Vistaのプレミアム体験を9万円ノートで――Gateway「MT3303j」米国牛は安くてうまいか?(1/2 ページ)

» 2007年06月20日 16時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

コストパフォーマンスが自慢のVista Home Premium搭載ノート

Gateway MT3303j

 カウスポット(牛柄)のロゴで知られる米Gatewayは2004年12月の日本再上陸以来、コストパフォーマンス重視のPCを毎シーズン投入している。

 今回紹介するGateway「MT3303j」は、とりわけ価格競争力の高いエントリークラスのノートPCだ。CPUにAMDのSempronを採用するなど全体的にコストダウンを図ることで、14.1インチのワイド液晶ディスプレイとWindows Vista Home Premiumを搭載していながら、9万円以下という実売価格を実現しているのが大きな特徴だ。

 まず主要なスペックから見てみよう。CPUにはAMDのSempron 3500+を採用している。Sempronは、Athlon 64と同一アーキテクチャの廉価版ブランドで、実動作クロックは1.8GHz、L2キャッシュ容量は512Kバイトとなっている。もちろんシングルコアのCPUだ。ちなみにこのスペックはAthlon 64 3000+と同等であり、概要をイメージしにくい人はAthlon 64 3000+に置き換えて考えても構わないだろう。

 メモリ容量は1Gバイト。標準で512MバイトのDDR2-667モジュールが2枚装着されており、メモリスロットにはネジ止めされている背面のカバーを外すことでアクセスできる。2基のメモリスロットは購入時に埋まっているので、メモリ増設時は初期装備のメモリモジュールと交換になる点に注意したい。HDDは回転速度4200rpmのUltra ATAタイプで、容量は80Gバイトとやや控えめだ。光学ドライブはDVD±R DL対応のDVDスーパーマルチとなっている。

 チップセットにはNVIDIA C51MVを採用している。聞き慣れない名前かもしれないが、グラフィックス機能のGeForce Go 6100コアを統合したチップセットだ。3Dの描画性能は高くないものの、Windows Aeroの特殊効果を表示する程度なら十分に対応できる。

メモリスロットとHDDは底面のネジを外すことで、簡単にアクセスできる(写真=左)。6セルのリチウムイオンバッテリー(10.8ボルト 4800mAh)を用意。ACアダプターは本体サイズの割に小さめだ(写真=右)

 プリインストールされるアプリケーションは必要最低限で、サイバーリンクのCPRM対応DVD再生ソフト「PowerDVD v7」とDVD/CDライティングソフト「Power2Go v5」、マカフィーのセキュリティソフト「インターネット・セキュリティ・スイート(90日版)」くらいだ。とはいえ、Vista Home PremiumではAVコンテンツの再生用にWindows Media Centerを備えているうえ、DVDの簡易オーサリングはWindows DVDメーカー、HDV対応の簡易動画編集はWindowsムービーメーカーで行える。

落ち着いたデザインに使いやすい配置のインタフェース

天板には細かな地模様が入っており、手触りがよい

 ボディは、横幅が325ミリ、奥行きが236ミリと、リアルA4サイズよりふた回りほど大きいフットプリントで、高さが35ミリという家庭で使うのに手ごろなサイズだ。樹脂製のボディは剛性感という点ではいまひとつだが、強度面でとくに不安を感じるようなことはない。ブラックと落ち着いたシルバーのツートーンカラーは同社製PCにおなじみの配色で、パームレストにヘアライン加工の金属板をはめこみ、インジケータに青色LEDをあしらうなど、安っぽく見えないデザインに仕上がっている。

 端子類は、ACアダプター用のDC入力は背面に、D-Sub 15ピンのアナログRGB出力や100BASE-TXの有線LAN、FAXモデムは右側面の奥と、利用時にケーブルを接続したままとなるものは奥側に配置されている。また、3基のUSB 2.0ポート、ExpressCard/54スロット、メモリカードスロット(SDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO共用)は左側面の手前側、ヘッドフォン出力とマイク入力は前面と、頻繁に抜き差しする用途のものは手前側に配置しており、使い勝手がよい。

