RadeonもDirectX 10時代に突入──「R600」正式発表(1/3 ページ)

» 2007年05月14日 13時01分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 Radeon HD 2000シリーズは、これまで「R600」シリーズという開発コード名で呼ばれてきたAMD(ATI)の新世代GPUだ。今回登場するのはデスクトップPC向けの「ATI Radeon HD 2900」シリーズ、「ATI Radeon HD 2600」シリーズ、「ATI Radeon HD 2400」シリーズとノートPC向けの「ATI Mobility Radeon HD 2600」シリーズ、「ATI Mobility Radeon HD 2400」シリーズ、「ATI Mobility Radeon HD 2300」シリーズ の6ラインアップ。ATI Mobility Radeon HD 2300以外は統合型シェーダユニットを搭載し、DirectX 10で採用されるシェーダモデル4.0に対応する。

 Radeon HD 2000シリーズに実装された統合型シェーダユニットは「Xbox 360」に採用されたシェーダユニットをベースに開発されたもので、AMD(ATI)はRadeon HD 2000シリーズに採用されたものを説明資料の中で「第2世代の統合型シェーダユニット」と呼んでいる。GPUに実装されている統合型シェーダユニットはハイエンドモデルのRadeon HD 2900 XTで320個という膨大な数になっているが、これらのユニットは5つをひとつの単位とした「5-way Superscalar shader processor」というエンジンを構成している。5-way Superscalar shader processorは5つの統合型シェーダユニットのほかに上流に配置された1つの分岐実行ユニットと下流に配置されたGeneral Purpose Registorsで構成され、1クロックあたり5つの命令を実行できる。

それぞれ、Radeon HD 2900シリーズ(画像左上)、Radeon HD 2600シリーズ(画像右上)、Radeon HD 2400シリーズ(画像左下)と「5-way Superscalar shader processor」(画像右下)の構成。統合型シェーダユニットは5ユニットをひとつにまとめにした構成をとっている

 高画質再生を支援するAvivoは、Radeon HD 2000シリーズの全ラインアップで新しい「Avivo HD」を採用したほか、新しく開発されたUVD(Unified Video Decoder)エンジンを組み込んでいる。従来のAvivoでは符号化処理をCPUで行っていたが、UVDではこの過程もGPUに実装した専用エンジンを使ってハードウェアで処理できるようになった。NVIDIAの「GeForce 8600」「GeForce 8500」「GeForce 8M」シリーズから採用されてた“第2世代”PureVideo HDでもHDコンテンツの再生処理を内蔵する専用エンジンを利用してCPUに高い負荷をかけることなくハードウェアで処理しているが、PureVideo HDがH.264だけに対応しているのに対して、UVDはH.264に加えてVC1の再生処理でもすべての過程をハードウェアで処理できる。

 画像出力では、すべてのラインアップでHDCPに対応したデュアルリンクDVIを有する(HDCPキーは内部に収録している)。また、GPU内部にHDオーディオコントローラを組み込むことで、グラフィックスカード1枚で画像出力とオーディオ出力が可能になるHDMIインタフェースをサポートできるようになった(HDMIコネクタはDVIに変換アダプタを装着することで対応)。AMD(ATI)はこのメリットを「GPUにサウンドコントローラとHDCPキーを統合することでサウンドカードとS/PDIFが不要になる。シンプルで低コストでセキュアな構成が実現する」とアピールしている。

Avivo HDで取り入れられたUVDではH.264だけでなくVC1の再生処理もすべてハードウェアで行えるのが特徴
グラフィックスカードでHDMIをサポートする場合、従来はHDオーディオ対応のサウンドカードと接続してオーディオ出力を行っていたが、Radeon HD 2000シリーズではGPU内部にサウンドコントローラを組み込むことで単体でHDMIをサポートできるようになった

 ノートPC向けのMobility Radeon HD 2000シリーズには省電力機能として「PowerPlay 7」が新たに実装された。「コアクロックやメモリクロックの動的変更」「コアクロックの変更」「Back Bias」(バイアス電流を加えることでリーク電流を減少させる機能)といった要素をユーザーのカスタマイズで動的に変更する機能が組み込まれたほか、「Back Bias」の効率を約2倍に向上したとAMD(ATI)は説明している。

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