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» 2007年06月19日 02時00分 公開

WinHEC 2007 Tokyo:これは“始まりの終わり”だ――マイクロソフトがVistaの最新動向を説明 (1/2)

マイクロソフトがWinHEC 2007 Tokyoを開催。記者説明会では、Vistaの新施策やWPFによる新しいWebコンテンツ、Windows Server 2008などを紹介した。

[前橋豪,ITmedia]

 マイクロソフトは6月18日、Windows VistaおよびWindows Server 2008の最新状況に関する記者説明会を開催した。この記者会見は、Windowsプラットフォームのロードマップやテクノロジを解説するハードウェア開発者向けカンファレンス「WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference) 2007 Tokyo」の開催に合わせたもの。WinHEC 2007 Tokyoは、6月18日、19日の2日間開催される。

Vistaのエコシステムはさらに拡張していく

マイクロソフト 業務執行役員 Windows本部 本部長ジェイ・ジェイミソン氏

 Vistaの動向について説明したのは、同社業務執行役員 Windows本部の本部長ジェイ・ジェイミソン氏だ。同氏は「Vistaの発売以降、認知度は向上しており、パートナー企業からの強力なサポート、そして普及に向けた継続的な取り組みにより、Vistaのエコシステムはさらに広がっていく」と語った。

 具体的には、同社が国内で行ったVistaの製品認知率調査(過去6カ月以内にPCを使用したユーザーが対象)で約90%のPCユーザーがVistaを知っていると答えた例をはじめ、Windows Updateで1万3000以上のドライバが利用可能な例、9000以上のデバイスと1700以上のアプリケーションがVistaロゴを取得した例、Windows Media Player 11対応のオンラインストアが10社に増えた例などを挙げ、Vistaのローンチの好調ぶりをアピールした。

 同社は、企業導入を推進する新施策として、Vistaに対応したソフトウェア管理支援ツール「Desktop Optimization Pack 2007」を7月1日より提供する予定だ。Desktop Optimization Pack 2007は、アプリケーション仮想化の「SoftGrid」、グループポリシー制御の「Advanced Group Policy Management」、システムとネットワークの問題を診断・復旧する「Diagnostics and Recovery Toolset」、ソフトの使用状況をまとめて管理する「Asset Inventory Service」、OSやアプリケーションのトラブルを一括して分析する「System Center Desktop Error Monitoring」で構成される。これによって、ITコストを効果的に削減でき、柔軟なデスクトップ環境の管理を実現できるとした。

同社の調査によれば、Vistaの認知度は日本でとくに高い(写真=左)。デバイスドライバの対応とアプリケーションの互換性は日々進んでいる(写真=中央)。コンシューマー市場での各種施策と、企業導入を推進するDesktop Optimization Pack 2007(写真=右)

 Vistaで新しく導入されたハードウェア関連技術のWindows Ready Drive、Windows SideShow、Windows Rallyについてもデモが行われた。ReadyDriveは、フラッシュメモリ搭載HDDによって高パフォーマンス、高信頼性、バッテリーの長寿命化を実現する技術。ReadyDrive使用時はHDDのプラッタ回転が少なくなるデモや、Vistaの起動時間が高速化されるデモが実施された。ReadyDriveは、NECの液晶一体型PC「VALUESTAR N」ですでに採用されている。

ReadyDriveがオフの状態では常時プラッタが回転し、画面下方の棒グラフがすべてプラッタの回転を示す赤色になっている(写真=左)。ReadyDriveをオンにすると、アプリケーション動作中でもキャッシュメモリ内のデータがヒットすることで、プラッタの回転が抑えられる(写真=中央)。画面下方の棒グラフで緑色の部分が、プラッタが停止している時間だ。ReadyDriveのオン/オフで起動時間を比較するデモでは、左のオフ状態に対して右のオン状態のほうが高速に起動した(写真=右)

 SideShowとは、Vistaで利用可能なSideShowガジェットというソフトウェアの表示を行うサブディスプレイデバイスを用意することで、PCのメインディスプレイを表示せずにさまざまな機能が使えるようになる技術だ。SideShow搭載ノートPCはASUSTeK Computerが国内で「W5Fe」を発売している。

 SideShowのデモの内容は、今後提供予定のアップデートによってWindows Mobile 5/6搭載の携帯端末がSideShowに対応し、PC内の音楽ファイルやメールをBluetooth経由で携帯端末から操作できるようになるというもの。Windows MobileをSideShow対応にするアップデートは、2007年第3四半期に提供される予定だ。

