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» 2006年10月31日 08時00分 公開

「堅実」だけど「自由」なビジネスノート──「ソニー VAIO type BX VGN-BX96PS」

ソニーの「VAIO type BX」は、14〜17インチ液晶ディスプレイを搭載するVAIO「大画面ノート」カテゴリーの5“type”で現在のところ唯一ビジネスユースを意識した製品だ。ここではその最上位モデルを紹介しよう。

[富永ジュン,ITmedia]
数あるVAIO type BXから今回は最上位モデルのVGN-BX96PSを評価する

 VAIO type BXは、ビジネス市場を想定したA4デスクノートで、同社のノートPCの中でもベースになるスペックの自由度が格段に高いのが特徴だ。2006年9月に追加された「ハイパフォーマンスモデル」2モデルでは、CPUにインテルのCore2 Duoを搭載し、グラフィックスチップにATIのMobility Radeon X1600 HyperMemoryかチップセット内蔵のグラフィックスコア(Intel GMA 950)を選択できる。また、上位モデル「VGN-BX96PS」は15.4インチワイド液晶ディスプレイを、標準モデル「VGN-BX94PS」は14.1インチ液晶ディスプレイを搭載している。

 なお、新しい「BX」の登場後も、2005年10月発表のIntel 915チップセットを搭載する従来機種は「スタンダードモデル」として継続販売される。スタンダードモデルの液晶ディスプレイは14.1型、CPUはPentium M、グラフィックスチップはMOBILITY RADEON X700。スタンダードモデルはハードウェア構成が同じでも導入するOSによって型番が異なり、Windows XP Professional搭載の「VGN-BX90PS」とWindows XP Home Edition搭載の「VGN-BX90S」の2種類を展開している。

 このほか、ハイパフォーマンスモデルのHDDは60Gバイトと120Gバイト、同じくメモリは512Mバイトと1Gバイトも選択肢が用意され、スタンダードモデルがHDDが40Gバイト、60Gバイト、80Gバイト、100Gバイト、120Gバイト、メモリが256Mバイト、512Mバイト、1GBから選択できるほか、どちらもオプションとしてBluetooth、FeliCaポート、Bluetoothヘッドセット、Webカメラ「MOTION EYE」が追加できる。

 液晶ディスプレイは、光沢のあるクリアブラックLE液晶とノングレアタイプのノーマル液晶のいずれかが選択できる。さらに解像度も異なり、VGN-BX94PS、BX90PS、BX90Sの3モデルは1400×1050ドットか1024×768ドットかを選べる。ただし、VGN-BX94PSで14.1インチの1024×768ドット表示ディスプレイを選択した場合と15.4インチワイド液晶搭載のVGN-BX96PSは、クリアブラックLE液晶のみとなる。

 ローエンドからハイパフォーマンスまでをカバーするVAIO type BXは価格も9万9300円から29万1600円と幅広い。購入する予算と必要なパフォーマンスに合わせて、さまざまな組み合わせが可能だ。

VGN-BX96PSは15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載したモデル。最大解像度は1280×800ドットとなる。コントラスト、色調ともに押さえめで長時間のビジネスワークでも疲労は少ない

 今回紹介するのは15.4インチワイドのクリアブラック液晶ディスプレイを搭載するVGN-BX96PSだ。この評価機のディスプレイは赤が朱色に近く全体的に白っぽい発色だ。濃い色の階調表示はなめらかだが淡い色のグラデーションは苦手なようで、ある一定の範囲以上の薄さはすべて同じ色合いに見える。ノーマル液晶と比較してコントラストが強く鮮やかな色調となりがちなクリアブラック液晶でもどぎつさはあまり感じられないため、長時間の書類作成も快適にできるだろう。

 左右の視野角は広めでとくに不便を感じることはなかったが、上下のそれは狭いのでPCを机においてユーザーが立ち上がった状態では液晶の傾きを調節することが多かった。また、最大輝度設定でもパネルに映り込みがあるので、暗めの輝度設定を好むユーザーはPCを使う部屋の照明の場所などに注意するが必要だろう。

