新世代パーツで構成された軽量「デル」ノート──デル「Latitude D420」(2/2 ページ)

» 2006年06月29日 17時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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タッチパッドとスティックを実装したポインティングデバイス

 フットプリントは大きくなったLatitude D420であるが、搭載する液晶ディスプレイのサイズはX1と同じ12.1インチワイドだ。解像度も同じ1280×800ドットでこのサイズのノートPCとしては高い。Latitude X1の解像度が1280×768ドットなので縦方向にわずかながら表示が増えたことになる。

 ポインティングデバイスには、パームレストに配置されたタッチパッドのほかにキーボードにスティックデバイスが設けられている。細かい多数の突起をトップに配したゴム製カバーで覆われたスティックはわずかに滑りやすいものの、かけた指の力に対するカーソルの追従性は優れているのでストレスはほとんど感じない。コントロールパネルの設定でタッチパッドをオフにできるので、スティックを操作中に不用意に手首がパットに触れて思わぬ挙動を招くこともない。

 Latitude D420の発熱はパームレストでほとんど感じない代わりにキーボード、とくに右寄りで熱くなる。試しに[L][K]キーの間に熱伝対の温度計を差し込んだところ摂氏39.3度を示した(室温26.5度)。キーボード面の温度としてはやや高い。左右で差が大きいだけに([D][F]キー間で34度)キーボード右側の熱さは気になってしまう。

 筐体内部でも発熱するユニットが右寄りに集中しているらしく、冷却ファンは底面の右側背面よりに設けられたスリットから外気を取り込んで右側側面に設けたスリットから排出している。このスリット周辺の熱ははなはだ高く、じっと触れているのに辛抱がいるほどであった(ただし、先ほどの熱伝対温度計で測ってみると摂氏42度と意外にもそれほど高くなかった)。

ディスプレイは12.1インチワイドで最大解像度が1280×800ドット
キーボードはLatitudeに共通のレイアウト。ポインティングデバイスにタッチバットとスティックの2方式を実装しているのが特徴だ

 ファンの発する音はアイドリングの状態や負荷の軽い処理を行っている分にはすこぶる静かである。評価作業を深夜の個人住宅で行ったときもファンの音は気にならない。静かな喫茶店や図書館でも周りに迷惑をかけることはないはずだ。ベンチマークテストを走らせるとさすがに回転数が上がってくる。低めの「フィーン」という音は耳に障るほどではないが、それでも昼間のオフィスで使っていても聞こえてしまうほどの大きさであった。

パワーとサイズのバランスの取れたハイエンドモバイル

 先ほども述べたように、Latitude D420のシステム構成はIntel Core Soloをはじめとする新世代のCentrinoに一新されている。超低電圧版CPUであるIntel Core Solo U1400、同U1300を搭載するため、そのパフォーマンスはデュアルコアのIntel Core Duo搭載ノートほどではないにしても、同じコンセプトを持つ携帯重視タイプのノートPC(最新の製品はIntel Core Solo U1400、もしくはU1300を搭載するモデルが多い)に負けていない。

PCMark05
PCMark1319
CPU1764
Memory1915
Graphics619
HDD2096
HDD - XP Startup4281
Video Encoding80.609
Image Decompression6.337
WMV Video Playback23.377

PCMark04
PCMark2049
CPU2140
Memory2565
Graphics712
HDD2190
WMV Video Compression26.879
DivX Video Compression32.68

 今回使用した評価機材は「最高スペックの構成でレビューしてもらう」というデルの心配りのおかげでバッテリーが9セルの大容量パックを搭載していた。そのため、この手のノートPCで重要になる「実際に持って歩いたときの体にかかる負荷」は正しい評価ができないためこのレビューでは言及していない。しかし、カタログスペックにある1.3キロという値と突起やテーパがほとんどない板状の筐体、1280×800ドットの解像度を表示する12.1インチワイドディスプレイの視認性とキーボードの狭くないピッチとスティック式ポインティングデバイスの実装、そして侮れないパフォーマンスなど、携帯ノートPCに求められるスペックを見る限り、実によくバランスが取れていると考えられる。

 Intel Core Solo U1400を選択して、メモリ512Mバイト、4セルバッテリー、Bluetoothなし、メディアベースにDVD-ROM/CD-RWコンボドライブを載せたWindows XP Professional SP2構成で21万3000円という価格は飛びぬけてコストパフォーマンスが高いとはいえないが、それでも国産PCメーカーの競合製品よりは抑えられているといえる。

 ディスプレイと入力デバイスにある程度余裕が欲しいワンスピンドル軽量薄型ノートを探しているユーザーならぜひD420も候補に上げて検討して欲しい。

XPS M1710(評価機構成)
CPUIntel Core Solo U1300(1.06GHz/uFCPGA)
チップセットIntel 945GMS
L2キャッシュ2048KB(CPU内蔵)
メインメモリ容量1Gバイト
規格DDR2 SDRAM
メモリスロット(空き)200ピンSO-DIMM×2
ハードディスク容量シリアルATA 30Gバイト
回転数4200rpm
型番MK3008GAL
内蔵ドライブ
ディスプレイサイズ12.1インチ
解像度1280×800ドット
グラフィックスチップIntel GMA 950
サウンドチップSigmaTel STAC9200
光デジタル音声出力
PCカードスロットPCカードTypeII×1
Expressカードスロット
メモリカードスロットSDメモリカード
USBUSB 2.0×3(背面×3)
IEEE1394S400/4ピン×1(背面)
ビデオ入力D-Sub
ビデオ出力
ポインティングデバイスタッチパッド、スティックデバイス
イーサネット1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(BROADCOM製)
無線LANIEEE802.11 a/b/g準拠(Intel製)
BluetoothDell Wireless 350内蔵
FAXモデム56kbps(V.90)/14.4kbps
バッテリ仕様9セルバッテリ(68WHr)
ACアダプタサイズW57.8×D137.2×H28.3ミリ
重量約0.36キロ(ケーブル込み)
外形寸法W295×D209.8×H25ミリ
重量約1.36キロ(4セルバッテリー搭載時)
搭載OSWindows XP Professional(SP2)

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