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» 2006年12月11日 17時00分 公開

ダイレクト/単機能プリンタ06年モデル徹底攻略ガイド:第1回 ダイレクト/単機能プリンタの最新モデルを探る (1/2)

本特集では、エプソン、キヤノン、日本HPのA4ダイレクト/単機能プリンタの最新モデルをじっくり検証する。第1回は、今年の強化ポイントと製品ラインアップを解説しよう。

[榊信康,ITmedia]

買い得感が高いA4ダイレクト/単機能プリンタ

 ここ数年の間に、国内における家庭向けプリンタ市場の主役は、単機能プリンタから複合機へと移行したが、すべてのユーザーにとってスキャンやコピーの機能が必要なわけではないだろう。複合機と比較して、価格的に有利でコンパクトに設置できるA4ダイレクト/単機能プリンタに注目している人も少なくないはずだ。

 今回の特集では、エプソン、キヤノン、日本HPが今冬に投入したA4ダイレクト/単機能プリンタの最新モデルを5回に渡って紹介、検証する。第1回は、メーカー別に最新モデルの強化ポイントとラインアップ構成を見ていこう。なお、複合機の最新モデルについては、前回の特集記事をご覧いただきたい。

 まずは全体の傾向だが、今年はどのメーカーもA4プリンタのラインアップを縮小してきた。何しろ、各メーカーとも新モデルは2〜4台しか用意していない。それもプリントエンジンは複合機の流用で、メーカーによっては単機能プリンタより複合機の方に高性能のエンジンを搭載している状況だ。以前は、ハイエンドのエンジンを単機能プリンタに搭載し、複合機との差別化を図っていたものだが、状況は大きく変わっている。その一方で、高性能なエンジンを搭載してきたのが、今年初頭から次々と登場したA3フォトプリンタだ。これらは高画質ながら価格が高すぎないため、画質を重視する一部の層はA3機に移行しつつある。それならばA3機をハイエンド、A4機をミドルレンジというラインアップ構成にしてしまえというわけだ。

 かくしてA4機は今年も真のハイエンドモデルと言える新製品が不在となったが、悲観することはない。選択肢は減ったが、モデルを絞っているぶんハズレがなく、いずれも高いコストパフォーマンスを誇っている。また、ダイレクト機も今年はなかなか面白い。複合機の紹介にもあったように、今年は各メーカーがインタフェースに大幅なテコ入れをしてきた。ダイレクト機もこの恩恵を被っており、従来機のような使いにくさを払拭している機種も多い。

2006年モデルの強化ポイントと注目機能

上位モデルだけじゃない、全体的に高速化を重視したエプソン

最適化された5種類のサイズでインク滴を打ち込むAdvaced-MSDT

 エプソンのカラリオプリンタは、複合機と同じ傾向だ。今年も高速化に余念がない。しかも、昨年は上位モデルでしか劇的な変化が見られなかったが、今年はラインアップの大半に渡って大幅な高速化が図られた。これを実現したのが新開発のインクヘッド技術「Advaced-MSDT」だ。A-MSDTでは、従来3種(2ピコ/6ピコ/20ピコリットル)だったドロップサイズを5種(1.5ピコ/2ピコ/6ピコ/13ピコ/20ピコリットル)に増強している。これにより、走査数を減らし、印刷時間を短縮することに成功した。また、1.5ピコリットルのドロップは粒状性の低減に役立ち、13ピコリットルのドロップにより大中ドロップの連続性を高めるなど、画質の向上にも貢献している。

 「つよインク200」も目玉機能と言える。従来の染料6色つよインクは耐光性が20年、耐オゾン性が10年だったが、つよインク200では耐光性が50年、耐オゾン性が25年に延長された。アルバム保存性寿命は、従来と同じ200年となっている。耐候性の向上もさることながら、より目を引くのはブラックインクのOD値(インク濃度)が向上した点だ。これまでの黄色くくすんだようなシャドーが改善されたのはありがたい。自動画質補正機能のオートフォトファイン!EXも改良が施され、人物写真のプリントにより強くなった。

 ダイレクト機については、やはり画像処理エンジン「REALOID」の搭載が大きい。これの搭載により、ダイレクトプリント時のデータ処理がとにかく速く、サイズの大きなデータでも、印刷待ち時間はわずか数秒程度に収まっている。さらにインタフェースも複合機と同様に改善しており、ストレスフリーの操作感を提供した。

 プリントメディアでは、欧米で普及している「KGサイズ」(102×152ミリ)を採用した。一般的なL判(89×127ミリ)より面積比で37%大きく、同社が推進する“おうちプリント”のスタンダードサイズとして普及を図る構えだ。また、ワイドモードで撮影した画像向けに、写真用紙<光沢>には「ハイビジョンサイズ」(102×181ミリ)を追加した。