 そのほか、通信機能としてはIEEE802.11g/b準拠の無線LAN機能も内蔵している(背面のMini PCIスロットに装着)。IEEE1394の端子がない点と、USBポートが3基とも左側面に集中している点は好みが分かれるだろうが、インタフェースの種類、数、配置は十分に納得できる内容だ。

前面にはステレオスピーカーとマイク入力、ヘッドフォン出力を用意(写真=左)。背面にはDC入力とロック用のホールを配置している(写真=右)

左側面の手前側に、3基のUSB 2.0ポートとExpressCard/54スロット、メモリカードスロット(SDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO共用)を備えている(写真=左)。右側面は、手前にDVDスーパーマルチドライブ、奥に有線LAN、FAXモデム、アナログRGB出力の端子が並ぶ

 USBポートの奥には冷却ファンの排気口があり、稼働時にこのあたりに手をもってくると排気の熱を感じるが、ベンチマークテストプログラムなどを実行してシステムに負荷をかけても、パームレストにまで不快な熱が伝わってくることはなかった。冷却ファンの騒音も常に抑えられており、耳障りなほど大きくなることはなかった。

液晶ディスプレイと入力環境の品質は?

1280×800ドット表示の14.1インチワイド液晶ディスプレイは光沢仕様

 液晶ディスプレイは14.1インチのワイドタイプで、画面解像度はWXGA(1280×800ドット)だ。ドットピッチは約0.24ミリで、画面サイズに対して表示が細かすぎない解像度となっている。Windows Vistaでは、サイドバーガジェットと呼ばれるミニアプリケーションをデスクトップ右端に常駐させられるが、サイドバーを利用してもXGA(1024×768ドット)以上の作業領域を確保できるため、Webブラウザや表計算ソフトの利用で画面が極端に狭く感じることはないだろう。

 ディスプレイの表面は光沢パネルだが、色純度の高い派手な表示といった印象はない。最近の国内メーカー製ノートPCの水準からいえば、特別に明るい、特別に鮮やかだということはないものの、輝度、コントラストともに通常の利用で不満が出ないレベルのものを備えている。

 微妙なカラー調整を必要とするフォトレタッチのような作業には向かないが、ストリーミングの動画やDVD-Videoを気軽に楽しむぶんには十分な表示品質だった。ただし、上下の視野角が少し狭く、光沢パネルへの外光の映り込みもあるので、設置場所やユーザーの姿勢に応じたディスプレイ部のチルト調整は必須だ。

日本語90キーのキーボードとスクロールゾーン付きのタッチパッドを装備

 前述の通り、パームレスト部分にはヘアライン加工された金属板が貼ってあるが、これはデザイン面で高級感の演出に貢献しているほか、手に伝わってくるソリッドな感触も心地よい。キーボードの周りにワンタッチボタンは設けられていないが、Fnキーとファンクションキーの組み合わせで、無線LANのオン/オフや音量調整、AVコンテンツの再生/一時停止/停止/スキップなどの操作が行える。

 キーボードの配列は、カーソルキーがほかのキーより一段下がっているのは使いやすいが、Enterキーと右Shiftキーの右側にPgUp、PgDn、Homeのキーが並んでいるため、文字入力時にミスタイプを誘いやすい。また、キーピッチは約19ミリ、キーストロークは約3ミリと余裕があるものの、タイプ時にはキーボードが少したわむような感覚があり、タッチ感はいまひとつだった。そのため、文字入力を頻繁に行うような用途には向かないだろう。もっとも、マウス操作が中心の用途ならばとくに問題はない。

 一方、大型のタッチパッドは使いやすく、右側に用意された縦スクロール用エリア(バーティカルスクロールゾーン)も操作しやすい。手前に配置したインジケータと統一したクリックボタンのデザインも好感が持てる。そのインジケータは、光沢ブラックのパネルの奥からステータスを表示する青色LEDが浮かび上がる演出となっている。



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