アドビシステムズは6月1日、Flash Videoの再生ソフト「Adobe Media Player」と、Flash Videoのストリーミング配信サーバソフト「Flash Media Server 2」について製品説明会を実施した。Flash Media Server 2はすでに提供中。Adobe Media Playerは現在開発中で、2007年10月ごろに北米、2008年の早い時期に日本で提供される予定だ。
製品説明に先立ち登壇した同社マーケティング本部 Web&ビデオ部 部長の古村秀幸氏は、同社がFlashの技術によって、映像制作から配信、再生までをカバーするソリューションを提供するとアピールした。
同氏はYouTubeの人気でFlash Videoの普及が進んだことを好意的に紹介する一方、「YouTubeの画質が悪いことから、Flash Videoの画質は悪いのではないか」という誤解と、「セキュリティ面に不安があるのではないか」という誤解が生まれたと述べた。これに対して「Flash Videoは高画質の映像を制作して配信可能な技術。セキュリティ面についても、メディアファイルのURLや場所を隠蔽するなどのコンテンツ保護機能をすでに実装しており、Flash Media Server 2ではより高度なセキュリティ機能も追加している」と力説した。
続いて、米アドビシステムズ ダイナミックメディア担当 グループプロダクトマネージャーのクリス・ホック氏が、Flash Media Server 2の解説とデモを行った。Flash Media Server 2は、Flash Videoのストリーミング配信機能と、インタラクティブなアプリケーション開発のフレームワークを含むサーバソフトだ。
同氏はWebビデオの一般化によりオンラインビデオ広告市場が年々成長している中、主要な動画コンテンツ配信業者がFlash Videoを採用してきた理由として、プレーヤー自体が普及してクロスプラットフォームに対応している点、ユーザーインタフェースを配信業者側がカスタマイズできる点、インタラクティブ性がある点の3つを挙げた。そしてFlash Media Server 2は、コンテンツ配信業者が安全かつ確実にFlash Videoを配信できる環境と、インタラクティブ性があるソーシャルメディアを開発可能な環境を提供するという。
過去半年間では、2006年に米Serious Magic社を買収したことが大きなトピックで、Serious Magicが開発した「Vlog-It」や「Visual Communicator」といった動画作成ソフト群が、今後はFlash Media Serverに統合される予定としている。
2007年2月21日にパートナーシップを発表した米Photobucket社のサービス「Photobucket Rimix」を利用したデモも行われた。デモの内容は、Flash Media Server上で動作するアプリケーションを利用し、あらかじめ撮影してサーバにアップロードしておいた動画をWebサイト上で編集して配信するというもの。初心者向けビデオ編集ソフトのようなユーザーインタフェースのストーリーボード上にビデオクリップを並べて、トランジションの効果やサウンドトラックを加えたうえで、配信するまでの作業を実演した。
Photobucket Rimixでは元の素材を直接編集して書き換えるわけではなく、Flash Media Server上のビデオクリップを集めたうえで表示時にバックグラウンドで効果を加えることで、視聴者に編集した映像のように見せている。
また、Flash Video用エンコードソフト「Flash Media Encorder」のデモも実施された。Flash Media Encorderは、撮影した映像をライブストリーミングするためのエンコードソフト。VP6コーデックによる高品位な動画の作成が可能で、ビデオキャプチャデバイスから入力した映像と加工後に出力する映像をライブビューで見比べたり、音声の調整やアスペクト比の変更、複数URLの出力に対応している。
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