 Windows Rallyとは、PCと周辺機器を簡単かつセキュアに接続できるようにするネットワーク技術。近日発売予定のNEC製ネットワークプロジェクタをPC上で検索し、パスワードを入力して無線LANで接続するデモが行われた。Windows Rally対応製品は、ルータが発売ずみだ。

Windows Mobile端末をSideShowデバイスとし、PCの写真を閲覧したり(写真=左)、PowerPointを操作する(写真=中央)デモ。Windows Rallyでワイヤレス接続が可能なNECのネットワークプロジェクタ(写真=右)

 Vistaに標準搭載される表示環境「Windows Presentation Foundation」(WPF)のデモも実施された。WPFは同社のソフトウェア開発技術「.NET Framework 3.0」のコンポーネントで、高度な2D/3Dグラフィックスを統合的に扱うアプリケーションやWebコンテンツの作成を容易にするものだ。

 WPFのデモでは、プラネタリウムクリエイターとして知られる大平技研 代表取締役 大平貴之氏がゲストとして登場。同氏が手がけた高性能プラネタリウム「MEGASTAR」の世界観をWPFによるWebサイト「MEGASTAR ONLINE」で再現したことを紹介した。MEGASTAR ONLINEでは、WPFで構築された3D表示の天球に数百万の星が映し出され、ユーザーは方角、角度、季節、時間などを自由に操作できる。

大平貴之氏とプラネタリウムのMEGASTAR(写真=左)。MEGASTAR ONLINEは、MEGASTARの星空の画像をPCで手軽に楽しめるコンテンツ(写真=中央)。MEGASTAR ONLINEの画面は、左上で方角を確認し、右下の操作パネルで時間や季節、ズームなどを設定できる(写真=右)

 このほか、アスクドットジェーピー、NECビッグローブ、日経BP、ブリヂストンソフトウエア、楽天もWPFによるWebコンテンツを順次構築していく予定だ(アスクドットジェーピー、NECビッグローブはWebサイト公開済み)。

Windows Server 2008は新しい仮想化技術がポイント

 Windows Server 2008の動向は、同社業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 五十嵐光喜氏が説明した。Windows Server 2008は、管理機能の向上、保護機能の向上、柔軟性の向上という3つの柱があるという。機能の解説は、セキュリティと仮想化技術に重点が置かれた。

 セキュリティ機能については、ネットワークアクセス制御(NAP:Network Accesss Protection)を紹介。NAPは、ネットワークに接続しようとするPCの状態(ファイアウォールやパッチ適用状況など)をチェックし、事前に管理者が定めたポリシーに準拠したPCのみ接続可能にするアクセス制御機能だ。会場では、ファイアウォールが有効になっていないPCがネットワークにアクセスできなくなるデモが行われた。

マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 五十嵐光喜氏(写真=左)。Windows Server 2008とVistaを組み合わせることで、多層防御によるセキュリティ環境が得られるという(写真=中央)。ファイアウォールが無効だったので接続できなかったが、ファイアウォールを有効にしたことで社内のイントラネットに接続できるようになったというNAPのデモ(写真=右)

 仮想化技術では、デスクトップ仮想化の「Virtual PC」、ホストOSを必要とせずにハードウェア上で仮想化レイヤーを動作させるハイパーバイザー型の「Windows Server Virtualization」、アプリケーション実行環境の仮想化を行う「SoftGrid」、プレゼンテーションレイヤーの仮想化を行う「Windows Server 2008ターミナルサービス リモートプログラム」について説明がなされた。

 SoftGridを使えば、単一OS上でシステムに影響を与えずに、複数バージョンのアプリケーションを使い分けることが可能。アプリケーションの実行に必要なファイルをサーバからダウンロードしてキャッシュし、オフラインの状態でアプリケーションを利用するといった運用も行える。一方のWindows Server 2008ターミナルサービス リモートプログラムは、アプリケーションをインストールすることなく、サーバ側でアプリケーションを実行し、ウィンドウ単位で画面表示だけを行う。これにより、セキュリティを確保しつつ、ユーザーはネイティブなアプリケーションを使っている感覚で操作できるという。

仮想化技術の仕組み。左から、Virtual PC、Windows Server Virtualization、SoftGrid、Windows Server 2008ターミナルサービス リモートプログラム

 Windows Server 2008は、2007年4月にβ3の日本語版がリリースされ、約1カ月半で2万5000本が配布された。現時点で、約2500名がβ3のトレーニングを受講し、約120社がWindows Server 2008対応のアプリケーションを開発中という。今後は、2007年第3四半期にRC版、2007年第4四半期にRTM版をリリースする予定だ。

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