「LOOX R」のSSD+WWANモデルで近未来を先取りしてみた:どこでもつながり、そして速い(2/3 ページ)

» 2008年08月18日 16時15分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

SSDのメリットとデメリットを改めて理解する

 本機のもう1つのポイントが、SSDの搭載である。SSDとは「Solid State Drive」の略。直訳すれば可動部分がないドライブという意味で、広義ではUSBメモリなどもSSDに含めることができてしまうが、現在一般に「SSD」といえば、「HDD互換のインタフェースを持つ高速なフラッシュメモリドライブ」のことを示す。

 SSDの最大のメリットは、ヘッドやモータなどの可動部品がないことだ。データの読み書きの際にHDDのようなヘッドシーク、回転待ちなどの動作が不要で、メモリセルにかける電圧を制御するだけで済むため、読み書きの速度、特にランダムアクセスを高速にしやすい。実際、高速な製品では、HDDの10倍前後のランダムアクセス性能を誇る。

 ランダムアクセスの高速さは、OSの起動やスタンバイからの復帰、Webブラウズやアプリケーションの起動といった動作のレスポンスに大きく影響し、キビキビとした体感速度につながる。

 また、構造上、小型化するほど速度面で不利になっていくHDDと違い、SSDの場合はサイズと速度に直接の関係がないのも特徴だ。1.8インチサイズでも2.5インチHDD以上の高性能が得られるというのは、小型軽量ノートPCの設計上において非常に大きい。

 さらに、機械動作がないということは、動作音も実質的に無音であることを意味する。さらに電力消費が少なく、衝撃や振動に強いというメリットもあり、ノートPCにとっては理想のストレージといえるだろう。

 一方で、SSDのデメリットとして指摘されるのは、HDDに比べて容量が少なく割高なこと。本機の場合もBTOメニューでSSDを選択すると、120GバイトHDDと比べて16万8000円も高くなる。また、フラッシュメモリの構造上、書き換え回数に上限があるということもよく知られている。

 フラッシュメモリには、フラッシュ1セルに1ビットを記録するSLC(シングルレベルセル)と1セルに複数ビットを記録するMLC(マルチレベルセル)があり、書き込み回数の制限は、SLCで10万回前後、低コストで大容量化しやすいMLCでは1万回前後に減る。しかし、この書き換え回数の制限はあくまでも1セル(1ブロック)に対してであって、同一ブロックに偏って書き込まないようにすれば、寿命は延ばすことができる。そのような操作を「ウェアレベリング」という。

 書き換え上限が1万回のフラッシュメモリを完璧に均等に利用できたとして、1日あたり50Gバイトの書き換えを行った場合、単純計算で64GバイトのSSDなら約35年、128GバイトのSSDなら約70年の耐久性があるということになる。

 これはあくまでも理論値で、実際に完璧なウェアレベリングができるかどうかは難しいと思われるものの、逆に2〜3年の使用で問題になることもまた考えにくい。まだPC用のストレージとしての実績が少ないだけに断言はできないものの、平均的な寿命はHDDよりむしろ長いのではないかと思われる。

 また、速度については製品ごとのバラつきが大きいということも注意しておきたい。前述したように、単なるUSBメモリであっても「SSD」を名乗ることは可能であるし、速度も製品によってバラバラである。国内の大手メーカーのPCに採用されるSSDは高速なモデルがほとんどのため、「SSD=高速」というイメージが定着しているが、秋葉原で単体売りされているような製品は同じSSDでも性能はピンキリである。

 SLCタイプのほうが書き込み性能が速いという傾向はあるが、「SLCタイプだから絶対速い」というわけでもない。コントローラチップの設計などの違いで性能は大きく変わり、製品ごとの差が大きいのだ。「SSD=高速」と決めつけてしまうのは危険で、それぞれのモデルごとに判断することが必要になる。

サムスンの高速SSDを搭載

デバイスマネージャではサムスンの「MCCOE64G8MPP-0VA」と確認できる。ThinkPad X300にも採用例がある高速SSDだ

 前置きが長くなったが、本機はサムスンの「MCCOE64G8MPP-0VA」というSLCタイプのチップを採用したSSDを搭載していた。これはThinkPad X300にも搭載されているモデルで、公称のスペックは、シーケンシャルリードが100Mバイト/秒、シーケンシャルライトが80Mバイト/秒。実際の性能は後ほど詳しく見ていくが、SSDの中でも高速な部類に入る製品だ。製品版でこれとまったく同じドライブが搭載されることが保証されるわけではないが、本機の場合は「SSD=高速」というイメージで問題ないだろう。

 SSDを搭載するにあたっての外見上の変化はまったくないが、カタログスペックを比較すると、重量はHDDモデルに比べて500グラムほど軽い約1.2キロになっている。そして、実際の操作感はまるで違う。起動、再起動、Webブラウズなど、何をやらせても実にキビキビしており、プリインストールのWindows Vista Business(SP1)でもストレスがない。CPUの動作クロックが1.2GHzであるということは、動画のエンコードでもしない限り意識することはないだろう。

 ただ、気になったのがSSDの空き容量だ。本機の場合は、リカバリ用と思われる不可視領域が1Gバイト+10Gバイト確保され、ユーザーが利用できる容量は実質50Gバイト程度しかなかった。それを2つのパーティションに分けていたが、空き容量はほぼ初期状態でそれぞれ10.6Gバイトと18.2Gバイト、合計で28.8Gバイトとなっていた。それほど少ないというわけではないが、「64Gバイト」という感覚でいるとすぐになくなってしまう。付属ツールでリカバリ領域を削除してしまうのも1つの手だろう。

マイコンピュータで確認できるSSDの標準の空き容量は、10.6Gバイト+18.2Gバイト=28.8Gバイト(写真=左)。「ディスクの管理」で確認してみると、不可視領域が1Gバイト+10Gバイト確保されていた(写真=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  6. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  7. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  8. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  9. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
  10. “AIスマホ”としての個性がより鮮明に 望遠カメラ刷新&AI処理が飛躍した「Pixel 11 Pro」 の実力とベンチマーク結果を検証 (2026年09月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー