温度まで上げるという技術で、Sateraシリーズ共通の特徴にもなっている。実際、この機能は伊達でなく、Sateraシリーズのどれを取っても瞬時に印刷可能な状態になる。

 一方、内蔵メモリは増設できないものの、同社によればサイズの大きなデータであってもCAPTと標準搭載のメモリ(受信バッファのみ)で十分に印刷が可能だという。試しにベンチマークテストで21部(21ppmを計測するため)の印刷を行っても途中で息切れを起こすようなことはなかったし、高解像度の写真データを印刷しても極端に出力が遅くなるといったこともなかった。

 本機は標準で2400dpi相当×600dpi設定による出力となっており、この解像度でのカタログスペックを実現しているのも評価できる。ライバル機の中には標準の出力解像度を600dpi程度に抑えて高速印刷をうたう機種もあるからだ。もちろん600dpiでも実用上は問題ないクオリティなのだが、最高解像度で出力すると極端に速度が低下してしまうこともある。この点、LBP3300は見せかけの数字に頼らず、最高解像度でカタログスペックを維持しているのは立派である。

スクエアでコンパクトな本体とシンプルな操作系

 本機のサイズはA4モノクロレーザー機の中でも370(幅)×376(奥行き)×高258(高さ)ミリとスクエアかつ非常にコンパクトで、これなら設置場所に困るということはないだろう。カラーリングはホワイトとグレーにブルーのワンポイントをあしらった明るいイメージだ。本体背面にはOHPフィルムやはがき印刷など給紙トレイからのフェイスアップ排出口が装備されているが、本体上部のフェイスダウン排出口を利用する場合はフロントオペレーションが可能になっている。

本体前面(左)、背面(中央)、右側面(右)

 本体上部から下部にかけてのレイアウトはトナーカートリッジ装着用のカバー、給紙トレイ、給紙カセットといった順になる。標準の給紙カセットには250枚、この下部にオプションの給紙カセットを追加することで最大500枚の給紙が可能だ。印刷可能な用紙サイズは給紙カセットではA4、レター、B5、A5、システム手帳(エグゼクティブ)、給紙トレイは任意で76.2〜215.9×127〜355.6ミリ(封筒、洋形4号/2号、官製はがき、OHPフィルム、厚紙など)となっている。またオプションの有線LANユニット「NB-C1」を装着すればネットワークプリンタとしても利用可能だ。

トナーカートリッジ(左)、給紙トレイ(中央)、給紙カセット(右)

 操作系は本体上面に「給紙」「紙づまり」「エラー」「印刷可」といったランプと「ジョブキャンセル」ボタンを並べたシンプルな構成で液晶モニターなどは搭載していない。プリンタの各種ステータスに関しては、LEDランプの点滅の組み合わせで表示するのではなく、PC側のソフトウェア「プリンタステータスウィンドウ」から確認するようになっている。

 トナーは最近のモノクロレーザー機に多い標準トナーとオプションの大容量トナーが用意される。標準トナーのランニングコストは3.9円/枚、大容量トナーだと3.7円/枚となる。印刷可能な枚数は、標準トナーでは約2500枚、大容量トナーは約6000枚だ(いずれもA4/5%印刷時)。

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