この白さは“別世界”なVAIO最安ノートPC実力診断──ソニー「VAIO type N」2007年PC秋冬モデル連続レビュー(1/2 ページ)

» 2007年10月30日 16時15分 公開
[兼子忍,ITmedia]

全2モデルで構成されるVAIO type N

新デザインを採用したVAIO type N

 ソニーの「VAIO type N」は、12万円前後からという手ごろな価格設定と、Windows Vistaを利用するのに適した15.4インチのワイド液晶ディスプレイ、インテリアと合わせやすいホワイトを基調としたカラーリングを採用した、いわゆる売れ筋モデルに属するスタンダードなノートPCだ。シリーズの立ち上げは2007年1月と登場してから日は浅いものの、この秋冬モデルではボディデザインの変更を含む大幅なモデルチェンジを行った。

 VAIO type Nには、オフィススイートのMicrosoft Office Personal Edition 2007が付属した「VGN-NR50B」と、Officeを省略した「VGN-NR50」の2モデルがラインアップされる。ただし、両モデルの間にハードウェアの違いはなく、CPUにCeleron 530(1.73GHz)を採用、1Gバイトのメモリと120GバイトのHDD、IEEE802.11g/b準拠の無線LAN機能を搭載するなど、いずれもエントリーモデルとして標準的な基本スペックを備えている。

 同社の直販サイト「SonyStyle」専用モデルや、BTOに対応したVAIOオーナーメードモデルは用意されていないが、SonyStyleで購入した場合は修理保証期間が3年間に延長されるほか、水濡れや火災といった偶然の事故による故障も無料修理の対象となる「3年間保証サービス<ワイド>」を有償で追加することが可能だ。

「温かみ」を感じさせる新デザインのボディ

 新モデルに施された変更点の中で、特に目を引くのが本体デザインだろう。ホワイトをベースに、アクセントとしてシルバーを取り入れた基本カラーは、従来モデルから引き継がれたものだが、天面とパームレスト面に目の粗い布を思わせるパターンをディンプル加工し、本体の四隅を丸く切り落とすことで、従来の硬質な印象から一転して、温かみを感じさせるものへ改めた。

 ボディサイズは360(幅)×269.1(奥行き)×31.4〜37.9(高さ)ミリ、重量は150グラム減の約2.8キロで、シャシーの下半分にブラックを用いることで薄さを強調している。このブラックの部分はシャシー部の影と一体化して見えるため、本体が机から浮き上がっているような錯覚を生み出す役目も果たす。一見するとシンプルなデザインながら、温かみや軽快さといった独特の雰囲気をうまく演出している点が非常に興味深い。

「布のような質感」を目指したというディンプル加工が液晶ディスプレイ天面とパームレスト面に施されている。表面は細かい凹凸で覆われ、独特な色合いを見せるが、ややホコリがたまりやすい印象だ

 続いてはPCの基本スペックをチェックしよう。

 まずCPUだが、YonahコアのCeleron M 430からMeromコアのCeleron 530へと変更された。1.73GHzという実動作クロックに変更はなく、FSBクロックも533MHz、2次キャッシュ容量も1Mバイト、TDPも30ワットと、カタログスペックはほとんどが従来モデルと共通しており、インテル64アーキテクチャに対応する点が違いとなる。

 チップセットはIntel 943GML Expressから、ローエンドながら最新のIntel GL960 Expressへとアップグレードされている。チップセット内蔵グラフィックスがIntel GMA X3100になり、Intel Clear Video Technologyをサポートした点が目新しい。

 OSはWindows Vista Home Basic搭載モデルが廃止され、2モデルともWindows Vista Home Premiumに統一された。これに伴って、メモリは全モデルで標準1Gバイト(512Mバイト×2/PC2-4200対応)を搭載している。HDDは20Gバイト増の120Gバイトに容量を強化。個人用PCは、デジタル写真や音楽ファイルといったメディアファイルを扱う機会が多いだけに、より多くのファイルを保存可能になるHDD容量の増加は、目立たないながらも心強い強化ポイントと言える。

クセのないキーボードと15.4インチワイド液晶ディスプレイを採用

15.4インチワイド光沢液晶ディスプレイを採用する

 15.4インチワイドの液晶ディスプレイは、1灯式ながら十分な明るさとコントラストを備えたクリアブラックLE液晶を採用する。パネル表面の乱反射を防ぐ処理により発色も鮮やかで、DVD-Videoやデジタル写真を鮮明な画質で表示できるが、パネルの角度や光源の位置によっては画面への映り込みが気になった。視野角もそれほど広くない(左右方向は色が反転しがちで、上下方向は白や黒っぽく表示される)ので、気になるユーザーは店頭で確認したほうがいいだろう。

 画面解像度は1280×800ドットと、同クラスのノートPCに比べて差はないが、Windowsサイドバーを表示したままでもある程度のデスクトップ領域を確保することが可能だ。

 キーボードは、長方形のユニットの中にすべてのキーを収めたデザイン重視のレイアウトだ。カーソルキーが一段下になく、右側のShiftキーやCtrlキー、Fnキーと隣接しているものの、「ろ」キー(16ミリピッチ)を除く文字/記号キーは横ピッチが約19ミリで統一されている。BackSpaceキー(横幅37ミリ)やEnterキー(横幅42〜47ミリ)にはゆったりとしたサイズが与えられており、カーソルキーの配置も慣れればタイプミスに悩まされることはないだろう。

 また、端のキーを強めに叩いてもキーボードユニットがたわむことはなく、安心して文章を入力することができた。ただし、底付き感が弱いソフトなキータッチは好みが分かれそうなところだ。なお、キーボード上部には、起動するアプリケーションや機能をユーザーが自由に割り当てられるワンタッチボタン「S1ボタン」と、DVD-Video再生ソフトや音楽ファイルの管理・再生ソフト「SonicStage CP」、Internet Explorerを起動可能なランチャーソフトを立ち上げる「AV Mode」ボタンが搭載される。

 タッチパッドは横長の操作面と2つのボタンで構成され、スクロール機能は操作面の右端と下端をなぞって行うオーソドックスなタイプだ。アルプス製の多機能ドライバが導入済みで、上下/左右のスクロールのほか、操作面上部を左右になぞってWebブラウザの進む/戻る操作を行えるWebアシスト機能や、左上のコーナーをタップして、アクティブウィンドウの終了と最小化、スタートメニューの表示を行う大型アイコンを表示する「スマートメニュー」などの機能を利用できる。左右のクリックボタンはストロークにも適度な深さがあることから、確実にクリック操作を行えた。なお、右側パームレストには、電子マネーを使って簡単にインターネットショッピングの決済を行えるFeliCaポートが内蔵済みだ。

キーピッチ19ミリ、キーストローク2.5ミリのキーボードを採用する(写真=左)。Fnキーの配置がやや変則的で、丸みを帯びたキートップの形状もユニークだが、タッチは良好だ。タッチパッドにはアルプス製の多機能ドライバが導入済み(写真=中央)。キーボード上部に用意されたSボタンを長押しすると設定メニューが現れ、割り当ての変更が行なえる(写真=右)

 次のページではインタフェースの配置やマシンパフォーマンスをチェックする。

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