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具だくさんな無線LANルータを賞味した――ASUS「WL-700gE」iTunesもBittorrentもOK(2/3 ページ)

» 2006年12月11日 08時00分 公開
[織田薫,ITmedia]

充実したサーバ機能を装備

 さまざまな機能を持つWL-700gEだが、中でも内蔵HDDを生かしたサーバ機能は大きな特徴となっている。以下に、主要なサーバ機能を紹介していこう。

iTunesオーディオサーバ

iTunesオーディオサーバ機能を利用するために特別な設定は必要なく、音楽ファイルは共有フォルダ「\MyShare1\Music」に置けば、iTunesで認識される

 iTunesオーディオサーバは、その名の通りの機能で、WL-700gEの内蔵HDDに保存した音楽ファイルをクライアントPCのiTunesから自動的に認識させることができる。設定のためのWindows用インタフェースや管理画面はとくに搭載しておらず、デフォルトで作成されている共有フォルダ「\MyShare1\Music」以下に直接iTunesで再生したいファイルを置くだけで利用可能だ。サーバを起動するための設定も必要なく、WL-700gEを起動しておけばiTunesから自動的に「共有」として認識される。機能的には通常のiTunes同士の共有と同じ感覚だ。なお、カバーアートの設定などは行えなかった。

 WL-700gEは24時間起動して運用することが多いと思うので、どのPCからでも共有フォルダにためておいた音楽を聴くことができるのは便利だ。ほかの機能と同時に利用してみたが、再生が遅延するなど速度的な不満は感じなかった。

ファイルサーバ

 ファイルサーバ機能は、WindowsとLinuxなどのUNIX環境で利用できるように、CIFSとNFSが用意されている。また、ファイル共有機能を持たない環境からもFTPやHTTPでアクセスできるようになっており、いろいろな環境でファイル共有が可能だ。本格的なファイルサーバとして使うには、若干速度に難があるが、使い勝手は悪くない(速度テストに関しては後述)。

 各種機能の設定をしなくても利用できるようになっているのは、WL-700gEの基本的な思想で、ファイルサーバ機能もデフォルトで有効になっている。内蔵HDDには、アクセス制限のない共有フォルダがはじめから作成されており、本体をネットワークに接続し、ワークグループの設定をすれば、すぐにLAN内のPCでファイル共有が行える。パスワードベースの認証やユーザーレベルでの認証、ドメインでの運用も可能だ。

 ただし、あらかじめ作成されているフォルダの役割は決まっているので注意が必要だ。これらのフォルダを削除してしまうと、機能が正しく動作しない可能性がある。とくに「\MyShare1\Web」フォルダ以下はCGIのプログラムが格納されており、不用意にファイルを削除してしまうと掲示板などが機能しなくなる。サーバの管理に慣れている人にとっては、各機能が利用するフォルダに直接アクセスできるのは便利だが、できればフォルダにアクセスする管理ツールを用意してほしかったところだ。

デフォルトで用意されている共有フォルダの役割
\MyShare1\Download ダウンロードマスターが利用するフォルダ
\MyShare1\USBCopy USBコピー機能で利用するフォルダ
\MyShare1\Photo 個人用Webページの画像を保存するフォルダ(インターネット共有)
\MyShare1\Video ビデオコレクションで利用するフォルダ
\MyShare1\Music iTunesサーバ機能で利用するフォルダ
\MyShare1\Web 掲示板機能で利用するフォルダ
\MyShare1\Utility WL-700gEのユーティリティが格納されているフォルダ

Windowsからは通常のWindowsネットワークの共有フォルダとして利用できる(写真=左)。HTTPを利用したアクセスは、WebDAVを利用しているわけではないので、HTTPを使えればWL-700gEにアクセスが可能だ(写真=中央)。また、FTPでのアクセスも行える(写真=右)

Webサーバ

 Webサーバ機能は、自己紹介や掲示板、フォトアルバムを公開する機能が用意されている。フォトアルバム機能は、アップロードした写真をフォトアルバムとして管理できる機能だ。Webサーバは、インターネットに対して公開もできる。WL-700gEはダイナミックDNSのクライアント機能も有しているので、ダイナミックDNSサービスを利用してアドレスを登録すれば、外出先から自宅に設置したWL-700gEに分かりやすいURLでアクセスするように設定が可能だ。

 ただし、この機能は少し疑問が残る。家庭内に公開するのであれば、ファイルサーバの機能を利用してクライアント側でアプリケーションを利用するだけで十分だろう。インターネットに公開するとなると、CGIの動作速度が十分とは言い難い。また、掲示板機能は書き込んだタグをエスケープ処理するなどの基本的なセキュリティの実装が行われていないようで、スクリプトを入力するとそのまま実行されてしまう。したがって、そのままインターネットに公開すると、セキュリティの問題によりフィッシングサイトとして利用されてしまうなどの危険性も含んでいるため、基本的にインターネットへの公開はおすすめできない。

Webサーバ機能は、メッセージボードやフォトアルバムの機能を備えた簡易なものだ(写真=左)。フォトアルバムの機能は、Windowsのアプリケーション(写真=中央)と連携して動作するようになっており、アップロードした画像を共有できる。フォトアルバムは名前や説明を付けられる(写真=右)

Webカメラサーバ、DLNAサーバ

 そのほか、Webカメラサーバ機能やメディアサーバ機能も持つ。対応するWebカメラを本体とUSBで接続すれば、カメラの映像をネットワーク経由で見られる。メディアサーバ機能はDLNAガイドラインに準拠したもので、対応するネットワークメディアプレーヤーなどを利用してWL-700gEに保存した動画や静止画を家庭内のTVに出力することが可能だ。

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