インタビュー
» 2008年07月31日 12時30分 公開

ASCII×ITmedia アキバ対談(後編):事件後の秋葉原と、アキバの明日 (1/3)

ASCII.jpとITmediaが実施したアキバ対談の後編では、殺傷事件後の秋葉原と未来のアキバ像について語っていく。「アキバの明日はソフトS……」(藤山氏)おーい、この人呼んだの誰!?

[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

“アキバ的な何か”は、たたきやすいのか

 秋葉原で起きた殺傷事件以後、某パーツショップの店員は「偏見が強くなっている気がします」と語っていた。普段から秋葉原に足を運んでいる人は、テレビに映し出される“アキバ的な街”に首をかしげた人もいるだろう。前編に続き、後編では秋葉原殺傷事件に対するインターネットメディアとマスメディアの温度差や、これからのアキバ像について古田氏と藤山氏が放談する。

ITmediaの連載「アキバPickUp!」を担当する古田雄介氏(奥)と、ASCII.jpのアキバ(裏)でフィギュア関連の記事を中心に執筆している藤山哲人氏(手前)

──電車男以降、世間的には“萌え”を推奨するような方向だったと思います。推奨とまではいかなくても、「そういうのがあって悪くない」っていう。それが、逆風に変わった印象はありますか?

古田氏 まあ、昔から下地に偏見がありますからね。それがあの事件をきっかけにして表面化したんだと思います。

藤山氏 アキバに来ている人たちのあいだでは、それほど(偏見は)ないと思うんだけどね。外から見ての偏見だよね。

古田氏 でも、実際には秋葉原の内側にも、外部からの偏見が影響していると思うんですよ。それで「周りが何を言おうが楽しんでいるんだから、ほっといてくれ」ならいいんだけど、「周りがこう言ってる。だったら自粛しよう」とか、逆に「ムカつくから、もっとやってやろう」とか。そうやって反応することで、現実が“架空のアキバ像”を引き寄せてしまう。

──加藤容疑者と“アキバ”を結びつけようとする報道が目につきました。

古田氏 その根拠がすごくいい加減ですよね。だいたい、どんな集団であれ、一線を踏み越えるような人はわずかながら存在してしまう。アキバ属性と犯罪を結びつけて報じるなら、その関連性を裏付ける厳密な調査が必要なはず。だけど、そこまできちんと関連付けている報道を見たことがないんですよ。

 本来、ある集団の特性を正しく論じるというのは、すごく面倒な作業なんです。現実的に手間がかかりすぎるから、恣意(しい)的な情報を選んで、印象で語るしかない。でも、印象を語る必要なんてないんですよ。

──何か起きるととりあえずアニメやゲームのせいにするのは、いまやネタ化してますが……。

古田氏 それは大多数の、オタク文化をやっている人たちへのさげすみがあると思うんです。正直、ぼくもアキバと他人だったころは、似たような感情を持っていましたし。まあ、たたきやすいんでしょう。

藤山氏 たたきやすいし、オタクちゃんたちがどういう思考でどういうことをやっているのか、分からないというのもあるんじゃないかな。オバケと同じでしょ。分からないから怖いし、いろいろと想像できる。

古田氏 アニメやPCに限らず、オタクの人って内向きの言語で語るところがあるから、声高に叫んでも同志しか共感せず、興味のない人の心を動かすことができない。オタクの人からの反論が届きにくいというのもあると思います。

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