こっちも出るなら先に言ってくれよーというアナタの叫びはごく当然だったかもしれないHD再生対応のNAS型モデル――MOVIE COWBOY「DC-MC35UL2」メディアプレイヤーキット検証 その2(1/2 ページ)

» 2006年08月03日 16時43分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

2カ月遅れで登場したネットワーク対応モデル

 NAS機能を持つ新しいスタイルのメディアプレイヤーキットとして登場したMOVIE COWBOY「DC-ML35UL」シリーズに、待望のWMV9対応、さらにはハイビジョン再生も可能な後継モデルが登場した。この「DC-MC35UL2」は単純に再生フォーマットを拡張しただけでない。ネットワーク機能の強化やソフトウェアの改善、そして動作未保証ながらUSBホスト機能も搭載するなど、デザインはそのままに大幅なアップグレードを果たしている。

 ユーザーが任意の3.5インチIDE HDDを内蔵し、LAN接続することで内蔵HDDとネットワークドライブからマルチメディアファイルを再生できる点は従来と同様。デコードチップにSIGMA DESIGNSの「EM8621L」を採用しており、先に紹介した「DC-MC50U2」と世代的には同じだ。極端に要約すると、5インチベイ(DC-MC50U2)かネットワーク対応(DC-MC35UL2)かで両者を使い分けることになるだろう。ただ、DC-MC35UL2の登場がDC-MC50U2の発表から2カ月後だったこともあって、LAN対応の使い勝手に注目するユーザー(そしてすでにDC-MC50U2を購入してしまったユーザー)にとっては、かなり微妙な投入タイミングとなったようだ。

 そのネットワーク機能は、Windowsのファイル共有と互換性があり、PC側にサーバーソフトなどを必要としない導入のしやすさが特徴となっている。機能的にはシリーズ2製品めとなる「MC-DC35UL/N」に、WMV9とWMV HD、MPEG-TS、DivXのハイビジョン再生、AAC(iTunesでエンコードしたファイルもサポート)の再生機能を追加した製品と考えて問題ない。ボディデザインに変更はなく、静音性の高いファンレス構造をはじめ、側面パネルを外すだけでHDDの換装が可能という特徴もそのまま継承されている(側面パネルを固定するネジはコインで回すことができ、このネジはHDDの固定も兼ねる)。

本体前面(写真=左)と背面(写真=右)。3.5インチIDE HDDを1基内蔵できる(写真=右)

 見た目の印象がまったく変わらないため、デコードチップをSIGMA DESIGNSの「EM8511」から「EM8621L」に変更し、たんに再生フォーマットを拡大しただけのようにも感じるが、強化点はそれだけではない。中でも転送能力の向上によって全ファイルフォーマットがネットワーク再生に対応した点は特筆に値する。従来モデルでMPEG-4のみの(正式)サポートに不満を感じていたユーザーにとっては朗報だ。今回は試作機ということでPC側のソフトウェアが付属せず動作検証ができなかったが、同社によればNDAS機能で実現するPC側からのネットワークアクセスも従来モデル比の約3倍高速としている。

 ハードウェア的には1080p出力までサポートするDVI出力に新たに対応し、DVI-HDMI変換ケーブルを用いることでHDMI端子を備える大型テレビなどとデジタル接続が可能になった。また動作非保証ながらUSBホスト機能も備えており、USBマスストレージクラスで認識されるデバイスからマルチメディアファイルを再生できるようになった。

これは映像出力の設定画面。コンポジット、コンポーネントに加え、HD-DVI、HD-DVI RGBが選択可能。DVI-HDMI変換ケーブルを用いることでHDMI入力を備えた液晶テレビでも表示できたが、480p〜1080p全てでオーバースキャン気味の表示になったのは気になった。またアナログ信号も出力しているようなので、DVI-アナログRGB変換コネクタを用いて1680×1050ドット表示に液晶ディスプレイとアナログRGB接続してみたが、同期が取れたのは480p出力のみ

旧モデルの特徴を継承しつつ使い勝手を向上

ファイル一覧は最大11行表示と、とくに一覧性が高いわけではないが、レスポンスがよいので不満は感じない

 ソフトウェア面の変更も多岐にわたる。すぐ目につくのがユーザインタフェースの刷新だ。従来モデルは、本体起動時に内蔵HDDとネットワークドライブのどちらから再生を行うか選択するスタイルだったが、本製品では画面を3列に分割し、左からドライブ種別(内蔵HDD、USBストレージ、ネットワークドライブ)、パーティション(またはネットワークドライブ)、フォルダ/ファイル一覧が並ぶレイアウトになった。左から順に項目を選択して再生したいファイルを探せるので直感的に操作できる。また選択した項目はハイライト表示となるので、今どのデバイスからファイルを再生しているかも把握しやすい。

 操作性の基本は従来モデルと共通な部分が多い。フォルダ/ファイル一覧では「前へ」「次へ」ボタンでページスクロールが可能で、「スロー」ボタンでダイレクトに階層をさかのぼることもできる。ファイルは基本的にフォルダ内で連続再生されるが、「メニュー」を押して「playall」から「playone」に切り替える事で1ファイル毎に一覧画面に戻る仕様だ。従来モデルでは連続再生が例外あつかいだったから、本製品ほうが便利と思う人は多いかもしれない。

 従来モデル通りファイル単位でのレジューム再生にも対応し、途中まで再生した記録が残っているファイルは、再生開始時に最初から再生するか、続きを再生するかを選択できる。新機能として電源オン時に最後に再生したファイルを自動再生する機能も加わったが(設定で機能をオン/オフ可能)、これは音楽再生を意識したためだろう。さらにブックマーク機能も追加された。ファイル再生中に「ブックマーク」ボタンを押して登録しておけば、一覧画面で「ブックマーク」を押すと呼び出せる登録一覧から再生が行える。これらの機能は極めて強力だ。

 基本的な再生機能に関しても、巻き戻し/早送り再生は2/4/8/16/32倍速と詳細に指定可能で、2/4倍速はフォーマットを問わずスムーズに再生が行なわれる。また、1/2、1/4、1/8倍速となるスロー再生機能(一部フォーマットでは1/2倍速のみ)も持つ。このあたりの充実度も非常に高い。

不要になったブックマークは個別に登録を削除できる。ファイル単位でのレジューム機能に加えて非常に便利な機能だ(画面=左)。巻き戻し/早送り再生を補完するサーチ機能もある(画面=右)。数字ボタンで再生位置を指定できるほか、下のスライダーを使うと左右ボタンで再生位置を調節可能だ。スライダーを止めた位置の静止画も確認できる

 車載キットも準備されているコンパクトな「DC-MC25U」で特徴的だったのがフォルダの垣根を越えて可能な連続再生機能。音楽をジュークボックス的に再生するという使い方を考慮したのだろう。本製品では同じ機能を備えているわけではないが、プレイリスト機能で同様の動作を可能にしている。プレイリストではフォルダをチェックする事でフォルダ内の全ファイルが選択された事になるので、複数フォルダにまたがったファイルを連続再生することができるのだ。

プレイリスト機能ではフォルダ全体を対象として指定できる(画面=左)。リモコンの「全て選択」ボタンを押すと、選択中のフォルダ内の全フォルダにチェックが入るので、例えばアーティスト-アルバムといった形でフォルダ分けしておけば、特定アーティストの曲をすべてプレイリストに登録し、再生するといったことが可能になる。なお、本製品はランダム再生機能は持たないものの、プレイリストを作成したあとにシャッフルを実行すれば同等の機能を実現できる(画面=右)
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