日本HPが採用した日立製水冷ユニットは「DIY向けとはモノが違う」

» 2007年01月30日 18時23分 公開
[長浜和也,ITmedia]
日立製作所が新たに開発した水冷ユニットを組み込んだ「HP xw9400/CT Workstation」

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は1月30日に、日立製作所が新しく開発した水冷ユニットを搭載したパーソナルワークステーション「HP xw9400/CT Workstation」(xw9400)を発表した。製品発表会では日本HPのワークステーション・ビジネス本部本部長の小島順氏によるxw9400の紹介に加えて、日立製作所のユビキタスプラットフォームグループサーマルソリューション事業センターエンジニアリング部長の中川毅氏による水冷システムの解説、日本AMD取締役マーケティング本部本部長の吉沢俊介氏によるOpteronの紹介などが行われた。

 小島氏は、xw9400の最大の特徴でもあるハイエンドワークステーション対応の水冷システムの採用について低騒音と低排気による快適な作業環境の実現を挙げている。日本HPが示した資料によると、同じxw9400でも空冷システムを搭載したモデルはアイドル時こそ発生する音圧が「騒音が気にならない」とHPが定めている29dB以下であるものの、最大負荷時になるとそのラインを超えてしまうのに対して、水冷システムを搭載したモデルではアイドル時と最大負荷時の音圧がほぼ同程度になるとされている。

 xw9400は未発表のOpteron 2000シリーズを2つ搭載するミニタワーのワークステーションで、その構成はユーザーによってカスタマイズが可能だ。マザーボードのチップセットはnForce Professional 3000シリーズでNVIDIA SLIに対応する。選択できるグラフィックスカードにはQuadro FX 5500をはじめとするQuadroシリーズが用意され2枚差し構成も可能だ。メモリはregistered ECCのDDR2 667MHzをサポート。2007年春に登場する予定の8Gバイトモジュールを使えば最大64Gバイトまで実装できる。マザーボードにはSerial ATAのポートが6つ用意されているほか、Serial Attached SCSIが8ポート用意されている。

空冷システムではファンで排出された熱が風下にある発熱部を過熱する「熱かぶり」が発生してしまう。日立製作所が示したシミュレーションデータで「CPU2」の温度は摂氏78度にも達している。水冷では同じレイアウトのボードでもそれぞれ個別に冷却するため熱かぶりが発生しない

 日立製作所の中川氏は、まず水冷のメリットを説明。熱移送力の高さや放熱ユニットの分散配置が可能である点や、ファンの依存度が低いために低速回転でも騒音を低減できる点、熱の移送方向に制約のあるヒートパイプに対して重力に影響されない水冷では冷却液系や放熱ユニットの配置が柔軟の行えることといった優位性を紹介した。

 日立製作所は水冷システムの開発方針として「メンテナンスフリーで5年間連続運転の実現」の達成を条件としている。そのために、冷却水ホースにおける「水分透過抑制」「劣化抑制」、そしてジャケットに対する「腐蝕抑制」を重要視しているが、いずれも冷却液によるホースやジャケットの劣化を抑制するもので、ホースのポリマー素材などに改良を加えるとともに、液漏れにたいする信頼性を確保するために冷却水ホースやその接続部、ポンプ、タンク、ジャケット、ラジエータに対して耐久腐蝕試験を行っている。

 xw9400に搭載された水冷ユニットは2つのCPUソケットに対応したもので、冷却能力はTDP120ワットのCPUを2基、あわせてTDP240ワットに耐えうるものとされている。ラジエータユニットが開閉式になっていて、開くとCPUソケット上のジャケットに簡単にアクセスできるなど、メンテナンス性も考慮したデザインが施されている。

xw9400に搭載された水冷ユニットの基本構造と構成ユニット。2つのCPUジャケットを有しているのが今回開発されたユニットの特徴だ

ラジエータユニットを跳ね上げると、メモリスロットにCPUジャケット、拡張カード用スロットにアクセスできる
水冷ユニットは筐体の正面から背面までほぼ全通している。デルのXPS 710 H2C Editionを思わせるが、中川氏は「あれは詳しく見ていないのでコメントできません」とだけ答えてくれた
水冷ユニットを下から見る。2wayのxw9400で使えるようにCPU用ジャケットが2つ用意されている

 日立製作所は、自社製品のノートPCに水冷ユニットを搭載しただけでなく、NECのVALUESTARシリーズの水冷ユニット向けに技術を供与するなど、コンシューマー製品に対しても実績を持っている。今回開発した水冷ユニットをダウンサイズ(サイズもコストも)したコンシューマー向けの開発について、中川氏は「当然考えている。ジャケットの部分などをボリュームにあわせて標準化してコストを削減して(水冷ユニットのビジネスを)拡大していきたい」と述べた。

 また、自作PCユーザー向けに販売されている、複数の箇所(CPUやチップセット、GPUなど)を冷却できる海外製の冷却ユニットについては「中に使っているパーツに保証がない。(日立製作所の水冷ユニットは)長年の実績を経て何年もかけて研究をしてきているので、他社に負けない信頼性を確保している」とコメントしている。

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