スペックで見る本製品の最大の特徴は、WMV HD、MPEG-2 TS、DivXをサポートするハイビジョン再生機能である。再生解像度は最大1920×1080ドット(ただしWMV HDのみ1280×720ドット)、映像出力もコンポーネントで最大1080i、DVIで1080pの1920×1080ドットと、再生解像度に見合うかたちでの出力を用意している。
試しにフルHD解像度の液晶TVにコンポーネントで接続(D端子変換)し、各フォーマットの映像ファイルを1080iで出力してみた。評価に使用したのは、MicrosoftサイトからダウンロードしたWMV HD、DivX公式サイトからダウンロードした1280×720ドットのDivX、HDVカムから取り込んだ1440×1080ドットのMPEG-TSの3ファイル。本体内蔵のHDDに保存したファイルはもちろんのこと、同じファイルをPC上に置き、ネットワーク経由で試してもスムーズに再生できた。また、SD映像をあつかう場合と同じように、1/8倍速までのスロー再生と、最大32倍速の巻き戻し/早送り再生が可能なのもうれしいところだ。
WMV HDは最大解像度が1280×720ドットまでという制限が気になったので、MC-DC50U2の時と同様に1920×1080ドットのWMV HDファイルを再生し、720pと1080i出力を切り替えて比較してみた。目視なので確実ではないが、MC-DC50U2の場合と比較すると720pと1080i表示で解像感にほとんど違いはなく、確かに最大解像度が制限されているようだ。もちろん動画として視聴する限り、この制限に気付く人がそれほどいるとは思えないが、少し残念な部分ではある。
ちなみにMC-DC50U2では静止画の再生がSD品質になっていたが、DC-MC35UL2はHDだ。1920×1080ドットで再生されているかどうかまでは確認できなかったが、37インチの液晶TVに表示しても不満を感じない解像度である。そもそもMC-DC50U2の静止画表示解像度がなぜ低いのかのほうが謎だったりもするのだが……。
動作非保証のUSBホスト機能だが、MC-DC50U2とほぼ同条件でUSBストレージの動作チェックを行なってみたところ、HDD/メモリカードリーダー/DVDドライブを混在して最大4台まで認識できた。また、認識可能なパーティション数もとくに制限はないようだ。
一方、DVDドライブはHDDと区別されなかった(MC-CC50U2ではUSB接続でもCD-ROMとして認識する)が、コピーガードされていないDVD-Videoディスクであれば、「VIDEO_TS」フォルダ内の「VIDEO_TS.IFO」ファイルを選択することでメニューから再生される。なおビデオフォーマットのDVD-RAMに関してはMC-DC50U2同様に再生できなかった。
DC-MC35UL2は、WMV非対応という従来モデルの弱点を解消し、ハイビジョン再生にも対応、さらにネットワーク経由だけでなくUSBホスト機能を介したドライブからの再生をも実現した。また、従来同様にNDAS機能によりネットワーク経由で内蔵HDDへの読み書きが行えるが、これも公称値で約3倍も高速化している。USB接続に比べればずっと低速とはいえ、PCと離れた位置に本体などを設置した環境でもネットワーク経由でデータを読み書きできるメリットは大きい。
もちろん欠点がないわけではない。USBにDVDドライブを接続しても市販DVD-Videoディスクは再生できなかったり、ネットワーク接続での再生でもDRMに対応しないなど、メディアプレイヤーとして欠けている部分は確かにある。しかし、PCで録画/ダウンロードした(コピーガードのかかっていない)放送や、PCにため込んだ音楽ファイルなどをPCから離れた場所で再生する、というもっともメディアプレイヤーらしい用途では、最強と呼ぶにふさわしい機能を備えた製品だ。
なお、少し気になった点を補足しておくと、時折フォルダの選択後やフォルダをさかのぼる操作をした場合などに、表示が更新されるまでに妙に間があくときがあった。基本的には操作に対するレスポンスは快適なのだが、試用中にこの症状が発生してイラつかされることもあった。試作機ゆえの問題であればよいと思うが、機能面では魅力的な製品だけに気にかかった部分として挙げておく。
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