WinHEC 2006の大きなテーマの1つが、メモリやドライブのアクセスにかかる時間の短縮だ。OSだけでなくハードウェアにも改良を加えることで、HDDのシーク動作などの待ち時間を減らしてユーザーにかかるストレスを低減させるのが狙いだ。
そこで期待されるのがフラッシュメモリを活用したドライブアクセスの高速化である。近年、東芝やSamsungを中心とするNANDメモリ陣営を中心に半導体メーカー各社のフラッシュメモリ市場への参入が相次いでおり、メモリの大容量化や低価格化が急速に進みつつある。HDDほどの大容量化はまだ難しいものの、代替品として活用可能なレベルの一歩手前までは到達している状態だ。フラッシュメモリでは、従来型HDDよりも高速アクセスや低消費電力化が可能である。IntelやMicrosoftなどはこの特性を活用して、PCの起動時間を数秒単位まで縮める装置の開発を進めている。
フラッシュメモリ市場のけん引役も担っている韓国のSamsungではフラッシュメモリを活用した「ハイブリッドHDD」と「SSD」(Solid State Drive)という2種類のデバイスをWinHECでデモストレーションしていた。SSDの「Solid State」とは「半導体素子」、つまり半導体メモリを活用したドライブ装置のことである。大容量の保存媒体を期待するユーザーには向かないものの、その高速性や低消費電力は、デスクトップPC用のドライブの1つとして搭載することでOSやアプリケーションの高速化を実現したりノートPCやUMPCなどの携帯デバイスに搭載することでバッテリ持続時間を向上させたりと、いろいろなメリットをもたらしてくれそうだ。
現在のところ高価格で大容量化が難しいというSSDに対し、HDDとフラッシュメモリのメリットをいいとこ取りしたのがハイブリッドHDDだ。主記憶装置としてのHDD以外にフラッシュメモリも搭載しており、このフラッシュメモリは装置全体のキャッシュのように動作する。よく使われるデータはフラッシュメモリ上に格納されることでハイブリッドHDD全体としてみれば、アクセス速度や消費電力効率が格段に向上することが期待できる。
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