RadeonもDirectX 10時代に突入──「R600」正式発表(2/3 ページ)

» 2007年05月14日 13時01分 公開
[長浜和也,ITmedia]
Radeon HD 2900 XTは今回登場するGPUでは最も上位のモデルになる。320個の統合シェーダユニットに新しくなったAvivo HDなど、最新の機能を実装したが、65ナノプロセスルールの導入は見送られた

 ATI Radeon HD 2900シリーズはこれまで「R600」の開発コード名で呼ばれてきた新世代GPUシリーズのハイエンドラインアップに位置する。今回登場するのは「ATI Radeon HD 2900 XT」(Radeon HD 2900 XT)の1モデル。製造プロセスルールは80ナノメートルで、噂されていた65ナノメートルプロセスルールを採用した製品は登場しない。構成トランジスタ数はAMD(ATI)の資料で7億個となっている。Radeon HD 2900 XTのコアクロックは742MHz、メモリクロックは825MHz(DDRデータ転送レートで1.65Gbps相当)。3D描画処理のコードにあわせてVertex、Pixelに処理を切り替えられる統合型シェーダユニットが320個搭載される(5個のユニットをひとまとまりとしてみると、320個÷5=64単位として考えることもできる)。

 メモリアーキテクチャはRadeon X1000シリーズで導入された「ring bus」形式を継承している。Radeon HD 2900 XTのスペック表ではメモリバス幅が512ビットとされているが、これは、Radeon HD 2900 XTのring busアーキテクチャにおいて2つのメモリが64ビット幅バスで接続する“RingStop”が4つ配置され、GPU全体でメモリバス幅が64ビット×2×4=512ビット相当と見ることができるため。なお、Radeon HD 2900 XTではGDDR3のみに対応する。最大容量は512Mバイト。

 Radeon X1950シリーズで2つの6ピンPCI Expressパワーを必要とした外部電源は、Radeon HD 2900 XTで8ピン+6ピンのPCI Express電源が必要になる。そのため、Radeon HD 2900 XTを自分のシステムに導入したい場合はPCの電源ユニットに8ピンのPCI Expressを有する製品を用意する必要がある。AMD(ATI)の資料によるとこのGPUを搭載したグラフィックスカードの消費電力は最大で215ワットとされている。ネイティブCrossFireに対応し、HDCPをサポートするデュアルリングDVI出力を2系統有する。

Radeon HD 2600シリーズは「Radeon HD 2600 XT」「Radeon HD 2600 PRO」の2モデルが登場する。65ナノプロセスルールを採用したこのシリーズの出荷は6月末を予定している

 ATI Radeon HD 2600シリーズは、Radeon HD 2000シリーズのミドルレンジクラスとなる。登場するGPUは「ATI Radeon HD 2600 XT」(Radeon HD 2600 XT)と「ATI Radeon HD 2600 Pro」(Radeon HD 2600 PRO)の2モデル。Radeon HD 2600シリーズはAMD(ATI)のコンシューマー向けGPUでは初めてとなる65ナノプロセスルールを採用。AMD(ATI)の資料には構成トランジスタ数が3億9000万個とある。

 統合型シェーダユニットを実装し、その数はXT、PROともに120個(Radeon HD 2900 XTと同じように5個を“ひとまとめ”にすると24単位相当と見ることもできる)。AMD(ATI)の資料ではRadeon HD 2600シリーズを搭載したグラフィックスカードの消費電力は最大で45ワットとされている。

 “XT”“PRO”のスペックで異なるのは動作クロック。“XT”はコアクロック800MHzにメモリクロックが1100MHz(DDRデータ転送レートで2.2Gbps相当)と、クロックだけをみると上位モデルのRadeon HD 2900 XTを上回る。“PRO”はコアクロック600MHzにメモリクロック400MHz(DDRデータ転送レートで800Mbps相当)。“XT”も“PRO”もメモリバス幅は128ビットで「GDDR3」「DDR2」に加えて「GDDR4」をサポートする。最大容量は256Mバイト。また、どちらもネイティブCrossFireに対応し、HDCPをサポートするデュアルリングDVI出力を2系統有する。

Radeon HD 2400シリーズは「Radeon HD 2400 XT」「Radeon HD 2400 PRO」の2モデルが登場する。上位モデルと比べて動作クロックと統合型シェーダユニットの実装数は異なるが、サポートする機能はほぼ同じ

 ATI Radeon HD 2400シリーズはRadeon HD 2000シリーズのバリュークラスとなる。登場するGPUは「ATI Radeon HD 2400 XT」(Radeon HD 2400 XT)と「ATI Radeon HD 2400 PRO」(Radeon HD 2400 PRO)の2モデル。ともに、Radeon HD 2600シリーズと同じく65ナノプロセスルールを採用する。AMD (ATI)の資料によると構成トランジスタ数はいずれも1億8000万個となっている。上位2シリーズと同様、統合型シェーダユニットを実装しDirectX 10にフル対応、ネイティブCrossFireもサポートする。AMD(ATI)の資料にある搭載グラフィックスカードの最大消費電力は25ワット以下。

 実装する統合型シェーダユニットはともに40個(上位2モデルと同様、5個をひとまとめにすると8単位と見ることもできる)。動作クロックは両者で異なり、“XT”はコアクロック700MHzにメモリクロックが800MHz(DDRデータ転送レートで1.6Gbps相当)、“PRO”でコアクロック525MHzにメモリクロック400MHz(DDRデータ転送レートで800MHz相当)。Avivo HDにも対応していて、HDCP(キーはGPU内部に収録)、HDMIをサポートするが、画像出力は上位2モデルと異なりアナログのVGAとデュアルリンクDVI1系統を有する。

 Radeon HD 2900 XTを搭載したグラフィックスカードは発表と同時に発売が開始されるが、そのほかのGPUを搭載した製品は6月末までに登場する予定。AMD(ATI)が想定している実売価格はRadeon HD 2900 XT搭載グラフィックスカードで399ドル、Radeon HD 2600シリーズで99ドルから199ドル、Radeon HD 2400シリーズで99ドル以下とされている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月08日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー