液晶TVとPCディスプレイは両立できたか――ナナオ「FORIS.HD」を試す3波デジタル、HDMI×3、WUXGA対応(2/3 ページ)

» 2007年11月01日 17時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]

PCとの親和性が高い1920×1200ドット表示の液晶パネル

 前述の通り、液晶パネルは1920×1200ドット(WUXGA)表示に対応する。液晶パネルはVA方式を採用。輝度は360カンデラ/平方メートル、視野角は上下/左右178度、色域はNTSC比で約92%と広い。コントラスト比は非公開だが、パネル自体は「ColorEdge CG241W」と同種なので、1000:1程度はある。また、表示するシーンに応じてバックライトをリアルタイムで制御しつつ、レベル調整も行うコントラスト拡張機能も搭載しており、この機能を使う場合は最大で3000:1程度のコントラスト比が得られると予想される。

 応答速度も非公開だが、FORIS.TVと同じくナチュラルオーバードライブ回路は備えているため、動画の追従性はまずまず。しかし、液晶TVでトレンドとなっている倍速駆動や、バックライトスキャンと組み合わせた黒挿入といった動画ボケ軽減機能は用意されていない。動画の応答性はFlexScan HD2451Wと大差ないと感じた。同種のVAパネルを採用した他製品と同様、中間調の表示では画面にうっすらと細かな光の乱反射が見えることがあるが、TV映像や動画の表示で目立つことはない。

 階調性では10ビットガンマ補正機能(内部演算精度も10ビット)を備えており、色域の広さと最大輝度の違いを除いたPCディスプレイとしての表示性能はFlexScan HD2451Wに近いという。実際にDVI-DでPCと接続し、グレースケールやカラーのグラデーションパターンなどをいろいろと表示してみたが、黒に非常に近い部分を除けば、階調性は高いレベルにあった。NTSC比で約92%の広色域パネルなので、緑や赤の発色が華やかだ。

1920×1080ドット表示(WUXGA)に対応した24インチワイドパネルを採用(写真=左)。モノクロのグラデーション(写真=中央)やカラーのグラデーション(写真=右)はスムーズに表示できる。写真はJPEG圧縮の関係で、階調の一部が崩れて見えるが、実物では問題ない

 WUXGAに満たない解像度をPCで入力する場合のスケーリング機能は、FlexScan HD2451Wと同様だ。ドットバイドット表示となる「リアル」、アスペクト比を維持したまま拡大表示する「ノーマル」、アスペクト比を無視したフルスクリーン表示の「フルスクリーン」が選べる。また、PC入力の映像を親画面、AV入力の映像を子画面に表示するPinP機能も持つ。子画面は透過率を4段階で設定可能だ。

1024×768ドットを表示した例。左から「リアル」「ノーマル」「フルスクリーン」の設定

 デジタル放送やHDMIからの1080i/p映像を表示する場合は、基本的に画面の上下に黒帯を付けて表示する。人によっては、16:9の映像に黒帯が入ることに違和感を覚えるかもしれない。ただ、スケーリング機能として、映像信号の周辺部分を切り取って表示して上下に黒帯を入れる「16:9」、等倍表示して画面の上下に黒帯を入れる「16:9フル」、映像の左右をカットして全画面拡大で表示する「全画面」の設定が選択可能だ。16:9はTV映像のオーバースキャンを想定した設定で画面の5%程度の領域が切れる。

HDMI接続で1920×1080ドットの映像を出力した例。左から「16:9」「16:9フル」「全画面」の設定。さらに、TV放送やAV入力時(HDMI/D4以外)は「ノーマル」「サイドカット」「ズーム」の表示方法が選べる

 FORIS.HDで懸念されるのは液晶TVとして見た場合、主にPC向けのWUXGAパネルでどれほどの画質が得られるのかということだ。これについても簡単に触れておくと、コントラストの力強さや動画の滑らかさでは最近の大画面薄型TVに分があるが、パーソナルユースのTVとしてはソツなくまとまっている印象を受けた。広色域パネルに合わせて画像処理エンジン部のチューニングも全面的に見直したとのことで、ナナオらしく誇張しすぎない自然な雰囲気の映像(ナナオのいうナチュラルコンフォート)を味わえる。単にTVチューナーを搭載しただけのPC向け液晶ディスプレイとは別次元の画作りだ。

 基本的にFORIS.HDは、自室の机上などパーソナルな空間で使う製品で、視聴距離がリビングに置く大画面TVより近くなるため、最大360カンデラ/平方メートルの輝度でも暗く感じることはない。また、24インチワイドでフルHD表示に対応していることからドットピッチが狭く(0.27×0.27ミリ)、映像の精細感はなかなかのものだ。このクラスでフルHDを表示できる液晶TVはシャープの「AQUOS P」シリーズくらいしかないので、この点は注目したいところ。30インチを切るサイズの液晶TVでもフルHD対応モデルが欲しいと考える人には、魅力的に映るはずだ。

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