耐候性が向上した染料6色の「つよインク200」(写真=左)。高速化に加えてPC印刷と同様のハーフトーン処理アルゴリズムを実現する画像処理エンジン「REALOID」(写真=中央)。エプソンが推奨するKGサイズの写真用紙(写真=右)

品質とスタイルの両立を目指すキヤノン

最小1ピコリットルのインク滴、9600×4800dpiを実現する高密度プリントヘッド「FINE」

 今年のキヤノンはエプソン以上に複合機に傾倒した格好だ。複合機での大きなトピックは新型ユーザーインタフェースの「Easy-Scroll Wheel」だが、ダイレクト/単機能プリンタについては昨年のキャッチコピー「クオリティ&スタイル」を継承している。大きな変革がないのは少し寂しいが、その高速性と扱いやすさがもたらす快適さは、やはり他社製品では得難い。

 「クオリティ」を担うのは、プリントヘッド製造技術の「FINE」だ。最小1ピコリットルのノズルにより粒状感の低減、5ピコリットルのノズルにより印刷速度の高速化を実現する。ちなみに、ダイレクト/単機能プリンタについては、複合機のMP810のように、2ピコリットルを加えた3サイズのインク滴で印刷するモデルは用意されていない。

 無論「スタイル」を支える「SUPER PHOTO BOX」のデザインも健在だ。JパスとUパスからなる2Way給紙機構を取り入れながらも、給紙可能な用紙制限などを極力取り払っており、自動両面印刷にも対応した柔軟なペーパーハンドリングを可能にしている。加えて、CD/DVDレーベル印刷用のストレートパスを併装するなど、機能面でも抜かりはない。

 今年はプリントメディアも少し拡充された。プロフェッショナルフォトペーパーのワイドサイズ(ハイビジョンと同じ画角となる101.6×180.6ミリ)や、キヤノン写真用紙・絹目調の六切(発売時の名称はスーパーフォトペーパー・シルキー)などを追加している。六切はカメラファンとっては馴染みが深いだろう。額内保存での座りがよく、市販の額縁もよい品を探しやすい。作品作りには、既存のプロフェッショナルフォトペーパー六切と併せておすすめだ。また、エコノミーフォトペーパーの400枚パッケージを用意するなど、ランニングコストの低減にも注力している。

iP4300は、カラーノズルの長さを従来の2倍にあたる0.43インチにしたことで、一度に多くの面積を印刷可能にした(写真=左)。iP4300をはじめ、収納時にかさばらないフラットボディは継承されている(写真=中央)。プロフェッショナルフォトペーパーのワイドサイズや写真用紙・絹目調の六切が追加された(写真=右)

日本HPは独自のプリントエンジンを推進

インクの流れをコントロールするAAMの要となるポンプ

 日本HPのプリンタは、昨年のSPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)プリントエンジンをブラッシュアップした格好なので、注目すべき新機能はとくにない。ただ、SPTエンジンと併せて搭載されているAAM(アクティブ・エアー・マネジメント)機構は、未だ同社ならではの特徴で、他社製品に対する大きなアドバンテージと言える。

 AAMはヘッドクリーニング時の無駄なインク消費をなくし、ランニングコストを低減するための機構だ。他社の場合だと、インクの数を減らしてランニングコストを低減しているが、抜本的な解決策とは言えない。この点、AAMならばインクセットの数に関わらず一定の効果が得られる。画質を落とさずに、印刷コストを低減できるというわけだ。

 プリントエンジン以外では、液晶モニタの新インタフェース「HP Photosmart Express」が目を引く。HP Photosmart Expressの内容は複合機特集で紹介しているが、この機能は何も複合機やダイレクトプリンタに限ったものではない。単機能プリンタにも同様のインタフェースを用いた同名のアプリケーションを添付している。多少はアレンジしているが、その簡易さは損ねていない。無論、PCで使用する場合には、メモリーカードだけでなく、HDDに保存したデータの印刷も可能だ。

 そのほか、iPod内の写真データをPCいらずで印刷できる「iPod写真プリント」に対応している点は、他社にない特徴だ。画像の保存に対応したiPodをUSBで本体に接続し、ダイレクト印刷が行える(iPodの対応状況はこちら

液晶モニタの新インタフェースHP Photosmart Expressは、大きめのアイコンとステップ式のメニューを採用している(写真=左)。D7360をはじめ、ダイレクト機はiPod写真プリントに対応する(写真=右)
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