アドビシステムズは1月30日、プロ/ハイアマチュア向け画像管理ソフト「PHOTOSHOP LIGHTROOM」の価格や発売日を発表、製品版に搭載される新機能のデモを行った。
「ようやくこの日にたどりつけて、うれしく思います」。発表会の冒頭でアドビ システムズ 栃谷宗央氏が語った言葉は、同社の製品ラインアップの中でLIGHTROOMが持つ特殊性をよく表している。同ソフトは昨年1月9日よりパブリックβとして一般向けにリリースされ、バージョン4(日本語版は4.1)を数えるまで、いわばユーザーと“二人三脚”で開発が進められてきた製品だ。
アドビ製品が持つ印象からパブリックβという言葉は連想しづらいが、先行する競合製品の存在や、バージョン1として参入する不安などが、市場やユーザーの反応を即座に反映できる開発スタイルへと転換させたのだろう。また、同社はパブリックβの提供を始める少し前に旧マクロディメディアを買収しており、そのコミュニティを重視する意識が流入、顕在化してきた結果とも考えられる(例えば、開発者向けのAdobe Labは旧マクロディメディアのサイトが前身だ)。
いずれにせよ、パブリックβとして先行発表されたアドビのコンシューマ向け製品は、このLIGHTROOMが初めて。同社によればこの1年間でダウンロードされた件数は100万件以上、ユニークユーザーは50万人を超え、約8000人のアクティブなユーザーからフィードバックを受けているという。「(LIGHTROOMは)ユーザーの声を反映してできあがったと言っても過言ではない」(栃谷氏)。
その言葉通り、製品版に向けた今回のアップデートは、ユーザーフィードバックを反映させたものが中心となっている。特に注目したいのは、ライブラリの許容ファイル数が増大した点とスポット修正ツールの実装だろう。
プロ/ハイアマチュア層に訴求するためには、大量の写真のハンドリングが必須となるが、製品版では10万枚の画像管理を実現。また、レンズや撮像素子上のゴミが写りこんでしまった際でも、スポットによるゴミ除去が可能となり、簡単な修正であればわざわざほかの画像編集ソフトを呼び出す必要がなくなった。これらは特に要望の大きかった機能だという。「デジタル写真を効率的に管理できるLIGHTROOMは、エレガントという言葉通りの卓越したユーザインタフェースと、フォトグラファーが求めるすべての機能を盛り込んだ」(栃谷氏)
なお、LIGHTROOMはバージョン4からPhotoshopファミリーに組み込まれているが、その用途はPhotoshop CS2やPhotoshop Elementsのようにユーザー層別で切り分けられるものではなく、Photoshopと補完関係にある。栃谷氏は「LIGHTROOMはあくまで“コンパニオン”として一緒に使ってもらうのが目的」。また、Adobe Bridgeとの切り分けについては、「Creative Suiteに統合されたBridgeはデザイナーやイラストレーター向けだが、LIGHTROOMはデジタル写真を扱うワークフローを重視した」「大量の写真を管理するのに必須の製品になる」と説明した。
「LIGHTROOMで写真の管理を効率化できれば、それだけ撮影に多くの時間を割くことができる。プロやハイアマチュアのフォトグラファーは、より撮影に時間を費やしてほしい」(栃谷氏)
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