地デジチューナーは同社のメディアプロセッサ「BroadGear」を採用することで、CPUに依存しない地デジのエンコード/デコード処理が可能だ。一方のアナログチューナーは高性能版が実装されており、ハードウェアMPEG-2エンコーダのほか、ソフトウェア処理によるフィルターやゴーストリデューサー、10ビットADコンバータ、3次元Y/C分離、デジタルノイズリダクション、タイムベースコレクタなどの画質改善機能を搭載している。ワイド液晶と合わせて地デジも地アナもきれいな画面で楽しめるのがうれしい。
さらに見逃せないのは、地デジ/地アナとも共通のインタフェースで利用できることにある。従来からの仕様ではあるのだが、ライバル機の中にはいまだに地デジ/地アナで別々のアプリケーションを使わなければならないケースが多いのだが、本機では前述のPrius Navigation4上のタブを切り替えるだけで利用可能だ。余計な心配をせずにシームレスに地デジ/地アナを行き来できるのはTV好きには魅力である。
ボディもユーザーの手が届きやすい前面中央にスロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブや、USB/IEEE1394/メモリカードスロット/ヘッドフォンなどの端子が並ぶ。また、左右85度ずつのスイーベルに加え前3度、後ろ15度のチルトをサポートしており、好みの角度に液晶パネルを調整できたり、奥行きが19.8センチと小ぶりで、壁面に密着させて使うことも可能と設置場所の制約が少ないのも好印象だ。本機からのバージョンアップというわけではないが、このあたりの使い勝手のよさは素直に評価したい。
以上、生まれ変わったPrius Oneシリーズを見てきたが、評価機は試作モデルゆえベンチマークテストが行えず、一部の機能を検証できなかったが、大手メーカー製PCらしくそつなくまとまっているという印象だ。HD DVDやBlu-rayといった次世代ドライブは見送られ、ハードウェアでとがった部分はないものの、実売25万円前後とまずまずの価格帯におさまっている。
ただ、「PC機能付き地デジTV」という製品コンセプトどおりに仕上げるには、さらなる機能向上も望みたいところだ。試作機を見る限りCPUのパワー不足を各操作で感じてしまう点は、前モデルでも同じだっただけに改善されているとは言い難い。PCとしての快適さを求めるのであれば、秋冬モデルで追加された上位のCore 2 Duo搭載モデルAW37W2S(実売29万円前後)を検討したいところだ。
メーカーの言う「PC機能を持っていますが基本はTVとして利用してください」という主張も分からないではないが、それにはさらなる改善も必要だろう。例えばTVモードによる視聴では録画や字幕表示が行えず(PCモードでは可能)、録画や予約を行うにはOSを起動してからPrius Navigation4上で行う必要がある。これらの処理をOSを起動せずに行えれば使い勝手はさらに向上するはずだ。本機のようなアプローチを認知してもらうためにも、今後の製品開発に期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.