前編ではNASとしての基本的パフォーマンス、拡張性、コストパフォーマンスの高さという観点からTS-409Proを見てきた。後編では「NAS」という言葉に収まらないポテンシャルの高さを紹介する。
TS-409Proは、12-in-1サーバをうたう多機能なNASだ。一方、Linuxで構築されたLANTANKや玄箱のような、ユーザーが自由にいじることのできるNASキットは、機能を追加していくことで“無限大-in-1”と言うこともできる。ただし、これらの製品を使いこなすにはLinuxの知識が必須であり、コマンドラインべースのインタフェースは初心者にはハードルが高い。今回取り上げたTS-409Proは、一般的なNAS製品と、ハックを前提にしたNASキットのちょうど中間に位置しており、「QPKG」というパッケージを導入することで新しい機能を追加することができる。
とはいうものの、実際にはQNAPユーザーによって(なかば公然と)さまざまなハックが進められているようだ。フォーラムではTSシリーズのDebian化や、NTFSの書き込みサポート、各種USB機器のドライバといったものから、RapidShareに対応したクライアントソフトウェア、モニタリングソフトウェアなどの開発や活発な意見交換が行われている。ただ、TS-409Proの“標準”搭載機能もかなり充実しており、普通の使い方であれば機能追加の必要性はあまり感じないかもしれない。
TS-409の12の機能は、大きく分けて一般的なNASとしての機能、ホームサーバとしての機能、公開サーバとしての機能に分類できる。この3つを順に紹介していこう。
一般的なNASに求められる機能は不足なく備えている。Microsoftネットワーク、Appleネットワーク、NFSに対応し、Windows/Mac/UNIXの主要3プラットフォームすべてで利用可能だ。また、それ以外のOSに対してもFTPが用意されている。FTPサーバは転送速度制限、暗号化プロトコルのSSL/TLSもサポートしており、公開サーバとしての利用も考慮されている。
TS-409Proをバックアップサーバとして使うため、NetBak Replicatorというクライアントソフトウェアが提供されている。これは特定のフォルダ以下を定期的、あるいはリアルタイムでバックアップするソフトウェアだ。もちろん、Acronis True Imageなどのバックアップソフトの保存先として利用することも可能だが、これはバックアップサーバというよりはファイルサーバの機能とすべきだろう。
リモートレプリケーションは、TS-409Proのデータ自身をネットワーク経由でQNAP社製NASやRsyncサーバにバックアップする機能だ。SSHのトンネリングをサポートしており、インターネット経由でも安全に二重化できる。レプリケーションのスケジューリングは即時実行のほか、毎日、週単位、月単位だが、複数のスケジュールを登録することが可能なので、週2回などの柔軟な運用も可能になっている。
プリンタサーバ機能はNASの機能ではないものの、一般に家庭用/SOHO向けNASでは搭載しているものが多いため取り上げた。前面背面合わせて全3ポートのUSBコネクタを搭載しており、3台までのプリンタを接続できる。プリンタ名は自動的にサーバ名+PR1/PR2/PR3となり、設定画面からの変更はできないようだ。
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