底面からメモリスロットにアクセスできる。HDDと光学ドライブもパック式で取り出しは容易だ。光学ドライブはウェイトセーバーに換装可能

 筐体は、つや消しのシルバーと黒を基調とした、落ち着きがあるシンプルなデザインだ(VGN-BX96PS以外のVAIO type BXラインアップでは、本体の天板と底面にマグネシウム合金を採用することで強度を高めながらも軽量化を図っている)。外見で特徴的なのが、本体側面をΣ形状にした「Σフォルムデザイン」だ。液晶部に手が引っかかりやすいので液晶が開けやすいことに加え、各インタフェースのコネクタが上向きになっているためユーザーの視線から見えやすく、ケーブルの着脱がスムーズにできる。また、本体が落下したときもコネクタに直接衝撃が加わらないので破損を防いでくれる。

 光学ドライブは、ハイパフォーマンスモデルはDVD±R DL対応のDVDスーパーマルチドライブ、DVD-ROMドライブ、ドライブなしが、スタンダードモデルはこれら3通りに加えてCD-RWとDVD-ROMのコンボドライブが選択できる。光学ドライブ部は着脱式のマルチベイなので、標準付属のウェイトセーバーを装着すれば14.1インチ液晶ディスプレイ搭載モデルで約2.4キロ、15.4インチワイド液晶ディスプレイ搭載モデルで約2.9キロに軽量化できる。また、マルチベイに装着できる80GバイトのHDDユニットもオプションで用意されている。

キーピッチは19ミリ、ストロークは2.5ミリと十分。クリック感や底つき感もしっかりしていて長時間のキー入力でも疲れなかった

 キーボードは、ハイパフォーマンスモデルに88キー日本語キーボードが、スタンダードモデルに87キー日本語キーボードが搭載されている。どちらもキーピッチは19ミリ、キーストロークは2.5ミリと余裕がある。カーソルキーはほかのキーよりも一段下がった独立レイアウトを採用する。キーを押し下げたときのはっきりしたクリック感に加え、キーボードの下に通常より厚めの鉄板を配置したおかげで実現したしっかりとした底つき感など安定感があってとても打鍵しやすい。ただ、試用した15.4インチワイド液晶ディスプレイ搭載モデルも14.1型液晶ディスプレイ搭載モデルと同じキーボードが採用されている。キーボード周りのスペースに余裕があるのだからファンクションキーと文字キーの間に間隙を設けたり、ファンクションキーを4つごとに区切るなど、デスクトップPC用キーボードに近づけたキーボードにするとユーザビリティが向上したかもしれない。

 ポインティングデバイスは、パームレスト部に2ボタン付きのタッチパッドが配置されているのに加えて、ホームポジションから手を動かさずにポインタの操作ができるスティック式ポインタと3ボタンがキーボードに密接する形で用意されていて、好きなほうを利用できる。

 キーボード左上にはWebカメラ「MOTION EYE」のオフボタン(MOTION EYE搭載モデルのみ)とミュートボタン、プログラマブルなS1、S2ボタンが、右上には指紋センサーと電源ボタン、左下にFeliCaポートが配置されている。S1、S2ボタンは、コントロールパネルの「VAIO設定」からそれぞれ「スタンバイ」「休止状態」「明るさ最大」「外部出力」「マルチモニタ」「アプリケーション起動」のいずれかを割り当てられる。

 インタフェースは、本体左側面にマイク入力、音声出力、排気口、マルチベイ、本体前面にワイヤレスLANオン/オフスイッチ、SDメモリカードスロット、メモリースティックスロット、本体右側面にPCカードスロット、IEEE 1394 4ピン、USB 2.0×3、VGA出力、本体背面にギガビットLAN、FAXモデムとなっている。

 排気ファンは、アイドル状態で静かだがグラフィックスを多用するような負荷が大きい作業をすると急に音が大きくなる。やや高音域の音で回転数が一定しないため、オフィスならばあまり気にならないかもしれないが個人の書斎といった静かな場所ではかなり耳につくだろう。

