この夏モデルで新たに投入されたNECの「VALUESTAR N」シリーズは、厚さが約40ミリというスリムボディが魅力の液晶一体型PCだ。これまでに同社がリリースしてきた液晶一体型PCは、フラッグシップモデルの「VALUESTAR W」シリーズと、スタンダードモデルの「VALUESTAR S」シリーズで構成されていた。いずれも17インチ以上の液晶ディスプレイを採用していたのに対し、ニューフェイスの「VALUESTAR N」は15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載した、ライトユーザー向けのエントリーモデルに位置付けられる。店頭で人気の高い液晶一体型PCの選択肢がいっそう充実した格好だ。
ラインアップは全3モデルでOSはWindows Vista Home Premiumと共通ながら、CPUやHDD容量、地上デジタルTVチューナーの有無などで違いが見られる。最上位の「VN570/JG」はTV機能を重視したモデルで、地上デジタルTVチューナーと色再現性に秀でたスーパーシャインビューEX2液晶を搭載し、TV番組の録画に備えてHDD容量も200Gバイトと多めだ。そのぶん、CPUはMobile Sempron 3400+(1.8GHz)と控えめだが、今回取り上げる中位の「VN550/JG」は地上デジタルTVチューナーを省きつつ、デュアルコアCPUのTurion 64 X2 TL-50(1.6GHz)と256Mバイトのキャッシュを内蔵したハイブリッドHDD(容量120Gバイト)を備えるなどパフォーマンス重視のモデルである。
前述したように、VALUESTAR Nの特徴は小回りのきく小型ボディにある。これはVALUESTAR Sシリーズと同様にノートPCのアーキテクチャを採用することで実現している。チップセットは統合型のAMD M690Vで、グラフィックスはATI Radeon X1200のコアを内蔵する。上位のM690Tと異なり、専用ディスプレイキャッシュやHDMI出力などは持たないが、DirectX 9や動画再生支援機能のAvivoをサポートしており、Windows Aeroも問題なく動作する。
メインメモリはPC2-5300対応の1Gバイトで、200ピンのSO-DIMMモジュール2枚(512Mバイト×2)で構成される。最大容量は2Gバイトだが、増設時に標準装備のメモリモジュールが無駄になる点は覚えておきたい。HDDもノートPC用の2.5インチSerial ATAタイプだが、256MバイトのOneNAND型フラッシュメモリを搭載したハイブリッドHDDをいち早く採用しているのが光る。読み出し/書き込み速度が高速なOneNAND型フラッシュメモリを利用することで、起動時間の短縮やレスポンスの向上が期待できる。今回は試作機のためテスト結果を公表できないが、ベンチマークテストのスコアは良好だった。
そのほかのハードウェアスペックは、スリムタイプのスロットイン式DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DL対応)にギガビットLAN、そしてIEEE802.11a/g/b対応の無線LANとなかなか充実している。
ボディは光沢感のあるホワイトを中心に、シルバーのメッシュ加工が施されたスピーカー部の両脇をアルミダイキャスト製のスタンド兼フレックスバー(取っ手)がはさむデザインを採用する。背面のスタンドを動かすことでチルト角度の調整が柔軟に行えるほか、フレックスバーには携帯電話や光学メディアなどを収納できる「ガジェットポケット」を2個装着可能なのがユニークだ。設置時の奥行きは、最小チルト時で約160ミリと一般的なA4ノートPCの60%程度ですみ、付属の無線キーボードを本体下のスペースにすっぽりと収納可能と徹底的な省スペース性が追求されている。マウスも無線タイプで、無線LAN機能も標準で装備されているため、電源のACアダプタを除けば(地デジのTVチューナー内蔵モデルはアンテナケーブルも必要だが)ケーブルの配線に悩まされずに利用できるのがポイントと言える。重量も約4キロと室内の移動ならば苦にならない。ノートPCよりも必要な設置面積が少ないうえでノートPCに迫る可搬性を維持しつつ、それでいてデスクトップPC並の操作性を獲得しているのがVALUESTAR Nの真骨頂だ。
なお、右側面にはDVDスーパーマルチドライブと輝度調整ダイヤル、USB 2.0ポートを、左側面にはメモリースティックPro/SDメモリーカード(SDHC対応)/xDピクチャーカード対応のメモリカードスロットと4ピンのIEEE1394ポート、TypeIIのPCカードスロット、マイク、ライン出力兼用のヘッドフォン、USB 2.0ポートが並ぶ。背面には有線LANと無線LANの電源スイッチ、そして2基のUSB 2.0ポート、DC入力があり、ケーブルの取り回しで頭を悩まされずにすむ。
キーボードは、テンキー付きのフルサイズキーボードが採用されている。薄型でストロークが浅いノートPCライクなものではなく、通常のデスクトップ向けのキーボードなのでデスクトップPCからの買い換えでも違和感なく利用できるだろう。キーボード左上にはプログラマブルなワンタッチキーが4つあり、初期設定では左から順に「メール」「インターネット」「ソフトナビゲーター」「サポートナビゲーター」が起動するようになっている。この4つのワンタッチキーと本体前面右側の2個のワンタッチキーはいずれも「ワンタッチスタートボタンの設定」ツールを利用して、起動アプリケーションのカスタマイズが可能だ。キーボード右上には、消音と音量調整のボタン、電源スイッチが配置されている。マウスは、ホイール付きのワイヤレスマウスで、キーボードとマウスの裏には電池の消耗を防ぐための「オン/オフ」スイッチがある。
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