携帯マルチメディアプレーヤーとしてwizpyを見ると、やはり同等サイズのiPod nanoと比較しないわけにはいかない。iPod nanoの本体サイズ(90ミリ×40ミリ×6.5ミリ/40グラム)に対して、wizpyは2倍弱の厚みがあり、10グラムほど重い(84ミリ×42ミリ×12.2ミリ/50グラム)。もっとも、このクラスの製品では厚みも重さもデメリットになるほどの差とは言えないだろう。
一方、ディスプレイはiPod nanoが176×132ピクセル/1.5インチ液晶ディスプレイなのに対し、wizpyは160x128ピクセル/26万色の1.71インチ有機ELディスプレイを採用している。自発光型パネルの特徴である非常に鮮明な表示は魅力的だ。なおwizpyの充電はUSBケーブル経由で行い、充電時間は約5時間、バッテリー駆動時間は約10時間(音声再生時)となっている。
本体の操作は3ボタン×3列の計9ボタンで行う仕様だ。上下左右のボタンには突起があり、カーソル移動などがしやすくなっている。また、カーソル以外の各ボタンには初期状態で機能が割り当てられている。ただし、呼び出される機能の内容は、その時使用している画面モードによって異なるため注意が必要だ。例えば左下のボタンには録音機能が割り当てられているが、音楽再生時にはリピートモードの切り替えになり、画像表示時にはズームインとして機能する。
このボタンアサインは正直、洗練されているとは言い難い。例えばトップメニューにはTurbolinuxのロゴを取り囲むように6つのメニューが並んでいるが、左上が選択されている状態で右ボタンを押していくと、右上、左中、右中、左下、右下という順に移動する。このように、wizpyを操作していると予想外の反応がところどころに見られた。
メニューは日本語のほか、英語、中国語(簡体、繁体)、ロシア語、ベトナム語、韓国語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、オランダ語、ポルトガル語の12カ国語13言語に対応している。実は同社からの回答をもらうまでこれほど多くの言語に対応しているとは思っていなかった。というのも、メニューの選択肢が1画面に収まりきらない場合、2ページめがあることに気付かないようなUI画面になっているためだ。非常に些細なことではあるが気になった。
マルチメディアプレイヤーとして再生可能なコンテンツは、動画、画像、テキストとなっているが、若干癖がある。動画の対応フォーマットは160×128ピクセルのDivXかXviDのみのようで、それ以外のサイズ/コーデックではエラーが表示されて再生できなかった。また、拡張子は.avi以外は検出されない。対応フォーマットについてはまだ許容できるものの、サイズが固定というのはちょっと残念だ。
画像はJPEGファイルに対応している。画像再生で注意したいのはwizpyのディスプレイが縦長になっている点。動画を再生する場合は横倒しに表示されるので問題はないのだが、画像は縦長ディスプレイにそのまま表示されてしまう。つまり、横長の写真は上下に黒い帯が出るうえに、画像を回転して表示することもできない。また、数段階に拡大することができるズームインボタンはあるものの、その逆のズームアウトボタンが用意されていなかった。
テキスト表示は文字コードUTF-8、拡張子「.utf」のみをサポートしている。これも少々首をかしげてしまう仕様だ。一般コンシューマをターゲットにするのなら、せめて拡張子「.txt」には対応すべきではないだろうか。
このほかwizpyには、FMラジオ機能とボイスレコーダー機能を搭載しており、FMラジオを録音することも可能だ。エンコード方式はMP3で、ビットレートを16kbps〜192kbpsの範囲で指定することができる。
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