SSDを搭載した本機の実力はいかほどのものか、ベンチマークテストの結果を見てみよう。評価機の構成は、CPUがCore 2 Duo SL7100(1.2GHz)、メインメモリが4Gバイト、64GバイトSSDである。電源プランの設定は「バランス」だ。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、Intel GS965 Expressチップセットに統合されたグラフィックス機能が少し足を引っ張っているものの、SSDの採用によりプライマリハードディスクのサブスコアは最高点の5.9をマークした。
PCMark05でもHDDの項目だけが飛び抜けてよく、初代機のスコアと比べると4倍以上となっている。ほかのスコアは初代機とほとんど変わらないが、総合スコアはHDDの影響でよくなった。また、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3は初代機とほぼ同スコア。これらはストレージの影響がほとんどないテスト内容なので、当然の結果だろう。
HDD関連のテストも実施してみた。ひよひよ氏作の「CrystalDiskMark 2.1.6」におけるシーケンシャルリードとランダムリード512Kバイトのスコアがほぼ同じというのは、いかにもSSDらしい。標準的な5400rpmの2.5インチHDDと比べると、ランダムリードに関しては、512Kバイトで約4倍、4Kバイトで約45倍という強烈なスコアだ。
PCMark05/HDD Test Suitesでもランダム性能が大きく反映される「XP Startup」「Application Loading」「General Usage」では、標準的な5400rpmの2.5インチHDDと比較して、すべて10倍前後というHDDの限界を超えた数値をマークしている。
また、騒音、発熱の印象も相変わらず優秀だった。夏のこの時期(室温28度)だけに一連のテスト終了後にはキーボード左に若干生暖かい感じ(放射温度計で41.5度)はあったが、パームレスト部分は35度前後とクールさを保っていただけに、不快さはほとんどなかった。
バッテリーのテストは海人氏作の「Bbench 1.01」を利用して行ったが、「バランス」の電源設定(輝度40%)の状態で、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに無線WANによるインターネット巡回(10サイト)を行う設定で、駆動時間は219分だった。実際の利用シーンと比べて、かなりムダが多い設定でテストしたことを考えると、バッテリー駆動時間は優秀といえるだろう。

標準で7.2ボルト5800mAhのリチウムイオンバッテリーを備えており、7.2ボルト8700mAhの大容量バッテリーも用意されている(写真=左)。公称の駆動時間は、標準バッテリー使用時で約7.4時間、大容量バッテリー使用時で約11.5時間だ。ACアダプタはスティック型で、持ち運びがしやすい(写真=右)。サイズは30(幅)×132(奥行き)×29(高さ)ミリ、重量が約248グラム以上のように、ベンチマークテストのスコアは極めて優秀。温度、騒音も文句はない。実際の使用感も前述したように快適そのものだ。SSDのメリットに加えて、無線WANによりいつでもどこでもインターネット接続できる安心感もあり、モバイルノートPCの1つの理想型ともいえる。
しかし、ネックとなるのは価格だ。WEB MARTで本機の無線WAN、SSD、メモリ4Gバイトという構成を選ぶと45万5800円だった。コストパフォーマンスはどうかと問われれば、言葉に詰まってしまう。PCという製品の性質上、時間とともに性能や機能が急速に陳腐化してしまうことは避けられないからだ。
特にSSDというデバイスはまだまだ成熟していないだけに、進化の余地が十分残されている。価格はここ半年ほどで大きく下がり、また時間がたてば、さらに下がることも明らかだ。また、軽量化、快適性に大きく貢献しているSFFパッケージのCPU/チップセットも、近いうちにPenrynコアにリニューアルして本格展開されることが分かっている。
もっとも、逆にいえば、45万円払うことで1年先に主力となっているような構成のモバイルノートPCを今すぐ手に入れられると考えることもできる。未来のエクスペリエンスを先取りできるプロトタイプ的な存在としてとらえるべきであり、高額であっても、そのメリットをいち早く享受したいといったユーザーにとっては見逃せない存在だろう。
これまでの製品リリースのペースから考えて、秋冬モデルの登場は近いと予想されるが、LOOX Rがどのような進化を遂げるのか楽しみだ。
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