本体前面にワイヤレスLANのオン/オフスイッチ、SDメモリカードスロット、メモリースティックスロットを、本体背面にギガビットLAN、FAXモデムを搭載する

本体左側面にマイク入力、音声出力、排気口、マルチベイを、本体右側面にPCカードスロット、IEEE 1394、USB 2.0×3、VGA出力を搭載する

 セキュリティー機能が豊富なのもVAIO type BXの特徴だ。TPMセキュリティチップと指紋センサーというビジネス用ノートPCでは必須の機能に加えて、起動パスワードとHDDパスワードを設定できる。通常、これだけパスワードがあるとそのつづりを覚えたり、起動のたびにパスワードを入力するのが面倒になったりと、せっかくの機能を使わなくなってしまうものだが、VAIO type BXでは指紋認証を利用することで起動パスワード、HDDパスワード、Windowsのログインパスワードを一度に解除できる。備わっている機能をユーザーがきちんと使いこなせるよう工夫されているのは評価したい。さらにFeliCaを使ったスクリーンセーバーロック解除やWebサービスへのIDやパスワード自動入力といった機能も用意されている。

パスワードの設定管理を行う「Protector Suite QL」がVAIO type BXには導入されている
スクリーンセーバーロックの設定ではロックの解除にFeliCa機能に対応するカードや携帯電話を登録して利用できる

 VAIO type BXは、ソニーのほかの製品とは明らかに一線を画したデスクノートだ。一見地味にすら見えるが幅広いスペックの選択肢と強固で毎日の業務で利用できる確実なセキュリティー機能、基本的な使いやすさいう、ビジネスには何が必要かという問いに対するソニーの回答が具現化された製品だ。低価格路線になりがちなビジネス向けPCでは珍しく、さりげなく質感が高いのも所有欲を満足させてくれるだろう。

PCMark05
PCMark3698
CPU5518
Memory4100
Graphics2037
HDD2934
HDD - XP Startup5.654
Video Encoding394.269
Image Decompression30.534
WMV Video Playback47.534

PCMark04
PCMark6394
Memory6557
Graphics1843
HDD3185
WMV Video Compression99.252
DivX Video Compression106.428

1024×768ドット、nonAA、nonAniso
3DMark05 3DMark Score3387
3DMark03 3DMark Score3963
3DMark03 GT177.4
3DMark03 GT428.7

VAIO type BX VGN-BX96PS
CPUCore 2 Duo T7400 (2.16GHz)
BIOSPheonix
チップセットIntel 945PM Express
ノース/サウスブリッジIntel 945PM Express + ICH7M
L2キャッシュ4Mバイト
メインメモリ容量512Mバイト(512Mバイト×1)
規格DDR2 533MHz
メモリスロット(空き)200ピンSO-DIMM×2(1)
ハードディスク容量Serial ATA/150 60Gバイト
回転数5400rpm
型番TOSHIBA MK6034GSX
内蔵ドライブPIONEER DVD-RW DVR-K16M
ディスプレイサイズ15.4インチワイド
解像度1280×800ドット
グラフィックスチップMobility RADEON X1600 HyperMemory
グラフィックスメモリ最大256Mバイト(一部メインメモリと共有)
サウンドチップRealtek HD Audio
光デジタル音声出力-
PCカードスロットTypeII×1
Expressカードスロット-
USBUSB 2.0×3(右側面:3)
IEEE13944ピン×1(右側面)
ビデオ出力アナログRGB(右側面)
キーボード88キー日本語
キーピッチ/ストローク19ミリピッチ/2.5ミリストローク
ポインティングデバイスタッチパッド
イーサネット1000Base-T/100BASE-TX/10BASE-T
無線LANIEEE802.11a/b/g準拠(Intel PRO/Wireless 3945ABG)
Bluetooth
FAXモデムv.90およびV.92対応56Kbpsモデム
バッテリー仕様リチウムイオンバッテリ
バッテリー駆動時間約2.5時間
バッテリー充電約4時間
ACアダプタ仕様AC100〜240V 50/60Hz
外形寸法363.2×265.6×37.8〜40.5ミリ
重量2.9〜3.1キロ
搭載OSWindows XP Professional SP2

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