ASUSが2006年から展開しているゲームプレイヤー/オーバークロッカー向けの「R.O.G.」(Republic of Gamers)シリーズは、ハイエンドクラス並みの価格にもかかわらず高い人気を得ている。「COMMANDO」は、R.O.Gシリーズの3番めとなる製品で、シリーズで初めてインテル製チップセットを採用したモデルだ(それまでのR.O.Gシリーズ2製品は、NVIDIA製チップセットが搭載されている)。
COMMANDOの基板で最初に目を引くのが、VRMとノースブリッジ、そしてサウスブリッジまでをヒートパイプで接続している冷却ユニットである。一般的なマザーボードの場合、サウスブリッジの冷却はそれほど重視されることがなく、製品によってはヒートシンクすら設置されていない場合もある。最近は基板上のチップを冷却するためにヒートシンクとヒートパイプを使ったユニットを採用する製品も増えてきたが、そういうマザーボードであっても、VRMとノースブリッジまでをカバーしているのがほとんどだ。
COMMANDOの重要なコンセプトに「オーバークロック向きマザーボード」があるが、オーバークロック動作時におけるサウスブリッジの発熱に対処するためにこのような大掛かりなクーラーユニットが搭載されていると考えられる。VRM部に設けられているヒートシンクには、専用のクーラーファンが付属するが、P5B Premium Vista EditionなどのほかのASUSマザーと同様に、水冷システムやファンレスCPUクーラーなどを使用したときにファンを実装してVRMを冷却するために使用する。マニュアルには空冷式CPUクーラー使用の場合は使わないように説明されている。
COMMANDOは、R.O.Gシリーズで初めてインテルのチップセット「Intel P965」を搭載したLGA775 CPU対応のマザーボードになる。サウスブリッジはICH8RでRAIDの構築が可能だ。光学ドライブ用のUltra ATAポートは、ほかのASUS製Intel P965マザーボードと同様、JMicron Technologyの「JMB363」で制御される。ただし、eSATAポートは搭載されておらず、Serial ATAは、ICH8Rが制御する6ポートのみとなる。COMMANDOのSerial ATAポート用コネクタは、基板のサイドから横方向に向いているので、多数のHDDを接続したときにもスッキリとまとめやすい。ただし、ケースによってはシャドウベイと干渉する可能性があるので注意したい。
ネットワークは、Marvellの2つのコントローラ「88E8001」「88E8056」を搭載しているので、1000BASE-T LANを2系統使用できる。HDサウンド用コントローラ機能はオンボードで搭載しておらず、専用インタフェースの別基板として「SupremeFX」が標準で用意されている。この専用基板を指すコネクタは、拡張スロットの最上部にあって一見PCI Express x1スロットにも見えるのだが、取り付け方向が逆になっているのでSupremeFX専用のスロットになっている。サウンドカードのコントローラチップは、ADIのAD1988Bで、7.1チャネルのHDオーディオに対応している。アナログ入出力はSupremeFXに実装されていて、デジタル出力は、同軸とオプチカルのSPDI/Fがマザーボードのバックパネルにあるという変則構成となっている。
基板に用意されているPCI Express x16スロットは2本で、AMD(ATI)のCrossFireに対応する。PCI Express x1スロットは用意されておらず、残りはすべてPCIスロットになる。Intel P965マザーボードとしては珍しく、4本のPCIスロットが使用可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.